【開催報告】月刊:よげんの書2021年6月号(前編)―― “境” をなくして考えよう

ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。

「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。

今回は6/18に行われた「月刊:よげんの書6月号」の前半で発表された内容をご紹介いたします。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されています。開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載いたします

目次

コロナで少子化が加速し出産・育児支援が広がる

世界で出生数が激減

昨年12月から今年1月、多くの国で出生数が落ち込んだ。日本は14%減。イタリアでは2020年12月の出生数が前年同月比で22%減。スペインやフランスは21年1月の出生数がそれぞれ20%減、13%減。フランスは1975年以来の減少幅だ。世界全体でこの流れが定着すれば、持続的な成長への足かせになる。

各国で出産・育児支援が急ぎはじまる

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う出生数の急減を受けて、急きょ支援策を打ち出す国や地域が出始めた。少子高齢化や人口減少は成長力の低下につながりかねず、各国は対策のテコ入れを急いでいる。日本もコロナ禍で出生数が大きく落ち込む見通しだが、回復に向けた取り組みは鈍い。その中で、東京都は独自に10万円分の育児支援を決めた。

過去の危機・パンデミック後にはベビーブームがやってきたことも

英国では、1918~1920年にかけて世界を襲った「スペインかぜ」のパンデミック終了後に出生数が大幅に持ち直した。(注:第一次世界大戦の終了とも重なる)コロナ禍以降、行政の出産・育児支援策の広がりとともに、出生数の回復と出産・育児関連商品・サービスの需要の高まりが起こる可能性も。

コロナは色々な動きを加速したが、少子化もその一つ。予想していたよりも早くに少子化が訪れている。「こども庁」で戦略的に考えることが大事。

子育て、家族の在り方、親子の在り方に対する古い考えも変える必要がある。「シングルマザーって自己責任でしょ」と思っている人がいれば、意識を変えていかなければいかない。

収入の格差は子供に大きく影響する領域である。アメリカは収入面の格差をなくすために、増税し(法人税を上げる決定もした)教育、育児にかけると言っている。

多様性への配慮が進み衣類の男女差がなくなる

レディース&ジェントルマンからオール・パッセンジャーズに変更

JR東海は2021年の3月に新幹線の車内放送を性別に触れないジェンダーレスに変更した。同じく、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの場内アナウンスを「ハロー・エブリワン」に。日本航空も「レディース&ジェントルマン」を廃止した。性別や人種の多様性に配慮するため、何気ない呼びかけやサービスを見直す動きが広がり始めた。

日本でLGBTQに該当する人は11人に1人

電通ダイバーシティ・ラボが2020年12月に行った調査ではLGBTなどに該当すると答えた人は約9%だった。これは左利きや血液型がAB型の人とほぼ同じ割合である。同ラボはLGBT層などによる国内消費市場を約5兆9000億円と推測しており、百貨店やホームセンターの市場規模(約4兆円)より大きい。もっと注目してマーケティングしてもいい市場である。

無印良品は2022年春に衣料品の半分を男女兼用にする

無印良品は兼用品で多様性への配慮を求める消費者の意識の高まりに対応するとともに、商品数を絞り込んで効率化にもつなげるという、エコの視点でも興味深い動き。「男女別の衣料品という固定概念を壊すことは、ブランドの方向性と合致する」としている。ZARAやH&M、オンワードや紳士服の青山でも、男女兼用品の取り扱いを始める動きがある。男女で分けていることを取っ払って考えてみることが大事。そこから楽しい物、良いものが生まれるきっかけになればいい。

後ろ姿だけだと性別が分からない人が増えた。「らしさ」の概念が若い人の間ではなくなり始めている。ただ、世代間ギャップがあり、上の年代では「男らしさ」「女らしさ」に縛られている人もいる。男性だから、女性だからではなく、人間性で見ていけるとよい。

家族で囲む食卓でも(味の)多様化が進む

ドゥ・ハウスの定点調査で、およそ6割の人が料理・食事の変化を感じているという結果がでた。手作り料理の頻度が高くなる→献立で悩むことが増える→短時間で調理したいと考える→冷凍食品の頻度が増えているという流れなのかもしれない。コロナ禍をきっかけに料理食事の変化が起こっている。

一人ひとり味を変えられるメニュー調味料が2021年の上半期にヒット

今まで調味料はキッチンで使う物で、料理を作る人が味を調えていた。しかし、長引くコロナ禍の内食で、一人ひとりが料理にかけ、自分好みの味にする食卓調味料の需要が高まった。同じ食卓を囲む家族の間でも、毎日食べるものの味の多様化が進んだ結果かもしれない。

ヒットしたものとして、エバラ食品工業のプチッとうどん。リニューアルし、20年の売上が18年と比較し5倍以上になり、日経トレンディ2021年上半期ヒット大賞に選ばれた。一人ひとり違ううどんの味が楽しめて、種類も豊富。今日食べたい味を選ぶことができる。東洋水産のパリパリ無限シリーズもコロナ禍の2020年1月~21年4月に2200万食を販売した。豊富にあるテーブル調味料を家族それそれが上手く使って美味しく食べる工夫が始まっている。

