衝撃的な熱波の衝撃的な影響が次々と明らかになる【月刊よげんの書2023年8月:よげん1】

ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。

「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。

今回は8/25に行われた「月刊:よげんの書8月号」で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。

目次

衝撃的な熱波の衝撃的な影響が次々と明らかになる

記録的な猛暑が続く

近年、アジア、南欧、米国南部の人口の多い地域では、40℃あるいはそれに近い気温が長期に渡って続くような酷暑が日常化している。世界の平均気温は7月に過去最高を更新した。世界気象機関のターラス事務局長が「酷暑は新常態になった」とも発表した。猛暑が経済や社会に与えている深刻な影響がみえてきた。

労働力が失われる

国際労働機関は熱波により日中に労働ができなくなるなどで、30年にフルタイムで働く8000万人に当たる労働力を失う可能性があると分析した。経済損失は約350兆円にも上る予想だ。

サンマが高級魚になる

水産資源研究所によると、気候変動などの影響で寒流である親潮の流れが弱くなり、周辺海域の水温が上昇している。このため、サンマが東の沖合に移動し、日本近海まで来遊してこなくなった影響で、サンマの漁獲量が年々減っている。昔は季節になると店頭に並ぶ大衆魚だったサンマも、近い将来高級魚になるかもしれない。

殺虫剤が売れなくなる

蚊は35度を超える猛暑では活動が鈍る。フマキラーによると、蚊の対策商品の7月24~30日の販売が業界全体で前年同時期を3%下回った。アース製薬は虫ケア商品の売上が想定を下回ったと発表。蚊の活動が減り、それに伴い関連消費の売り上げが下がっている。

きのこの山がチョコを脱ぐ

暑すぎることで販売が鈍る商品も出てきた。スーパーのいなげやではチョコパンやジャムパンの販売が7月に前年から半減したと発表した。明治はこの逆境を逆手に取り、ユニークなチョコレート部分がない「チョコぬいじゃった!きのこの山」を発売した。新しい商品の開発が進んでいる。

熱帯気候のタイが避暑地になる

タイなど、年間を通じて気温30度前後の熱帯のリゾート地は、世界中が熱波に見舞われる中、相対的に涼しく感じられるようになり、南欧などに代わり避暑需要を引き受ける。タイヘの観光目的が避暑になっているという変化がある。ヨーロッパに遊びに行きたくとも、暑すぎるから涼みにタイを選ぶ人が出てきている。

暴動や抗議活動が活発になる

スタンフォード大学とカリフォルニア大学の教授・准教授の共同研究によると、気温が長期平均を1標準偏差上回ると、混乱の発生頻度が15%近く跳ね上がるという。今年の6月初めからの8週間における世界の平均気温は、これまでの水準を4~6標準偏差上回った。色々な要因は重なっているにせよ、実際に、インド、ケニア、イスラエル、南アフリカでは暴動や抗議活動が起こっており、酷暑も一つの要因になっているのではないかという発表もあった。

ゆっくりと沸騰する、ゆでがえる状態

2023年半ば時点で、世界の地表温度は産業革命以降の上昇幅を2度以内に抑えるという目標に対し、すでに約1.25度上昇している。しかし、平均気温の上昇にばかり目がいくと、人々の命を奪い、生活を根本的に変えてしまう極端な気温の上昇がわかりにくくなってしまう。大きな変化に気が付かないゆでガエル状態になっているのだ。重要なのは平均値が上昇すれば極端な値もさらに押し上げられることだ。現在、猛暑に見舞われる日数は1950年代と比べて、パリは8倍、ロンドンは10倍にもなっており、振れ幅が大きくなる

酷暑がニューノーマルとなっているとなっている環境の中で、どんなマーケティングやサービスで解消していくのか、という視点も必要になってくるだろう。

2,30年前、温暖化という言葉が出てきたころに「デマだ」という議論ばかりして手を打たなかったツケが回ってきているように感じる。地球の温度が上がる周期に入ってきている説もある。

サンマはエサが豊富なところで繁殖しているのかと思いきや、エサが増える黒潮と親潮が当たる場所がなくなり、全体的に数が減っているのだという。サンマもその内絶滅危惧種になってしまうかもしれない。

チョコレートは今後チルドになる可能性があるし、人間は涼しい夜間に活動する夜行性にもなるかもしれない。そのためにイノベーションが進むかもしれない。

「月刊よげんの書2023年8月号」の動画アーカイブはこちらから。ぜひお申し込みください。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

シェアしていただけるとうれしいです

この記事を書いた人

ドゥ・ハウス 広報部 マネジャ
聞く技術研究所 所員。

DINKS。夫婦で在宅することが増えたので、いかに家を快適にするかを考え中。

目次
閉じる