聞く技術研究所

コミュニティリサーチが楽しい理由(ワケ)-1/4-

コミュニティリサーチが楽しい理由(ワケ)
Original Update by Pink Sherbet Photography
さて、コミュニティを観察していると色々な発見があります。なぜ色々な発見があるのかについて、合計4回でお伝えしようと思います。 まずはラポールの形成による視点の交流です。 ラポールというのは相互の信頼や安心してコミュニケーションができる関係のことで、グループインタビューで用いられることが多いです。参加者同士の信頼関係だけでなく、参加者と運営側の信頼関係も形成されていきます。 特にコミュニティリサーチは継続的にコミュニケーションを行うので、2時間で終わってしまうグループインタビューの信頼関係よりもはるかに強いラポール形成が期待できます。
余談になりますが、10年近く前から毎年参加者を入れ替える商品開発コミュニティを運営しています。このコミュニティでは昔からクライアント名を明かしているのですが、終了間近になると参加者の半分ぐらいがそのクライアントの商品に好意を抱くようになっています。 これは運営側と参加者の信頼関係が商品評価に影響を与えていのではないかと考えています。このような様子を見るたびに、リサーチとプロモーションを明確に分けるのは難しいなぁと思います。
そしてコミュニティリサーチでは、単なるラポールの形成だけでなく視点の交流があります。 視点とは、参加者の視点運営側の視点です。 信頼関係が生まれると、参加者はもっと調査主体の意図が知りたいと思うようになります。運営側は何を求めていて、どういう情報を伝えれば役に立てるのかと、調査主体側の視点を持つようになるわけです。 一方、運営側は参加者のことをもっと知りたい参加者の○○さんだったらどう答えるだろうか、といったことを考えながらコミュニケーションをしていきます。すると調査側も気づかないうちに参加者側の視点を持てるようになります。 一般的に調査では、対象者に調査側の意図を伝えることはNGとされているケースが多いと思いますが、コミュニティリサーチではむしろお互いの視点を交流させることが面白さの1つなのです。