月刊:よげんの書アーカイブ~【2020年11月号】後編―――変化の中に、機会を探索しよう

よげんの書は、生活の変化や経済・環境の変化など、社会課題を背景に少し先の生活を考えるマーケティングコンテンツです。企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のナラティブをみなさんと共有するために定期的にセミナーを開催し、毎月10のよげんを発表しています。

本ブログでは、2020年11月に発表した10のよげんの中の5つをセミナーでお話した内容のサマリとともにお届けします。

目次

2020年11月号のよげん:後編

再エネ比率が急上昇し始める

201106.再エネ比率が急上昇し始める

気候変動・環境保護対策として、再生可能エネルギーの構成比を上げる取り組みが進んでいます。日本の総電力量における水力、太陽光などの再生可能エネルギーの構成比は、2019年に全体の18.6%でした。日本政府が掲げる2030年の目標は、この構成比を20%~24%にするというものでした。

しかし、2020年上半期は、これまでの取組みの成果による再生可能エネルギーの増加に加え、COVID-19の影響による電力需要量が落ち込んだため、23.1%の構成比となり、2030年の政府目標を早くも上回る数値となりました。COVID-19という背景があるとは言え、2030年の目標を上回ることができたこの実績は、再生可能エネルギーの利用によりはずみをつけるきっかけになると考えています。日本において、再生可能エネルギー比率は急上昇をはじめるかもしれません。

なんちゃってヴィーガンが増える

201107.なんちゃってヴィーガンが増える

改めて、「ヴィーガン(Vegan)」とは、すべての動物の命を尊重し、犠牲を強いることなく生きるライフスタイルのことを言います。1944年に英国でヴィーガン協会(The Vegan Society)が創設された際に、ドナルド・ワトソン氏が命名したとされています。近年は、優れたヴィーガン仕様の食品・衣服が出回るようになり、実践者は広がりを見せています。ヴィーガンはベジタリアンとの違いを認識してもらうために、「Veg etar an」の頭とおしりをとって名付けられました。

基本情報としてベジタリアン等の世界人口の推移を見ると、主要100カ国において、その人口は欧米諸国を中心に毎年1%近くの増加傾向にあり、2018年には約6.3憶人に達しています。また、ベジタリアンやヴィーガンの広まりによって「フレキシタリアン(Flexitarian)=なんちゃってヴィーガン」という食生活をはじめる人たちも生まれてきました。彼らは

  • お肉は健康に悪いと考える
  • 畜産は環境に悪いと考える
  • と殺は残虐と考える
  • ベジタリアンの実践は難しすぎると考える

上記のような背景を持って行動しています。ヴィーガンの取組みを理解しつつも、それを完璧に実践することは難しいと考えます。これらの取組みは、少しでも環境負担を減らす前向きな取り組みとしても受け入れられ、例えば元ビートルズのポール・マッカートニーは「月曜日はお肉を食べないようにしよう!」と行動を促す「ミートフリーマンデイ」というキャンペーンを展開しています。

完璧なヴィーガンは目指さないが、環境や健康に少しでも良いことをしようという、なんちゃってヴィーガンが増えていくかもしれません。

日本の株価は国家が握る

201108.日本の株価は国家が握る

COVID-19による経済停滞、株価下落を経て、緊急事態宣言後の日経平均株価はバブル崩壊以来30年ぶりに2万6000円を上回りました。その日本の株価の一部を支えてるのは公的マネーです。2012年に発足した第二次安倍政権による「異次元緩和政策」によって、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)と日本銀行は、株式やETFの保有量を増やしてきました。

2020年には、GPIFが36兆円、日銀が31兆円を保有し、東証一部企業の8割に当たる1830社の大株主になっています。公的マネーが株価を支えることで、業績が株価に反映されにくくなり、企業に対する経営監視の目が行き届きにくくなっていることも指摘されています。

