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技術で勝って普及で負けるという悪夢が蘇る【月刊よげんの書2023年7月:よげん7】
日本は半導体王国とも呼ばれ、30年ほど前は全世界の半分以上を半導体を作っていた時期があった。だが、韓国や中国に追い抜かれてしまい、半導体の分野から撤退することになった。また、カーナビも最初は日本にしかなく、シェアも高かった。最初に技術を発明するものの、シエアが下がって撤退するというのが「技術で勝って普及で負ける」ということだ。 -
五公五民の世界がやってくる【月刊よげんの書2023年7月:よげん6】
国民負担率の推移をみると、2022年度の税収は昨年度を6%も上回り過去最高になった。収入の半分は国民負担として、税金や社会保証費などで徴収されている。ここ十年ぐらいで国民負担率はグーッと上がってきている。五公五民、もしくは、それをさらに超えることになるかもしれない。 -
買替よりも修理が当たり前の社会がやってくる【月刊よげんの書2023年7月:よげん5】
米国でスマートフォンなどの電子機器を修理しやすくする法整備が進んでいる。ニューヨークと他州で修理法案可決されており、電子機器修理ができることが義務付けられ、修理できない機器を作った企業には罰則も導入予定だ。これまではメーカーの修理囲い込みがあり、メーカーしか修理ができない構造になっていた。そのため… -
社会課題解決のためにライバルに広告をシェアする企業が現れる【月刊よげんの書2023年7月:よげん4】
さまざまな企業が競合に負けぬように広告を出稿するなか、スウェーデンにあるオートリーという乳製品メーカーが自社の広告枠「競合企業に」「無料で」提供する取り組みを始めた。オーツミルクを中心に扱うオートリーは、自社が支払った広告スペースのうち半分を、同じように乳製品の開発に取り組むライバル企業に無償で提供することを決め、コラボする企業を… -
レコノミーを話題に対話をするブランドが増える【月刊よげんの書2023年7月:よげん3】
リサイクル、リユース、レトロ、リスキリング……昨今のトレンドとなっている経済行為を英語にするとREが冠につく経済行動が多いことが分かる。それらをし総称して「レコノミー」と呼ばれている。今後は足元の資源、人材、知的財産を再構築するモデルに移行する。自己の利益を極大化する行動基準を持つホモ・エコノミクスから… -
縮む胃袋にレス・イズ・モアの提案が必要になる【月刊よげんの書2023年7月:よげん2】
2056年に日本の食の風景は様変わりする。人口が1億人を割って65歳以上が全体の4割に迫まり、食に携わる産業に大きく影響を与えることになる。農林水産政策研究所のシミュレーションでは、一日1人当たりの摂取エネルギーは、2017年の1907キロカロリーから2050年には1648キロカロリーまで減少すると予想… -
30年を経て、移民の貢献度が明らかになる【月刊よげんの書2023年7月:よげん1】
ずっと成長を続けているアメリカの1995年から2022年にかけての成長率のGDPは年平均2.4%。労働力人口が平均0.92%増している。経済成長とは働き手と1人当たり生産性の伸びの掛け算だ。もしも移民不在で計算した場合、労働人口の増加は0.27%増にとどまることとなり… -
空間コンピューティングが始まる 【月刊よげんの書2023年6月:よげん10】
マイノリティ・リポートという映画で空間に画面を映しながら、ジェスチャーで操作する場面があった。似たようなことが近々できるようになるかもしれない。アップルが発表したVision ProのPV映像では、外側の世界もカメラで取り込んでいるので、ARのようになっていた。操作が目やジェスチャーでできるようになるため… -
サイバー介護の時代がやってくる【月刊よげんの書2023年6月:よげん9】
第一生命経済研究所の試算によると、2050年度に介護保険で「要介護」か「要支援」となる人は941万人と2020年度から4割近く増える予想だ。その際「介護職員」は302万人必要だが、今の就業構造を前提にすると6割の180万人しか確保できず、122万人も足りない計算になる。介護を必要とする人は増えるのに、介護のサービスを提供する人の人材が足りなくなるのだ。 -
ジェンダーギャップが過去最悪になる【月刊よげんの書2023年6月:よげん7】
世界経済フォーラムが発表しているジェンダーギャップ指数で、日本は2023年、去年(116位)よりも順位を落として146か国中、125位になった。下がっている理由として、数値が伸びていないことがあげられる。改善されていないということだ。改善されていない中、順位が落ちているということは、他の国においていかれているということ。 -
女性の活躍がデジタル後進国「日本」を救う【月刊よげんの書2023年6月:よげん8】
2021年、日本の女性テック人材の割合は欧米並みになってきており、EUを超えて、アメリカとほぼ同等の22%近く。女性のプログラマーやSEが増えているのだ。IT業界は女性の異業種、他業種からの転職者が多い。リクルートの調査によると、異業種からの転職が11倍にもなっている。人材不足などもあり、未経験でも就業可能で、育成されるからだ。 -
杉花粉の飛散が30年後に半減する【月刊よげんの書2023年6月:よげん6】
花粉症患者は増加傾向であり、岸田総理も大きな問題になっていると発言し、盛り上がっている。そもそも、どうしてスギ花粉が日本では多いのだろうか。日本では木材需要が高まった戦後復興期を経て1960年前後にスギやヒノキを大量に植えた。加工しやすさから建築用材として重宝され、成長も早いスギの需要を見込んだのだ。その後… -
消齢化社会のヒット商品が次々と誕生する【月刊よげんの書2023年6月:よげん5】
日経MJ 2023年上期ヒット商品番付で東の横綱は「5類移行」。西の横綱は「WBC世界一」。脱コロナの生活は消費者を高揚させ、国境を越えるヒットが次々と生まれている。そんな中、いくつか注目したのが、世代レスな消齢化社会を背景に持つヒット商品だ。 -
少子化の遠因となるパラサイト・シングルが世界に広がる【月刊よげんの書2023年6月:よげん4】
国別にみると、親同居の割合と出生率は逆相関がある。イタリアや韓国など親同居率が高い国々は出生率が低い。他方、北欧や米英は親同居率が低く、出生率が高い。若者が早いうちに自立して暮らす社会の場合、カップル形成も早いのでは、という仮説がデータとともに語られている。日本は2020年の国勢調査でみると、未婚者の場合40歳代の6割強、50歳代でも5割弱が親と同居して暮らしている。日本の少子化はこのパラサイト・シングル現象が一因だと言われる。 -
交渉はAIに任せる時代がやってくる【月刊よげんの書2023年6月:よげん3】
チャットGPTや生成AIなどが話題になっている。ウォルマートは備品などを扱うサプライヤー企業との仕入交渉をAIチャットボットで進め、仕入れ経費の削減と交渉の時短に成功している。2021年の導入以降、アプローチした仕入れ先の取引成約率は68%で、平均3%のコスト削減を達成した。また、取引先の4社に3社は… -
胸を張ってパーパスを貫く企業が増える【月刊よげんの書2023年6月:よげん2】
色々な配慮をしながら、正しいと思うパーパスは胸を張って貫く企業姿勢は大事。その姿勢に賛同したり、賞賛を送る生活者も増えていくのではないかと思う。『リトル・マーメイド』は公開前からキャスティングで賛否を巻き起こしていた。ポリコレに配慮しすぎなのではないかなどという批判にさらされながら、ディズニーは2020年代のリトル・マーメイドに多様性を求めるパーパスを貫き、公開した。