ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。
「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。
今回は8/25に行われた「月刊:よげんの書8月号」で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。
人材難が成長を阻む
労働力不足は避けて通れない
GDPが600兆円時代になり、企業も成長を見越して設備投資に向かっているが、仕事を担う人がいないかもしれないという事態になる可能性がある。人口減少に伴って、労働人口が減っている。労働人口を増やすために、シニア層の雇用延長などの施策もあるが、追いついていない。デロイトトーマツグループが行った調査によると、国内における対処が必要なリスクとして、企業にとっての人材流出、人手不足がトップに上がった。最近、人手不足倒産という、仕事はあるのに、やる人がいなくて、仕事を断って倒産したということが起こり始めている。このリスクは元々高かったのだが、いよいよ本格化してきそうだ。
2030年に不足する人手は600万人以上
パーソル総研と中央大学が共同研究して2030年の人手不足を試算したところ(「労働市場の未来推計 2030」資料内)労働需要7073万人に対し、労働供給は6429万人で、644万人の差があった。644万人の人手不足を埋めるためには、働く女性(就労時間が短い女性の取り込みなど)、シニア(定年年齢の引き上げが努力義務ではなく、義務になる可能性がある)、外国人を増やすなどの施策によって346万人の人手を増やし、それでも足りない人手を補うために、298万人分の仕事をAI、ロボットや自動化システムに置き換えて生産性を上げる必要がある。298万人の人が何等かの形でリスキリングし、転職が余儀なくされる時代が来るかもしれない。人材の流動化により、外に動きやすい体制ができていかないと、実現できなくなるだろう。働く人にとっては大変な時代がくる。
置き換わる人をどうするか問題
一番最初に置き換わっていくのはAIだろう。事務の人は生成型のAIで置き換わるかもしれない。AIの導入により省力化し、少ない人数で仕事が行えるようになった場合、そこからあふれた人達をどうするか、という問題起こってくる。労働の構造が変わってくるのだ。労働人口が7000万人だとすると、そのうち4~5%の人たちがそこに該当する試算だ。
生産性が高まれば、賃金は上がっていくはずだ。人でしかできない、高付加価値で高賃金なところに移っていくのかもしれない。産業革命の時は機械の打ちこわし運動なども起こったが、今度はAIや機械を大切にし、今までの概念を打ち壊せばいい循環になるだろう。
流動化に対して若い人ほど積極的だ。中高年の人だどれくらい受け入れらるかが問題になるかもしれない。ついていけない人もいるだろう。
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