【開催報告】月刊:よげんの書2022年4月号(後編)――ピンチの中でチャンスを掴もう

ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。

「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。

今回は4/22に行われた「月刊:よげんの書4月号」の後半で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。

目次

冷戦後のグローバル経済が終焉する

ウクライナ危機の本質

冷戦が終結して、グローバル経済が広がって30年。それが終焉する可能性がある。最近地政学が再度注目されている。地政学の区分けの一つで、海と陸の力がある。国を見る時に、大陸型なのか、海洋型なのかで分ける見方。週刊ダイヤモンドでは、ウクライナ危機の本質は「海の大国」米国と仲間vs「陸の強国」ロシア、中国だ。という記事があった。「陸」は面続きで拡張していき、代表格がロシアと中国。「海」は「点」自分の船が寄れる港を拡充して、ネットワーク型で拡大させていく。この二つの確執がある。

既に始まっていた米中の新冷戦にロシアとEUが加わってきた

バイデン米政権は半導体や蓄電池、重要鉱物、医薬品など重要部材のサプライチェーン(供給網)づくりで同盟国や地域と連携する。対立する中国に依存する供給網からの脱却を目指している。米中の新冷戦である。これは、自国にとって大切な産業を価値観を共有している所とサプライチェーンを作っていこう、という動きだ。そうしていかないと、今回のロシアがEUにしたように、エネルギー回さないぞ脅しをかけることもある。中国もレアメタルを日本に輸出しないという、経済を交渉の武器にしていくことが起こる。

グローバル経済よりも安全保障が優先される世界になる

今回のロシアのウクライナ侵攻で、グローバル経済よりも安全保障の方が大事だという動きになってきてる。エネルギーをロシアに依存していたので、依存を減らそうという動きもある。プーチン大統領は「大ユーラシア・パートナーシップ」を構想している。今は「ユーラシア経済同盟」というのが既にある。ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギスが参加しており、比較的弱い経済同盟。そこに中国主導の一帯一路が加わると、かなり強力になる。

グローバル経済の再定義が始まる

グローバル経済の再定義が始まっており、日本にもチャンスが広がっている。新興国と手を取り合って新しいサプライチェーンを作る可能性もある。

大きなうねりは過去に学ぶべき。第二次も世界恐慌がおき、自国主義が進み、サプライチェーンも分断された。そこで、自国でエネルギーや食糧を作れない国が追い込まれ、侵略戦争に進んでいった過去がある。だが、今は自国で再生可能エネルギーを作ろうという動きもあるし、侵略をするのではなくもっと大きい視点で見て新興国と新しい取引をするという選択肢もある。過去のようにならないように対応ができるのではないか。

日本の上場企業の自社株買いが8兆円を超える

自社株買い枠は8億円を超えた

上場企業が2021年度に設定した自社株買いの枠が前年度に比べて7割近く増え、8兆円あまりにのぼり、問題になった19年度を超えてきた。新型コロナウイルス禍からの業績回復で手元資金を株主還元に回す動きが広がっており、リーマン・ショック後では最大規模。それでも日本企業のキャッシュはなお高水準で、成長投資の機会を見つけられないまま、市場からの圧力で自社株買いを増やしている面がある。日本はまだまだ株主資本主義のまっただ中。ステークホルダー資本主義への移行はまだで、世界から見て遅れている。従業員や設備投資に、しっかりお金は回っているのかは疑問。

そもそも8兆円って…

市場規模ランキングを見ると、8兆円はドラッグストア業界まるごとと同じ規模。家電マーケットも8兆円ない。その額のお金が、株価を上げるために使われているということになる。

2021年、自社株買いに一番お金を使っているのはAppleは9兆円だった。株主還元することでファンの株主に潤ってもらい、自社商品をまた買ってもらうための良い循環のために行っている。価値ある商品を使ってもらうための行動。

自社株買いはわるいことではない。だが、投資するべき所がまだあるはずの中、自社株買いをするのは時期が違うだろう。

アメリカは日本と比べて個人株主が多い。なので、株価を上げると中流以上の人たちにお金が回るので、日本より社会的な還元が多い。日本は機関投資家が多く、一般の人にまで回らない。

日本企業の無形資産への投資が停滞する

無形資産への投資が重視される時代

無形資産は数年前話題になった。2000年以降、米国で「無形資産投資」が「有形資産投資」を上回ったのは「有形資産に投資するよりも、無形資産に投資した方がリターンが見込める」から。ソフトウェアなどの情報化資産、デザイン、研究開発などの革新的資産、ブランド資産、人的資本などの経済的競争能力などが無形資産に分類される。日本は有形資産投資がまだ優位。無形資産投資の GDP 比を見ると、各国かなり投資している。

無形資産とは

無形資産とは、物理的なモノではなく、アイデアや知識、社会関係でできた資産のことである。あらゆる先進国で重要性を増しており、一部の国では有形投資を上回っている。無形資産には、以下4つの特性がある。

