今治タオルにみる、SDGsに企業が取り組むことの良さとは

今治タオルというと、今や多くの人が知っている愛媛の一大産業です。2006年に国が商標法を改正し地域名をブランド化する『地域団体商標制度』が開始されるとともに、今治のタオル生産者は『今治タオル』という商標と統一品質基準を確立しました。今回は、この今治タオルについてとりあげてみたいと思います。

目次

社長の「ええかっこしぃ」から生まれた商品

今治タオルの輸出用OEM製造工場として誕生したIKEUCHI ORGANIC(当時は『池内タオル』)という会社があります。今でこそSDGsが広くうたわれていますが、この会社がそうしたサステナビリティを意識した商品を開発したのは1999年というから驚きです。当時タオル業界では珍しいISO14001(国際標準化機構【ISO】が策定した、環境マネジメントシステムの認証規格)を取得しました。そこで開発した商品の特徴は下記の通り。

  • オーガニックコットンの使用
  • ローインパクトダイ染色手法(人体に安全で環境負荷の少ない染色を目指す手法)
  • 風力発電の電力で作成

また、その過程からこんにちまでに下記を取得しています。

  • ISO9001の取得
  • ISO22000を取得
  • WindMadeを取得
  • bio.inspectaのオーガニック認証を取得
  • エコテックス規格100のクラス1に認定

当時同社社長は深く考えると言うよりも、彼のええかっこしぃ精神で商品開発を始めたといいます。1999年といえば、日本はまだエコに対して一部の詳しい人が厳しい目を向けていた時代。そうした中で商品開発をしていき、創業当時から考えると60年経った今、乳幼児が口にしても大丈夫な商品ができています。今後同じく60年かけて、今度は食べられるタオル=乳幼児が食べてしまっても問題のないタオルにしていくそうです。

商品生産が間に合わなかったことがファンを育んだ

一時期、IKEUCHI ORGANICが主として取引をしていた卸業者が倒産してしまったことがありました。こうしたところから同社も民事再生法の申請をすることとなります。主軸商品を納めていた会社がなくなってしまったことにより、売上げの1%でしかなかった前述のオーガニック商品を主軸とした自社ブランドで、再起を図りました。けれど民事再生法を行った関係で、借り入れもできず生産ラインも増やすことができない。こうした中で、同社はオーダーした生活者に生産を待ってもらっています。

実はこれが結果的に、商品理解とファンの育成に役立ちました。

商品の良さをわかる生活者は、時間がかかってもサステナビリティをもつ商品を得ようとします。企業側は理念を曲げることなく、商品をきちんとファンの元へ届けることができたのです。消費社会といわれてきた日本の、商品との向き合い方の変化が垣間見えます。

nokori-ito 残り糸削減プロジェクトの始動

大阪の神野織物株式会社という繊維商品の卸業者が、新しいプロジェクトを5/13(木)に開始しました。『nokori-ito 残り糸削減プロジェクト』です。コロナの影響でタオルの生産が減り、予定より多くの今治産の糸が余ってしまった状況がきっかけとなり、このプロジェクトが作られました。

もともとタオルを作る過程では、不良品が出たときのために10~20%多く糸を準備するそうです。その糸がどんどんたまり、1工場だけでも1年間にフェイスタオルおよそ5万枚の分量が発生し、1年以内に使い切れなければゴミとして捨てられてしまうということです。神野織物株式会はその捨てられてしまう糸を使って、ミニバスタオル『nokori-ito』を製作するプロジェクトを立ち上げました。

このプロジェクトでは、SDGsの6個もの項目に取り組んでいます。

  • 売上げの3%を貧困の子どもたち支援に
  • 就労支援施設に作業を依頼
  • 残った糸をリサイクルし、長く使ってもらえる商品に
  • ゴミを減らし、温室効果ガスを削減
  • nokori-itoの包装にはクラフト紙を採用
  • 今治の工場や就労支援施設と連携した取り組み

※公式サイト
https://www.e-kanno.com/lp/nokori-ito/

※CAMPFIREにてクラウドファウンディング開始
https://camp-fire.jp/projects/view/372036

生活者、企業、どちらもが同じ方向を向き、取り組むことができるのがSDGsを実行することの良さ

今回紹介した2つの事例は、どちらもタオルという身近な商品でした。大仰な目標を掲げることなく、サステナビリティを主軸とした商品を提案することは、生活者に何かを気負わせることがありません。そして、生活者が普段使用する商品にサステナビリティという付加価値がつくことで、遠い世界の物語ではなく、普段使いの商品を提供する企業がSDGsに取り組んでいることに気がつくのではないでしょうか。SDGsという言葉が広がってきた今、企業が取り組んでいることをわかりやすく伝える商品が身近にあることが、生活者の企業評価の一つにつながっていくのではないかと思います。

生活者、企業、どちらもが同じ方向を向き、取り組むことができるのがSDGsを実行することの良さと言えるのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

株式会社ドゥ・ハウス
DOさん事業部 専任マネジャ
聞く技術研究所 所員

一人暮らしを満喫する40代。
ヨーロッパを中心に旅をしながら、各地域のスーパーマーケットをチェックするのが趣味。

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