マーケティングにおいて考慮すべき要素は、消費者、製品、競争企業、流通業者、環境である。消費者関連では、誰が(Who→TargetConsumer)、どこで、いつ(Where、When→Occasion)、何を欲しているか(What→Wants)に着目する必要がある。それに対応する製品(Product)は、消費者になぜ購入してもらうか(Why→Benefit)、それをいかに具現化するかが製品属性であり(How→Attribute)、それを可能にする研究開発テーマを考慮する必要がある。製品を消費者に効率的にわたるようにする流通チャネル(Distributor)、競争企業(Competitor)、消費者および製品に影響を与える環境(Environment)も考慮する必要がある。
環境は、自然環境と社会環境に分かれる。法律の改正も社会環境の変化の1つとしてとらえられることができ、事業の制約とも新たな事業の機会ともなることがある。これらの考慮すべき事項とそれらの関連を示すと上図となり、これを基盤マーケティング・リレーション(BasicMarketingRelation:BMR)と呼ぶことにする。
BMRの枠組みがマーケティングにかかわる用語の理解を深めるのに役立つ例を示そう。BMRの視点から「マーケティング」および「マーケティング・リサーチ」を定義すると以下のようになろう。
[BMR視点からのマーケティングの定義] マーケティングとは、環境(E)を考慮しつつ消費者のウォンツ(W)と製品・サービスのベネフィット(B)を結びつける創造的かつ総合的活動をいう。
[BMR視点からのマーケティング・リサーチの定義] 製品開発におけるマーケティング・リサーチの目的は、BMRにおける各要素で着目すべき分類と水準の発見・検証とそれらの関連の強さを明らかにすることである。
シリーズ<マーケティング・エンジニアリング>4「新製品開発」朝野熙彦 山中正彦著P18、19、20 発行者 朝倉邦造 |