サンクコスト(埋没費用)
無形資産は売却することが難しい。そのため、サンクコストと呼ばれる回収不能な費用が生じやすい。例えば、自社用のソフトウェアを作った場合、他社には当てはめることができないことで、売却することができないので、埋没費用になる。
スピルオーバー(波及効果)
無形資産は、他社が比較的簡単に活用できる。例えば、ほとんどのスマホは、アップル社のiPhoneを真似ている。それはユーザーにとって使いやすい環境が整えられていくこと。
スケーラブル(拡張可能)
無形資産はスケーラブルであることが多い。例えば、いったんチェーン店のマニュアルを作れば、それは全店舗で使える。
シナジー
無形資産は、組み合わせることで価値が高まる。こうしたシナジーは、しばしば革新的で予想外の規模になる。

無形資産を生み出すのは人材

日本企業の人材投資はかなり低く、他の国のGDP比と比べて1/10ほど。各国から引き離されている。給料は低く、教育もない状態だ。だが、人的投資をしていかないと、無形資産を産み出せず、拡充していない。

無形資産が生む価値はコロナ禍で注目された分野。有形遺産より無形資産の方が多い企業はテレワーク率が高いという相関があった。コロナなどの非常事態が起こった際もテレワークが行えることによって、不測の事態に強い企業になる。企業の強靭性があるということ。活動する場所に捕らわれない事業運営ができるようになっている。無形遺産に投資すると、企業の価値が高まるだけでなく、ピンチの時にも対応できるようにもなるのだ。

日本は無形資産に投資していないと言ったが、それは反面、投資をすれば伸びしろがあるということ。投資をすることで波及効果が生まれ、今までできなかったことができるようにもなる。

日本の社員エンゲージメントの低さが露呈する

日本の社員エンゲージメントは低い

日本で志気が高く、熱意のある社員の割合(ギャラップの2020年調査から作成)は僅か5%。アメリカ・カナダは34%、ラテンアメリカは24%、韓国は12%などで、「社員エンゲージメント」の割合が一桁だったのは日本だけ。熱意がないと、新しいものを開拓していかない傾向にある。

日本は現勤務先で継続して働きたい人、転職意向のある人の割合も最下位

パーソル総合研究所の調査によると、今の会社で継続して働きたいという人は最も高いインドでは8割を超えているが、日本では5割程度。一方で、転職意向も20%程と、最下位。長く働こうとも思わないが、かといって転職して新しい所で頑張ろうという気持ちもなく、宙ぶらりんな意識の人が多い。

ネガティブな感情を経験した割合は多い

リクルートマネジメントソリューションズの調査によると、仕事中に感じた感情では「心配・不安」「怒り・嫌悪」「退屈・無意味」が上位3つだった。つまり、仕事中にネガティブな感情を経験している人が多いのだ。日本人はエコノミックアニマルだと言われ、長時間労働する国民だ、と言われた時代もあったが、だいぶ変わってきた。仕事の優先度が低くなってきている。

仕事の熱意が強いと生活満足度も高い

ギャラップの2021年調査では、仕事の熱意が強いと生活満足度も高い傾向があることが分かった。生活満足度は仕事の熱意に左右される部分もある。仕事が退屈、無意味だと思うと、生活も退屈で無意味だと感じてしまうのかもしれない。仕事優先にしろ、とは言わないが、仕事に対する
先程の話に通じるが、2000年代の日本では、人はコストだと考えてきた。そのためにしっかり投資ができず、給与も上げず、非正規の社員を増やしてきた。そのため、会社にロイヤリティを感じない人達がこの10年蓄積してきた。

熱意がないのに転職の意向が低いのは、日本の雇用制度で守られているのも大きいかもしれない。熱意がなくても、仕事をすれば給与をもらえる環境なのだ。だが、最近は若者より40代以上の転職は多くなってきているらしい。大手からベンチャーに転職希望する人も多いだろうが、ベンチャーでも人材を求めているだろう。コロナ禍により働き方を変えた人もいて、環境も変わってきている。

同じところにずっといるありがたみがなくなり、変えていこうという気力もなくなる。だが、70まで働くことを考えると、働き方を見つめ直す必要がある。人材への投資が増え、人材が育てば、新しいグローバル経済の中での日本の活躍につながる可能性がある。

普通の暮らしが狭き門だったことがわかる

現場で使える教育社会学によると……

「現場で使える教育社会学」内にあった記載より、
2009年に中学卒業した1000人が大学卒業し、正規雇用で雇われ、3年間離職ナシというルート、つまり「普通の暮らし」ができた人は何人いたか。

普通、と呼ばれる人生を送れている人はわずか16.3%だった。人材が育つためには、ベースとなる教育が大事。会社入った後も勉強する必要がある。

「普通」の多様性が出てきたのも一つの理由かもしれない。専門学校に行く人や、起業する人もいるだろう。

2022年4月号の提言――ピンチの中でチャンスを掴もう

ものごとには良い面と悪い面が必ずある。ネガティブな時は悪い面しか目に入らないが、見方を変えれば新たな強みになる可能性もある。ピンチの中でチャンスを掴もう

次回の「よげんの書」は5月20日(金)の開催です。ぜひお申し込みください

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この記事を書いた人

ドゥ・ハウス 広報部 マネジャ
聞く技術研究所 所員。

新橋で働く30代OL。DINKS。夫婦で在宅することが増えたので、いかに家を快適にするかを考え中。

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