8.行動を聞く。意識は聞かない。

2024.04.01

コラム・データ

一般的にリサーチで調査対象とするのは行動と意識です。
しかし、エクスクリエでは「行動を聞く。意識は聞かない。」と言い続けてきました。これは、意識よりも行動を優先的に見ていくということです(実際のグループインタビュー等の調査の現場では、意識もヒアリングすることもあります)。意識よりも行動を優先するのは、人の行動はその95%が無意識で行われていると言われており、意識を生活者に聞いても、自分でも分からず、正確に回答することができないためです。そこで行動を聞くのです。意識ではなく行動を優先して聞いた方がいい理由を3つ下記に記載します。


1.「口に出した意識」と「行動」にはズレが生じるため

人は、意識と行動がずれることが多々あります。例えば、節水しているという人の行動を見てみると、実際には手を洗っている間水を出しっぱなしにしていたり、減塩を心がけているという人の行動を見ると、醤油を多用していたり、ファッションはきれいめ系という人がカジュアル系の服を多く持っていいたりという具合です。
これは、生活者がウソをついているのではなく、価値観にまつわる事柄では意識と行動にずれが生まれやすいのです。もしくは、同じ単語でも、マーケターがイメージするものと生活者がイメージするものが異なるということもありえます。


では、調査の現場ではどうすればいいのでしょうか?
行動(事実)を聞く(または観察する)のです。キッチンに訪問して、調理現場を観察し試食させてもらう。購入したものを確認し減塩商品を選択しているのか、塩分控えめな味付けをしているのか確認する。クローゼットに入っている服のブランドをきく、写真を撮ってもらう。このような形で行動を集めます。

その結果を元に、生活者の意識についてマーケターが判断するのです。


意識と行動についてはこちらのページでも記載しております。


2.意識を聞かれても答えにくいが、行動は答えやすい

人は、何をしたかという「行動」は答えやすいが、「意識」は答えにくいものです。体感してもらうために、今日朝起きてから今までに、どのようなことを行い、考えたのか書き出してみてください。
さて、書き出してもらったものを見てください。それらは、行ったことですか?考えたことですか?ほぼ100%の人が考えたこと(意識)よりも行ったこと(行動)の方を多く書きます。つまり行動の方が思い出しやすいのです。

高関与商品といわれるような車や腕時計などは別ですが、食品などの低関与食品の場合は、「なぜ買いましたか?」と聞かれても特に言うことがない・思い出せないということになりがちなのです。それなのに、「なぜ買ったのか」と聞かれ無理やり出した回答では、事実と異なる、その場を繕うための回答・当たり障りのない回答である可能性が高いのです。


3.生活者に意識を聞くと、「意見」「仮説」を出してしまう。

生活者からヒアリングすべきは「行動」です。その理由は、ここでも記載したように、生活者の仮説や意見では商品はつくれないからです。
生活者に「この商品がどう改良されたら良いと思いますか?」と意見をきけば、「こうなったら(例えばサイズが大きかったら、色が赤だったら・・)」と回答してくれるでしょう。しかし本当に購入してくれるかどうかは別次元の話です。そして素人が出した意見を反映させて商品を改良しても、それが魅力的なものにはなりにくく、生活者が「赤がいい」という意見で商品を変更しても、「やっぱり何か違う」となりがちなのです。


このような理由から、マーケターが扱うのは生活者の行動であるべきです。もちろん、その背景を知るために「意識」も扱います。しかし、意識は、生活者自身が自覚してないことが多いのです。自覚できていない「意識」を、理性的に(無理やり)話してもらってもマーケティングに活用するのは難しいでしょう。
リサーチャーやインタビュアーが生活者から「行動」を聞き、マーケターが「行動」から生活者の「意識」を「仮説」立て、マーケティングのアイデアを作り出すのです。

  • Download

    各種サービスのご紹介資料のダウンロードは、こちらからお願いします。

  • Contact

    各種サービス、調査結果の利用等に関するお問い合わせやご相談は、こちらからお願いします。