最近マーケティングリサーチの手法として
コミュニティを活用したリサーチの事例を良く聞くようになりました。
興味はあるけど、既存の調査手法との違いが分からない、であったり
やってはみたものの、期待した効果が得られなかったであったり、ネガティブな印象を持っている方もいらっしゃると思います。 業界を見ていると、昔から掲示板やメーリングリストを活用した調査ノウハウがある会社は、その延長線上でよりリアルなデータが取得できる手法として位置づけている一方、新しく創業した会社がコミュニティ・リサーチを全く新しい手法として
新たにリサーチ市場に参入しよう!としている印象です。 特に後者の会社は新規性や既存手法との非連続性をアピールして、
MROCと昔からあるコミュニティは違います!と息巻いていますが、いまのところ明確にその差が説明できている様子はなく、今後の動向に期待しています。 さて、あまり本質的ではないことは置いておいて、数年前と比べるとコミュニティをリサーチに活用することにおいて、絶対的な変化がいくつかあると思います。
1.デバイスやインフラの変化
昔は携帯電話を使って写真収集を行うのにも、一苦労でした。今では、例えばスマートフォンで写真を撮ってFacebookにアップするといったことは朝飯前です。これはスマートフォンという端末、サクっとアップできる通信環境と通信会社の料金体系、簡単にアップロードできるサイトこのあたりが揃っているからこそです。 このような変化が円滑なコミュニケーションの下支えになっているのではと思っています。
2.生活者のオンラインコミュニティに対する慣れ
オンラインコミュニケーションの変遷をみると、掲示板→ブログ→SNS・ツイッターというように、より簡単に気軽になってきました。同時にコミュニケーションをする人の裾野が広がってきています。つまり最近では
普通の人もオンラインコミュニケーションに慣れてきた、ということです。 余談ですが、実際に10年前のコミュニティリサーチの応募者の職業をみるとIT系がほとんどでしたが、現在は主婦からガテン系まで多岐にわたっていることもその一端なのでしょう。
3.「いいね!」や「つぶやき」の簡易コミュニケーションの登場
以前は、ネット上で人ときちんとしたコミュニケーションをするためには、挨拶や自己紹介から始まりかなりフォーマルな話し方をする必要があったように思います。ところが最近は、ワンクリックで「いいね!」をしたり、つぶやき同士でコミュニケーションを行うことも一般的になってきました。 こういう肩の力を抜いたコミュニケーションが広まったことも大きな変化だと考えています。 -- このような変化から、コミュニティを活用してリサーチすることがより簡単になってきました。 ただ実施をしていて思うのは、コミュニティリサーチをやると、良くも悪くもその調査会社なりコミュニティマネジャ(モデレータ)なりの能力が如実に現れるということです。グルインだとたまたま参加者に恵まれていい話が聞けたということも無きにしも非ずですが、コミュニティリサーチでは、能力の高い人がコミュニティマネジャをやる場合と、そうではない人がやる場合では、盛り上がりや得られる情報の深さが全く異なります。このあたりの話はまた今度。