アラフォー世代の倹約志向が高まる

201109.アラフォー世代の倹約志向が高まる

賃金構造基本統計調査によると、男性の管理職の割合は40代を中心に低下傾向。例えば40~44歳の課長は13.3%(15~17年平均)で、10年前に比べ4.1ポイント低下しており、企業はボリュームゾーンの昇進を遅らせることで人件費の削減をはかっていると言われています。ニッセイ基礎研究所のデータによると、今、50歳前後の人が40歳前後だったときの収入と比較すると、10年間の累積収入は、40歳前後の人たちの方が男性で約680万円、女性では約840万円も少なくなっています。30~40代の家族形成期に夫婦で約1500万円も収入が減ることは、消費を抑える大きな原因になっています。

こうした環境の中において、2010年代後半の40代前後の世帯の「黒字率が過去と比べて高く」なっているという総務省家計調査の結果が話題となっています。前述の通り、収入は大きく減る中で、黒字率を高めているのは、消費支出をさらに抑えていることが要因です。アラフォー世代の倹約志向が高まっています。これは経済の停滞にもつながる現象です。

かつてフォード・モーターの創業者「ヘンリー・フォード」は、後に「フォーディズム」と呼ばれる工場労働者を高賃金で雇用する経営を行いました。その結果、十分な収入を得た工場労働者はフォード・モーターの自動車を購入・所有し、フォードの発展に寄与することになります。アラフォー世代の倹約志向と、それによる経済の停滞への対応・対策として参考にしたい事例です。

人事はメンバーシップ型からジョブ型へ

201110.人事はメンバーシップ型からジョブ型へ

テレワークの普及とともに、良く耳にするようになった「ジョブ型」の雇用についてです。日本は従来、職務は限定されず、賃金は人に対して値段をつけるメンバーシップ型による雇用が一般的でした。一方で、欧米ではジョブ型の雇用が進んでいました。ジョブ型では、職務は限定され、賃金は職務に対して値段がつけられています。

日本におけるジョブ型の雇用に対する誤った認識として「成果主義である」という考え方があります。繰り返しになりますが、これは誤った認識で、ジョブ型は職務に対して値段がつけられているため、職務規定(ジョブ・ディスクリプション)に明記されているジョブを遂行できれば、成果に関わらず賃金は支払われます。こうした誤認識を前提として、労働政策研究・研修機構労働政策研究所長である濱口氏は以下のように注意を呼び掛けています。

日本で重視されるのはもっぱら潜在能力の評価と情意考課。従来は大部屋のオフィスで一緒に仕事して、あいつは頑張っている、などと評価していたのが、テレワークだと見えなくなってやりにくいという話で、それは単に評価制度の問題。ジョブ型への転換は評価制度に留まらず、企業の根本の仕組みを変え、入口である教育制度と出口である社会保障とも連動するなど、社会の仕組みの根幹にも関わってくる。

それでも、ジョブ型の雇用が進むときに会社員が賃金の向上のために必要なことは、上位のジョブ(職務)にジョブチェンジするための能力開発です。より収入の高いジョブを行えるように能力開発が欠かせなくなってきます。今まで日本企業が他国の企業に比べて社員の能力開発にお金をかけていなかったのは、メンバーシップ型の雇用によって、能力開発を行わなくとも、賃金を上げてあげることができたからであると想像ができます。

これからやってくるジョブ型の雇用に向けて、日本の会社員は自ら進んで能力開発する行動が必要になります。

2020年11月号のよげんから考える提言

コロナウイルスという黒船に揺さぶられている日本社会。表に見えることだけではなく、水面下でも様々なモノやコトが変化しています。変化に対応するために、人が動く。社会が動く。経済が動く。政治が動く。この変化の中にこそ、あなた自身の、あなたのビジネスの機会が潜んでいます。ぜひ、変化の中に、機会を探索してください。

 

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この記事を書いた人

株式会社ドゥ・ハウス 執行役員 聞く技術研究所 マネジャ

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