

立ち上げ時から担当されている広報の鈴江さん。
「“Facebookは必須ツール”という直感です(笑)」 若い女性から海外の方まで、幅広いファン層へ発信
立ち上げの背景を教えてください。
2010年10月に1度Facebook(以下FB)を立ち上げ、きちんと手をかけ始めたのは2011年4月からでしょうか。同年末頃からユーザーからの少しずつ手応えを感じるようになってきました。 FBの立ち上げを会社に提案した時は、会社としてはまだその予定はなかったのですが、社の基本スタンスである広告費をかけないという点では問題ありませんでしたので、社内ではひっそりと自分のチームで通常業務の合間にスタートしました。なぜ、FBを始めようと思ったのですか?
「FBは間違いなく必須ツールだ」と思ったんです。ユーザーとのコミュニケーションや告知の窓口として重要な位置づけになると思い、まずは自分の担当する広報、オンラインショップからの発信として始めました。 それまでツイッターでコミュニケーションを取っていたのですが、FBをはじめたらFBへの熱の方が上がってしまって。。ツイッターも継続していますが、フォロワーはあまり増えていませんね。。(苦笑)
奈良駅からバスで数分の場所に、突如現れるモダンな建物!思わず「おお~!」という声が出てしまいました。
ファンの方々の属性はどのあたりですか?
7割は女性です。25歳~34歳が25%、35歳~44歳が25%で、あわせて全体の半数以上を占めています。リアル店舗に来てくださるお客様には年配の方も多いのですが、オンラインショップのボリュームゾーンは30歳~40歳代です。 また、海外のファンの方も比較的多く、中でも台湾のファンの方は現時点で1,300人弱いらっしゃいます。その他、英語、フランス語等でコメントをいただくこともあるんですよ。台湾で代表の中川が講演を行った時などは、私は中国語は全然できないので、知り合いに教えてもらって中国語で投稿したりもしました。商品がグローバルに愛されているのですね♪可愛らしい和の商品が多いので、とてもよく分かります。また、25歳~の年代も多いとは、若い方にも和物が浸透してきているのでしょうか。
そうですね、いま大きく4つの総合ブランドを主軸に展開していますが、ブランドごとにターゲットの年齢層が違うんです。「遊 中川」「粋更kisara」「中川政七商店」「日本市」のそれぞれをファンの方が支えてくださっているのを実感します。 また、くつしたブランド「2&9(にときゅう)」、3/1にデビューしたハンカチブランド「motta(もった)」が加わり、性別問わず幅広い年代の方にさらに親しみやすくなってきたのではと思います。
「遊 中川」「粋更kisara」「中川政七商店」「日本市」…。どの商品も本当に可愛い!!
「心がけていること…コツコツ丁寧に」 自然体の運営でファン数がグングンUP!
投稿頻度、投稿で心がけていることを教えてください。
投稿頻度は、新商品を中心に1日1つご紹介するのを基本に、プラスαで私のアンテナで時折、社内、店舗、奈良などの情報を更新しています。 工夫していることと言えば、商品画像をアップするときは商品の制作背景や世界観も伝わるように意識したり、文字はあまり読まれないと予測されるので1枚の写真でいかに視覚的に伝えるかということでしょうか。あとは、必ず画像をアップするようにしていますね。FBは画像をアップしないとあとから文言を修正できませんので万が一の時に助かります。。(笑) でも、実は特別なことは何もしていないんですよ。社会の流れでFBをはじめて、ひとつひとつ丁寧に対応している中で、いつの間にかどんどんファン数が増えて…支えてくださっているファンのみなさまに感謝すると共に自分たちが一番驚いているんです。常に心がけて大切にしていることは「らしさ」でしょうか。「中川政七商店らしさ」はいつも念頭においています。 アクセス解析は見ますが、投稿頻度、投稿内容については、どういうのがいいのかまだまだ模索中なんです。 今後は商品をデザインしているデザイナーなど人物も取り上げてご紹介したいなと思っています。それと、アンケートアプリや直営店との連動アプリなども使ってみたいですね。
商品に使用する布たち!これが可愛いアイテムに変身するのですね~♪
リアル店舗では売りづらかった商品に FBで火がついて販売につながったときは驚きました!
なんと、自然体で投稿していたら、ファンがどんどん増えてきたのですね! 商品が素敵だからこその、成せる業でしょうか。 反応の良かった投稿には、どんなものがありますか?
