壁が次々と崩壊する【月刊よげんの書2023年8月:よげん9】

ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。

「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。

今回は8/25に行われた「月刊:よげんの書8月号」で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。

目次

壁が次々と崩壊する

転職の壁が崩壊する

人材を確保する際、問題になるのが日本にある「壁」だ。人材の流動化の問題で、転職の「壁」がある。日本人は長いこと同じ会社に勤めるのをヨシとしていたが、その価値観を変える必要がある。リスキリングによって、成長分野に人を移動させたり、ジョブ型雇用によって人材の配置を適正にしていったり、移動する際の円滑化も必要になる。自己都合で退社すると、失業給付を受け取るまで長かったのを短くするのも一つの施策だ。長く勤める人に対して有利な税制を改正するなど、変更する必要がある。また、解雇の金銭的解決制度もなかなか進まないが、緩和せざるを得なくなるだろうし、会社を移った際の年金の持ち運びの流動性を高める施策が出てきそうだ。そうすると、企業は人材獲得をしなければならないのと同時に、人材の流出を食い止めるために、どう定着させていくかを考えることが死活問題になる。

年収の壁も崩壊する?

年収の壁というのは、税や社会保険料を払う境目のことだ。年収が103万円超えると、所得税が発生し、106万円超えると、社会保障費(年金など)が発生する。150万円超えると、配偶者控除がなくなるなど、複雑な制度設計になっている。女性を働かせたくない、女性は家にいてほしい、という思想の名残だ。労働力不足となる中、女性活躍についても言及されているが、この税法が彼女たちを阻んでいる矛盾がある。この「年収の壁」による働き損があることにより、パート女性の増収の妨げだけではなく、企業にとっても労働力が確保できないという問題を生じている。

働き損部分を政府が補填する方向で進んでいるが、それは持続可能な制度とは言えない。また、自営業者の妻などとの不公平感も残る。働いた人が働いた分だけ賃金を得ることができ、子育てしながらでも働きやすい環境を作らないと、まずい。女性が働きやすくなるための制度設計の見直しが求められる。

5年前と比べて転職する人が16%進んでいるという統計もあり、45歳以上では3割以上増えているというデータもあった。元々少なかったこともあるが、中高年の人が徐々に壁を越え始めているのかもしれず、人材の流動性は少しずつ進んでいる気がする。

IT業界に女性の転職者が増えているということもある。その理由の一つとして、IT業界だと男女の賃金差が少ないことと、未経験者でも携わることができるというのがある。差をなくすのが壁を取っ払うことに繋がっているように感じる。

夫は外で働き、妻は家庭を守るという男女の役割分担の意識が根強く、税制にまで影響しているのだ。女性は家を守ってくださいね、とずっと言い続けてきたツケが回ってきている。この方針が変わらないとまずい。

「月刊よげんの書2023年8月号」の動画アーカイブはこちらから。ぜひお申し込みください。

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この記事を書いた人

ドゥ・ハウス 広報部 マネジャ
聞く技術研究所 所員。

DINKS。夫婦で在宅することが増えたので、いかに家を快適にするかを考え中。

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