【開催報告】月刊:よげんの書2021年11月号(後編)――思い込みを正そう

ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。

「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。

今回は11/19に行われた「月刊:よげんの書11月号」の後半で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。

目次

一緒に子育てすると離婚率が下がることがわかる

男性も子育てのための休みを取りやすくする改正育児・介護休業法が成立。2022年度中に施行

育休の分割取得が可能となり、男性版の「産休」が新設される。他にも、子育てのための休みを取りやすくする法改正が行われる。一方で、2019年時点の厚生労働省の調査によると、男性の育休取得率は7.48%で1割満たなかった。今後の育休取得意向についても、取得しない予定の男性は半分近くに上っていた。育休いやがらせ(パタハラ)などの被害にあうこともあり、女性だけではなく、男性も取りづらい環境はなかなか解消されないようだ。子どもを育てることがネガティブに捉えられてはいけないのに、現在はそんな状況のようだ。

産後数年間の夫の協力的な態度が、その後の妻の愛情をつなぎ止めることがわかった

東レ経営研究所の研究で、女性の夫に対する愛情の分岐点が出産直後からあることがわかった。子どもが生まれると夫に対する愛情が下がり、子どもに対する愛情が上がる。だが、一緒に子育てしてくれた夫に対しては、愛情曲線は回復する。一方で、何もやらない夫に対しては愛情は下がるばかりになる。父親も育休を取得し、本当に大切な時期に子育てをすれば、日本の家庭円満の元になり、熟年離婚を防げるようになるかもしれない。

衆議院総選挙の候補者ツイート分析で、頻出の単語は「コロナ」で次に「女性活躍」「子育て」と来ていたらしい。少子化が進む日本で、コロナ禍でさらに出生率も下がるのではと言われている。政策でも求められていたし、対策しようとする政治家も多かったのかもしれない。

家庭内でも「子育てに参加してほしい」という欲求がある。コロナ禍でリモートワークができる環境になった会社も多い。子育て期間は家で仕事をすることも検討していいかもしれない。

悪い円安が日本を蝕む

円安に振れると株が上がるという方程式が通じなくなっている

日本では2010年代から円安と株価は連動しており、円安になると、株価が進む方程式があった。円安になると輸出企業の利益がでて、株が上がるからだ。しかし、最近は円安でも株価が停滞しはじめた。ゆでガエル状態ではないが、厳しくなってくる。

輸出企業の海外生産などで構造が変化している

昔は確かに輸出企業は強かった。しかし、最近は海外で製造しているメーカーが多い。その為、その製品は実質輸入することになる。そうなると、円安はメリットではなくなる。現在、原油高や供給遅れなどにより海外の物価が上昇している。そうすると、輸入物価が上がるが、輸出物価は上がらない状態になる。輸入している原材料費が高くなり、企業の収支を圧迫し始めている。収支に対するダメージは、消費者物価にも影響を及ぼしてくる。今までにように円安になれば日本の経済がよくなる、と思いこまない方がいい。

各社の決算発表を見ると、仕入れコストが上がり、価格に反映できていない企業の収益が悪化しているというレポートがたくさん上がっていた。価格を上げるのは難しいことだ。だからこそ、値段が上がっても納得してもらえる商品づくりや経験価値づくりがより大事になり、マーケティングの力の見せどころになるかも

45歳定年説が波紋を呼ぶ


「45歳定年制」の発言は9月9日に開かれた経済同友会のオンラインセミナーにて「日本経済を発展させるにはどうすればよいか?」について議論をする場でサントリーホールディングスの新浪剛史社長が出した一つのアイデア。45歳定年制にして、個人が会社に頼らない仕組みを考えるべきだ、という問題提起。もし「45歳定年制」があれば、20代・30代の若者はもっと真剣に勉強するはずだというのが新浪社長の主張。長く働く中で同じスキルでずっと働けない。リスキリングなどを行う必要がある。

報酬調査会社の調査で、日本は中高年の報酬水準が高いことが分かった

日本は45歳~60歳の報酬が高く、定年に向けて年齢と共に報酬が上がっていく。生物学的なピークは45歳と言われている。能力や体力が落ちたり、就いていかなかったりするのに、終身雇用制度によって報酬が高くなる。これが企業にとって負担になる。70歳まで勤めると、45歳くらいが折り返しになる。その折り返しの時点でスキルの棚卸をした方がいいのかもしれない。

70歳までの雇用を義務づけられる企業は、ますます新陳代謝ができなくなる

厚労省の調査によると、日本では高齢の常用労働者が増加している。新陳代謝できないと、生産性は上がりにくい。だが、労働者の立場からすると、放り出されても困る。そこでジレンマが生じる。

上場企業の早期退職者募集は増加傾向

2021年、上場企業の景気は悪くなく、収益は上がっているのに早期退職者を募っている。これから人材不足になるかもしれない、と言われている中でもだ。早期退職のターゲットになっているのは50代以上の社員。先月でも発表したが、自分のスキルをどう磨き、収入をいかにして上げていくか、その方法を考えないと生産性は上がらない。

