このコンテンツはドゥ・ハウスが2004年12月から2005年10月までマーケターにインタビューし、HTMLメールで配信していたものです。一部、本文中の商品情報やご協力いただいた方々の情報については現在と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
2005.07.19
Interview
Yoshiyuki Honda本田 義之さん
エバラ食品工業株式会社
販売促進室 室長
1953年生まれ。
1976年駒澤大学文学部社会学科卒業。
同年 エバラ食品工業株式会社 入社。
大阪営業所・マーケティング部・経営企画室・商品開発部・営業企画室を経て2005年4月より販売促進室に配属。
vol.08[03]
成熟期「黄金の味」の課題
「黄金の味」の成長期から成熟期のプロセスを伺います。この過程は、ちょうど生活空間に商品があふれ、ついで店頭にも商品があふれる段階と重なっています。
Pick UP!

黄金の味
成長の20年
喜山:「黄金の味」の導入はうまくいったのですか?
本田:関西でも評判がよかったです。営業の立場からしても最初は半信半疑でしたが受容性があったんですね。他のエリアに比べてもよく売れました。
喜山:すぐに成長期に入っていけたのですか?
本田:そうですね。この時期も定性情報を活用しました。あるDOさんが、台所お料理教室で「焼肉料理って野菜料理なのよね」って言ったんです。自分たちは当然、肉料理と思っていた訳ですが、実際、肉を焼くときっていうのは、かなり野菜も入れるんですね。「焼肉にすると、子どもが野菜を食べてくれるんです」って。このひと言ではっとしました。精肉売場の近くに置くことばかり考えていたけれど、青果売場の近くに置くのも関連販売になることに気づいたんです。「にくにくやさい」というフレーズでCMを作ったりもしました。
成熟期に入った「黄金の味」
本田:いまは成熟期に入っています。
喜山:いつ頃からですか?
本田:2000年前後ですかね。それ以降は伸び悩んできています。約20年間は前年割れしたことありませんでした。「黄金の味」の成長はエバラの成長でした。
喜山:伸び悩みの理由は何ですか?
本田:定点観測調査をすると、焼肉の頻度が落ちているんです。ピーク時で月2回になっていたんですけど、登場頻度の限界なんですね。
喜山:そういえば、カレーもそうですね。
本田:かつての定番メニューは軒並みそうなっていると思いますよ。競合メニューが増えているんです。それで競合メニューが何か調べてみたんです。春夏と秋冬で、焼肉にするとき、他に悩むメニューは何ですか?と聞いてみました。秋冬は、だいたいみんなすき焼きだって分るんです。ところが、春夏については、うちの社員も当てることができなかったですね。だいたいが、ステーキとかカレーとか言うんです。ところがそうじゃない。ぶっちぎりで一番だったのは手巻ずしなんです。まぁミツカンさんがCMやっていたこともあるんですけど、簡単で、家族が集まってわいわいやるメニューとしては、春夏は、焼肉じゃなかったら手巻きにするんですね。
喜山:ああ、それは実感的に分りますね。
伸び悩む理由
喜山:伸び悩む理由をどう捉えていますか?
本田:食卓は50メニューで組まれていると言われます。レギュラーとしてね。その50メニューのなかの競争が生まれているわけです。焼肉もそのなかの定番として残っていかないといけない。それから、競合が激化していることも挙げられます。たれの原料である醤油のメーカー、キッコーマンさんも「たれ」に参入しました。いまエバラ製品が過半数のシェアを持ち、キッコーマンさんは約10%のシェアでありますが、今まで参入してきたメーカーで10%に届こうというところはモランボンさんしかなかった。そういう新たな競合も生まれてきている。
でも、もうひとつ迂闊というか、誤算だった点があります。
喜山:それは何でしょう。
本田:調味料はね、もともとブランド・スイッチされにくい商品というのが業界の常識なのです。馴染みや安心感があるから、親から子にも引き継がれるものだと思ってきたのですね。子供の頃お母さんが買っていた調味料を大人になっても買うだろう、と。それが大きな誤算というか、どうもそうなっていないようなんです。