料理作る頻度が上がると、同じものを作る頻度も上がる。一人が作れるレパートリーには限りがある。

外食に行けば、みんな違うもの食べる。(ファミレスなど)その楽しさかもしれない。

作る人も多様化したのかもしれない。いつもは母親だったのが、家にいる時間が長くなった他の家族が担当することもあるかもしれない。調理の熟練度はそれぞれなので、担当者によってサポートする内容を変えてもいい。

ゲームの中の世界が、次の現実社会を創る

街・車をゲーム技術で設計。フォートナイトのソフト活用

人気ゲーム「フォートナイト」で使われる仮想空間の制作用ソフトウエアが、建築の設計や自動車のデザインなどの産業用途に広がっている。現実世界を仮想空間に再現してきたゲームが、逆に現実の産業を変革し始めた。「セカンドライフ」はゲームの中で生活ができるものだった。ユーザー自身がデザインやものづくりをすることができ、それをゲーム内の仮想通貨で取引できた。仮想通過は現実世界の現金に換金することもできる。「フォートナイト」はまだユーザー自身がデザインなどを作成することはできない。だが、将来的にユーザーが商品のパッケージデザインをして「フォートナイト」内で評判になれば、リアルの世界でも同じものがつくられる可能性もあるのではないか。

ヴァーチャル・サードプレイスに注目と人が集まる

仮想から現実に、を後推しする要因、環境の一つとして、ゲームの中のコミュニティ「ヴァーチャル・サードプレイス」がある。「フォートナイト」は3.5億人ユーザーがおり、全員が「バトルロイヤルゲーム」をして戦っていた。しかし、コロナ期間中に新しい「パーティロイヤル」モードが追加され、のんびりしたり、ライブに参加して楽しむことができるようになった。ただの「戦うところ」から、居心地の良いサードプレイスとして人が集まるようになった。商品やサービスをトライアルする機会もヴァーチャル空間での体験になる可能性があり、商品と生活者の新しい出会いの場となるかもしれない。オンラインゲームは数が広がっており、1億人以上ユーザーがいるゲームは10タイトルほどある。(最大のゲームでは、ユーザーが5億人登録している)今後、商品や企業との出会いをゲームが作ることも現実的になってきた。

CPS(サイバーフィジカルシステム)というものがある。サイバーとリアルを融合するシステム。リアルの世界と同じものをサイバーの世界で作り(デジタルツイン)、シュミレーションする試みもある。今度は逆になり、サイバー上でできたことがリアルになっていくのかもしれない。

フォートナイトで作ってカッコよかったら、現実でも欲しくなりそう。3Dだったらベースとなるデザイン部分はできる。これからの電気自動車はそのまま車作りましょう、となるかもしれない。

アフターコロナは買物時間が短くなる

好調な業績を設備投資に向け日米SMのイノベーションがはじまる

最近、定着しそうな小売のイノベーションのニュースが多い。背景として、コロナ禍の在宅勤務の普及で「内食」需要が高まり、食品スーパーは売り上げ好調が続いた。その利益をコロナ禍の需要が減少するアフターコロナ環境に備えるために、日米のスーパーマーケットが設備投資を進めている。アフターコロナのためのイノベーションである。

  • ウォルマートは物流センターをスーパーに併設し、車での受け取りに注力。ティックトックでライブ販売も。
  • アマゾンは実店舗「アマゾン・ゴー」や傘下のホールフーズで手のひら認証・決済を導入。
  • 日本のライフでは前期比65%増となる310億円の設備投資を行い、レイアウト変更とセルフレジ増設を行う。

投資する技術で、特に目立つのが買い物の「時短」につながる技術やサービスだ。

いかに早く効率的に商品を受け取れるかが死活問題

ウォルマートは、ロボットを駆使し、おもちゃや家電、医薬品から食料品まで商品をかき集める店舗併設型の自動配送システムを設けて、ピックアップからパッキングまでに要する時間を5分にした。青果や精肉など生鮮品についてはスタッフが別途売り場から集め、一つにまとめるとのこと。今までCMなどで露出したとしても、それを購入するのかを最終決定するのは店頭だった。今回の動きが定着すれば、今まで高かった商品の店頭決定率が下がる。商品が買われる場面が変わるのだ。なので、指名買いされるブランドの確立と日常的な生活者とのコミュニケーションが重要となってくる。商品を覚えておいてもらうための、日常的なコミュニケーションがこれまで以上に大事になってくる。

最近はラベルレスのボトルもある。今までは店頭でいかに目立つかが大事だったが、その考えは通用しなくなる。短い中で選ぶとなると、たくさんの商品を見比べられないので、定番が強くなる。
その逆のニーズで、定番じゃない商品使ってみたい人も出てくるかもしれない。定番商品がない、珍しい商品しかないお店もあってもいいかも。新しいテーマが生まれる土壌になる。

2021年6月の提言:“境” をなくして考えよう

多様性への対応は個々への対応ではなく、ボーダーを取り払って考えること
性別、地域、リアルとデジタルなど、「境」をなくして考えよう。

次回の「月間よげんの書」は7月16日(金)の開催となります。ぜひお申し込みください

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この記事を書いた人

ドゥ・ハウス 広報部 マネジャ
聞く技術研究所 所員。

新橋で働く30代OL。DINKS。夫婦で在宅することが増えたので、いかに家を快適にするかを考え中。

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