聞く技術研究所

コミュニティリサーチが楽しい理由(ワケ)-3/4-

ミラーニューロン
Original Update by phil41dean
さて、コミュニティリサーチが楽しい理由の3回目です。 3回目のキーワードはミラーニューロンです。私たちの生活の中で欠かせない、とても面白い働きをする神経細胞です。 ミラーニューロンとは、側にいる人の言動や行動を脳内で無意識にシミュレートする細胞です。人の行動を見て、まるで自分がやっているかのように(鏡のように)、共感する特徴があることから、「物マネ細胞」「共感細胞」とも呼ばれています。 このミラーニューロン、実は私たちの生活にも様々な影響を与えているのです。 例えば、泣いている人を見ると悲しい気持ちになったり、あくびが「うつる」という現象もこのミラーニューロンの仕業です。また、真似をして学んでいくこと(学習)にも影響を与えているといわれています。つまり私たちは、ミラーニューロンのおかげで他人の喜怒哀楽を自分のモノのように共感できたり、他人の経験を自分のものとして発展していくことができるのです。 コミュニティを運営していると、しばしばミラーニューロンが活性化していると感じるシーンが遭遇します。 例えば、あるコミュニティでは「納豆」が苦手な人がいる中で、納豆好きの人が色々な食べ方を提示してみたり、なぜおいしいのかを力説したことがありました。すると、納豆が苦手な人の中にはその食べ方を真似して、意外とおいしく食べることができ、苦手意識を克服することができた、ということがありました。また、新しい香りの柔軟剤を買ったという投稿をした人が、その香りについてポジティブなコメントを書き込むと、その書き込み見た10人のうち3人が同じ商品を買ってしまった、ということもありました。 このように、ある人がある行動を投げかけると、他の参加者も真似をしてみたり、考え方が変わったりします。信頼のできる相手の行動を見ることで、自分自身のミラーニューロンが活性化し、実際に自分が行動するときのハードルが下がるということだと考えられます。 このような現象は普段の生活にもいえることですが、特にオンラインコミュニティ上では起こりやすいと感じています。 1人の参加者が、コミュニティメンバーとのインタラクションによって変化を受けて行く様子を観察する、普段人が周囲の人との係わり合いの中で行っていることの縮図を、コミュニティで可視化できることが、コミュニティリサーチの面白さの1つだと考えています。