日本が移民大国だったことがわかる【月刊よげんの書2023年2月:よげん6】

2024.04.01

聞く技術研究所

ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。

「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。

今回は2/21に行われた「月刊:よげんの書2号」で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。


日本が移民大国だったことがわかる


移民人口はG7では最下位だが……


移民とは「本人の法的地位や移動の自発性、理由、滞在期間にかかわらず、本来の居住地を離れて、国境を越えるか、一国内で移動している、または移動したあらゆる人」と定義されている。
確かに日本は移民人口だけで見ると、G7では最下位(出典:OECD)だが、220万人の移民がおり、それは名古屋市と同じくらいの人口になる。外国人居住者数(流入)でも、コロナ前の2019年ではドイツ、アメリカに次いで3位だった。コロナ禍後も4位にとどまる。外国人は入ってきている、ということだ。


なぜ日本は移民が少ないというイメージなのか?


日本においては「移民」と「外国人労働者」は別のものとして区別している。つまり、ダブルスタンダードになってしまっている。政府では2018年時点で、移民政策をとらないというスタンスを表明。
ただし労働人口の減少に対応するために外国人労働者は受け入れる体制を作り、技能実習生など、労働力の確保を政策として進めている。ここで政府が示す「移民」とは国籍取得を前提とするものであり、在留期間を制限して、家族の帯同を基本的に認めないという姿勢をとっている。
あくまでも移民政策ではなく、外国人の人材を受け入れ、外国人労働力の確保を拡大するために、短期的な移住における在留資格を設けて対応するというもの。


技能実習制度をアメリカ国務省が人権問題として指摘


技能実習生の失踪者が増加傾向にある。
2020年は5,835人だったのに対し、2021年は7,167人になり、20%以上増加している。低賃金、長時間労働などによって、逃げ出す人が増えているのだ。米国務省は19日、世界各国の人身売買に関する2022年版の報告書を発表した。その中で日本で外国人技能実習制度の参加者が「強制労働」をさせられているとの報告があると指摘。人身売買に関与した悪質な仲介業者や雇用主の責任を日本政府が追及していないと批判し、4段階評価で上から2番目のランクに据え置いた。国務省は過去の報告書でも日本の外国人技能実習制度を繰り返し問題視。22年版は、技能実習制度の下での強制労働の報告が、日本政府が把握している数を大幅に上回っているとした。人身売買への対処や被害者保護に関する「政治的な意思」が欠如し、軽微な処分で済まされるケースも多く、抑止効果が弱いとして厳罰化を要求した。
強制労働というとウイグル自治区などで行われている問題も指摘されている。それと同じようなことを日本でも行われているということだ。しかし、日本国内での問題に対しては無自覚な人が多く、大きな問題だ。


必要な外国人労働者の数


価値総合研究所の試算によると、自動化等への設備投資ができたと仮定して、必要な外国人労働者の数は2030年に419万人、2040年に674万人が必要とされている。設備投資がこれまでのトレンドと同じで、少ないと仮定するならば、2030年に1,179万人、2040年に2.183万人が必要。
移民を受け入れて成長を目指すのか、移民を受け入れずに成長せず、経済小国になるのか。選択をする必要がある。
今決めていかないと、今後の運命が決まっていくだろう。2030年に1,179万人の外国人労働者の数が必要となると、今受け入れている人数の4倍近い数字だ。それは非常に高い数字だ。


2020年代は運命を決める10年だといわれている。オープンの場でしっかりと議論する必要を強く感じる。


日本に働きに来てくれる人はアジアの人が中心。この国人々は日本が戦争で迷惑をかけた国々でもある。彼らと良い関係を築かないと、東アジア経圏で良い関係を構築できなくなってしまう。

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