奈良公園あたりではよく見かける「鹿注意」の看板を撮ってアップしたら、県外の方には珍しかったようで、反応が良かったです(笑)それから、11月11日は巷ではポッキーの日といわれていますが、実は「靴下の日」でもあるんですよ、と靴下を逆さまに4つ並べて投稿したものも好評でした。 そして、FBの特徴を強く実感したのは、店舗では反響の少なかった商品「KUTANI SEAL ボンボニエール 巳」をFBでご紹介したときです。ボンボニエールとはフランス語で「美しくておしゃれな小型のキャンディー缶や壺」という意味なのですが、「巳年にちなんで、ヘビがトグロを巻くイメージでぐるぐるとカラフルなウロコ紋を周りに配したんですよ」とご説明して画像付きでご紹介したところ、お問い合わせが殺到して、売り上げが一気に伸びたんです!リアルの店舗ではあまり目立たない商品だったので、これは勉強にもなりました。FBから売り上げにつながったとは!意図せずに理想的な形になったのですね! お客様との交流はどのようにされていますか?
コメントへのレスは、コメントをくださった方のFBページを拝見し、「この方が話しかけてくださったんだな」と思いながら返信しています。素敵なコメントや思いがけないアイデアをいただいたり、いつも楽しませていただいています。 また、お店にお出かけくださった方から店舗についての感想をいただくことがあるのですが、その内容はすぐに店舗の担当者にフィードバックします。ご要望の場合は、可能な限り対応しています。
本日2013年3月21日(木)に東京駅丸の内南口前にオープンした「KITTE(きって)」。「中川政七商店」ブランドも、東京初出店で4FにOPENしています!
「日本の伝統工芸を元気にする!」 300周年を機に、海外へ
今後の目標を教えてください。
「いいね!」数を増やしたいとか、特に細かな数字目標は立てていないんです。「日本の伝統工芸を元気にする!」という私たちの大きなビジョンを身近なところから丁寧にコツコツ伝え、それに共感していただければ、ファン数は自然についてくるのではないかと思っています。また、広く海外の方にも見ていただきたいと思って発信しています。台湾の方々に比較的多く見ていただいているので、その数を増やしていきたいですし、その他の国の方々にも多く発信していきたいです。そのために日本語と英語を一緒に表記するか、英語だけのページを作るか…等、いま考えているところです。 実は2016年で弊社は300周年を迎えるのですが、それを機に海外へ進出したいと計画しています。日本の伝統工芸を世界に広げて行きたいんです。今はそこに向けて基盤を作っている時期。FBは、それを助けてくれるツールでもありますね。海外に進出されるご予定なのですね!
弊社の商品の原点は、奈良の伝統・文化を300年継承し続けてきたものです。また、2011年からは「大日本市」として、弊社だけではなくパートナー企業とともに、日本の伝統工芸を元気にするべく、年3回の展示会や店舗を運営し、少しずつ規模が拡大してきています。日本の伝統工芸の素晴らしさを国内外問わず受け入れていただけるよう、実現に向けFBも有効に活用していきたいと思っています。 お話、とてもずっしりきました。海外での立ち上げ、楽しみにしています。深い話をありがとうございました!
オフィスはまるで図書館のよう!キレイで天井が高くて素敵です♪

6つの棟から成る本社。棟と棟の境には印がついています。
取材を終えて 今回鈴江さんにお会いして、「ああ、更新されているのはたしかにこの方だな」と感じました。ブログ、ツイッターと同じく、企業のFBページも、更新している方の人柄が表れるのですね。「ふんわり」「ほっこり」…話していて優しい気持ちになってしまうような雰囲気といえば伝わるでしょうか?中川政七商店さんは、企業、人、商品、それらが本当に重なっているなあと感じました。 そして鈴江さんのふんわりした外見や話し方からは想像もできない、歴史を背負ったするどい勘があるからこそ「特別なことは何もしてないんですよ・笑」とおっしゃりながらも、素の状態で方向を見誤らないのだと感じました。 だって、「時代の流れでスタートして」「コツコツ投稿していたら」「気づいたらファン数が増えていて」「売り上げにもつながった」って…!きっとほかのFB担当者様が聞いたら垂涎ものです! そもそもの商品が人気であるからこそのこの境地、なかなか到達するには大変そうですが、逆に言えば、「商品やサービスが良くないと、いくら小手先のテクニックを駆使しても“長い目で見たら”意味がない」ということを改めて確認いたしました。え、身も蓋もない?人生って本当に身も蓋もないですよね。。でも、商品が素敵で、その上FBページも素敵だったら、もうバッチリです! 今回は、いわゆる「FBページの運営ノウハウ」というよりは、なにか根本的なものを教えていただいたように感じます。難しいけれど、これからも軸を大事にしつつ多角的に考えて頑張るぞ!と思いました。 Facebook ケーススタディでは、「うちのFBページも取材にくる?」「FBの運営ってとっても大変。何か提案してくれない?」等々のお問い合わせをお待ちしています。ぜひお気軽にご連絡ください。
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