あわせて読みたい
【開催報告】月刊:よげんの書2021年10月号(後編)―志(こころざし)を持とう
【開催報告】月刊:よげんの書2021年10月号(後編)―志(こころざし)を持とう【開催報告】月刊:よげんの書2021年10月号(後編)―志(こころざし)を持とう

ノジマ電機は新規雇用の年齢制限をなくし、80歳でも新規雇用する。ノジマはメーカーからの販売員派遣を受け付けないというポリシーがある。経験や知識などがあるならばシニアでも活躍できる場がある。

確かに年齢で雇用を区切るのはもったいない。絶えず学んでいく力が求められているので、その力がある人は年齢如何に関わらず活躍できる力がある。

起業なら地方でというスタートアップが増える

テレワークの普及に加え、自治体の起業支援充実が追い風に

2021年4~9月の新設法人数は6万6530社と、前年同期比34.6%増加した。法人数、増加率ともに半期で過去最多。特に地方での新設法人が増えている。背景として、テレワークの普及に加え、自治体の起業支援充実が追い風となっている。地方でもスタートアップ企業を呼び込もうとしている。今は移住プラス起業がセットになっている。移住先で会社を作り、東京の企業の仕事をテレワークでやっている人が多い。環境の良いところで住んでみたいけど仕事がないと躊躇していた人でも、働けるようになったのだ。

「起業支援金」制度など、サポートも手厚い

地方で起業する方がサポートが厚い場合もある。「起業支援金」制度では、東京圏から地方移住して起業する人を対象に、自治体が地域の特徴に合わせて事業の立ち上げで助言し、事業費に最大200万円を助成する。他にも、行政や地方自治体が相談に乗ってくれたり、金銭面での補助がある。地方で起業したところは企業の課題解決に役立つことをする可能性がある。地方が面白くなる可能性がある。

ベンチャーキャピタルがスタートアップに投資したい分野というアンケートで、AI(IoT)、SARSに続いて3位が環境エネルギーだった。どれもどこに会社があっても取り組めるテーマ。DX、SXがテーマであれば、エリア考えずにやったほうがいい。環境エネルギーならば都心より地方の方が実際のアクションに移しやすいのではないか。

脱炭素を日本全国で行うことを考えると大変という印象になる。だが、軽井沢町でできること、と考えると、できることはたくさんありそう。小さな行政単位の中で脱炭素に取り組んだ方が実行が上がるだろう。再生可能エネルギーへの移行がスムーズになることもありえそう。全体で考えるのではなく、小さな単位から考えるとスムーズになるかもしれない。

日本の投資トラウマが低迷を持続させる

ピケティの21世紀の資本が証明される


資産 (資本) によって得られる富、つまり資産運用により得られる富は労働によって得られる富よりも成長が早い、という理論。日本は低賃金、低所得で低迷しており、この考え方を取り入れないといけなくなるかもしれない。

投資の有無により、家計資産の推移に開きがでる

家計資産の推移を日本とアメリカで比較した場合、アメリカは積極的に投資することで金融資産が3倍以上になっている。日本は現金主義。預金に入れている人もいるが、それだとほぼ利息が付かない。アメリカは4割近くが株式。持っている資産を運用して将来に備えている。日本では一生懸命働くのが美学。だが、働くだけでは収入が上がらない時代になってきている。

平成は空振りだった「貯蓄から投資へ」

日銀がだしている個人金融資産に占める割合をみると、日本でも平成元年は有価証券を32%持っていた。株式を多く持ってきた時代もあった。だが、バブルがはじけ、どんどん下がり、リーマンショックで10%になった。貯金はしているが、現金で貯め込んでいるだけで、資産形成につながっていない場合が多い。

日本の株式市場のトラウママップ

岡三証券が日本の株式市場のトラウママップを作っている。何年に株式投資をはじめて、何年続け、利益が出たかどうかをグラフ化したものだ。資産運用し始めて、マイナスになった比率がどのくらいかを比較している。バブル以前、1980年代位から投資を始めた人はリターンが多かった。しかし、バブルがはじけるとマイナスとなる時期が続く。投資している期間、マイナスが続いた世代がトラウマ世代になる。年齢ではなく、株を始めた年をベースにしているが、トラウマ世代は50代。氷河期世代は40代が多い。この世代は株に対してネガティブで信用がない。しかし、問題なのはお金を持っているのはトラウマ世代以降のことが多い。なので、金融資産を「現金」で眠らせている世代になっている。

全世界的に今の政治のテーマは成長と分配。待っているだけでは成長しないし、待っているだけで分配されるのも少し違う気がする。リスクをとって初めて成長する部分もある。できる人は投資することにチャレンジしてもいいかもしれない。

2021年11月の提言:思い込みを正そう

近年我々が当たり前だと思ってきたことが、次々と覆されている。自分の思い込みがガラスの天井となっているのかも知れない。今まで、自分自身が常識だと思っていたことを正しく疑おう

次回の「よげんの書」は12月17日(金)の開催となります。ぜひお申し込みください

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

シェアしていただけるとうれしいです

この記事を書いた人

ドゥ・ハウス 広報部 マネジャ
聞く技術研究所 所員。

新橋で働く30代OL。DINKS。夫婦で在宅することが増えたので、いかに家を快適にするかを考え中。

コメント

コメントする

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

目次
閉じる