このコンテンツはドゥ・ハウスが2004年12月から2005年10月までマーケターにインタビューし、HTMLメールで配信していたものです。一部、本文中の商品情報やご協力いただいた方々の情報については現在と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
2005.06.28
Interview
Kenji Yasumoto安本 賢治さん
カルピス株式会社
健康・機能性食品事業部
1971年生まれ。
東京大学大学院 農学生命科学研究科修了。
乳酸菌研究に関わる仕事を希望しカルピスに入社。
商品開発研究所に配属になり、乳性飲料の開発に取り組む。
その後、現在の部署に異動し、健康・機能性飲食品の企画・開発に従事。
週末は2歳の娘と遊んで気分転換しています。
vol.07[04]
開発マーケターは理工系からの転進者
若い世代の開発マーケターである安本さんに、「開発マーケターとは」をテーマにお聞きしました。
Pick UP!

アミールS
商品開発研究所から開発マーケティングへ
喜山:安本さんはどういうステップで「アミールS」を担当するようになったのですか?
安本:私が入社したのは1996年で、最初は商品開発研究所です。それから、2001年に開発へ来ました。当時は、健康機能食品事業部と言っていましたが、「アミールS」の発売前で、同じチームの人がやっていましたから、開発の一端は商品開発研究所にいて知っていました。
喜山:急成長のときに入られたんですね。しかも若くて。
安本:カルピスの中で珍しいことではないですよ。若い人向けの飲料も多いですから、そこに50代の方を集めてもうまくいかないということもありますし、勉強させているという意味もあると思います。
喜山:商品開発研究所は、理工系出身が多いですか?
安本:そうですね。
喜山:開発マーケターは、営業系の出身の方も多いのではないですか?
安本:「カルピスウォーター」とかストレートの飲料は多いですよ。やはり流通の現場の経験を活かして新しいものを作り出すというものですね。ただ、カルピスは商品開発研究所出身が多いですね。
コミュニケーション力が肝心
喜山:開発マーケターに必要な資質は何だと思いますか?
安本:開発マーケターって自分でやることは少なくて、お願いをすることが多いんです。他部門もそうですし社外もそうです。社内外を動かす必要があるわけです。だから、色んなことを広く浅く知っている必要がありますし、そういう意味では、動いてもらうためのコミュニケーション力が必要なんです。
喜山:さきほど商品開発研究所の出身者が多いと言われましたが、偏見も含んでいるかもしれませんけど、そうすると、いわゆるコミュニケーションが苦手な人が多いのではないですか?
安本:そういう意味では、理工系からの転進が多いですね。
喜山:なるほど、よく分ります(笑)。開発マーケティングは社内でも憧れの部門ではないですか?
安本:新入社員にはそうだと思いますよ。でも、社内の中では、「大変そう」というイメージが強いんじゃないでしょうか(苦笑)。ただ、自分の考えた商品が形になって店頭に並ぶわけですから達成感もあります。
現場に学べ
喜山:安本さんがマーケティングを学んだプロセスを教えてください。
安本:どうだろう。現場だと思いますよ。現場を知らないとできないですから。ただ、マーケティングは、体系的に知っておかないといけないということはありますから、和田充夫さんの『マーケティング戦略』という本は読みました。研究所にいるときは分らなかったんですけど、開発に来て読み直してなるほどなと思いました。
喜山:やりながら分ってくるということですね。
安本:ただ、「特保がいい」という2年前の本を読んだとしても、今は全く通用しないわけですよね。だから、現場に出て市場を見たり、バイヤーに「最近はどうですか?」と聞いていったりするのが一番だと思います。市場は常に動いていますから。あとは、やっぱり先輩社員から教えてもらうことも多いです。
喜山:安本さんはもともと何をやりたかったのですか?
安本:私は大学の時に微生物の研究をしていました。だから、微生物の力を食品で発揮できないかと思っていたんです。そういう意味では、「アミールS」は大好きな商品です。飲料の世界は、1000の内3つしか成功しないと言われます。逆にいえば、997個は失敗してもいいということですから、あまりへこまずやっていきます。
喜山:元気の出るお話、ありがとうございました。