生活者の声をマーケティングに活かす
聞く技術や
クチコミは、もともとマーケティング企業のドゥ・ハウスが、メーカーの商品開発や販売促進といったマーケティング支援で得た経験をベースにしています。30年のマーケティング支援の現場から得た
クチコミの原理を紹介しながら、現代の
クチコミドライバーであるソーシャルメディアの活用について考えます。
クチコミは双方向的コミュニケーションで成立する
クチコミは、AさんとBさんという二人の登場人物の対話で成り立ちます。
一方的なおしゃべりではなく、お互いのやりとりがあってはじめてクチコミになります。
こうして考えると、企業と生活者がダイレクトにコミュニケーションできるソーシャルメディアがない時代は、企業がクチコミを作る。ということがいかに難しかったかが見えてきます。一方でソーシャルメディアによる企業と生活者のコミュニケーションが可能となった今、クチコミで情報が伝播するためには、企業が生活者の立ち居地までおりていき「二人」という関係を作って対話することが必要であると感じます。
クチコミの起点は「聞き上手」「リアル・ユーザー」「商品開発者」「ユーザーの声」
クチコミの起点になるものとして、次の4つのタイプが考えられます。1つ目は「聞き上手」。聞き上手な人とは、観察力に秀でた人です。自然発生のクチコミを多く担っているとともに、プロモーションの一貫としてクチコミを行う場合にも起点になる人でもあります。
2つ目は「リアル・ユーザー」。自然発生のクチコミを担っているのは、商品やサービスのよいユーザーです。3つ目は「商品開発担当者」。商品開発担当者が自分の商品をクチコミできるのは、インターネットによって可能となったプロモーション方法です。4つ目は「顧客の声」。インターネットはクチコミを可視化するようになったので、顧客の声そのものがクチコミの起点になりました。
いずれもソーシャルな時代となり、より活躍の場面を増やしています。特に
「聞き上手」な人たちはソーシャルの舞台で生き生きとコミュニケーションし、クチコミの起点となる様子を拝見します。
クチコミにはキーワードがある
クチコミの連鎖を辿っていくと、多くの人に伝わるクチコミは、広告や商品説明のような企業サイドの言葉ではなく、顧客ならではの言葉に変換されているのがわかります。既存の商品についてプロモーション展開を考える場合は、このキーワードを発見することがポイントとなります。企業の発信するベネフィットではなく、生活者が評価したベネフィットを見つけることが大切です。
ソーシャルの活用で、こうしたキーワードを企業が見つけやすく、またなにより
生活者が「いいね!」や「シェア」や「リツイート」といった機能を使いこなし、キーワードを発信する機会が増大しました。
クチコミは「ポジティブ・ファクト」を根拠にする
クチコミと噂とは違います。クチコミは、事実を根拠にしたポジティブ・コミュニケーションです。対して噂は、虚実を根拠にしたネガティブ・コミュニケーションです。噂は、ネガティブであればあるほど強力に、かつ高速に伝わります。逆にクチコミは、ポジティブであればあるほど強力に伝わります。噂は、虚偽の度合いが大きくなりがちなのに対し、クチコミは、事実を根拠にしなければ生命力を持ちません。
Facebookは炎上しづらい。という話しを耳にしますが、その理由がこの公式に当てはまります。実名が基本のFacebookではポジティブなモードで「事実」が語られることが多いからこそ、ネガティブな「噂」ではなく「クチコミ」が発生しやすいのです。
クチコミは「時間」の技術である
クチコミは、双方向的な対話による理解を基にして展開されます。ひとつひとつのプロセスについて、理解があってはじめて先へ進む、いわば時間を変数にした技術です。じっくり行うプロモーションなのです。これは、マスコミが一方的な発信による認知促進を目的にしているのとは対照的です。マスコミとは、いわば空間を変数にした技術です。だから両者は互いに独立性が高いと考えられます。クチコミとマスコミの特性を比較・整理してみます。

クチコミの原理を見つめてみると、ソーシャルな時代によりアクティブに伝播するメカニズムを実感します。またソーシャルメディアには聞き上手な人が集まります。たくさんの生活者の声を聞くこともできます。
聞き上手な人たちとのコミュニケーションが、無自覚的に他者に伝播していきます。ソーシャルメディア上での聞き上手な人たちとの会話を活発に行うこと。それがクチコミが伝わるポイントになります。
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