ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。
「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。
今回は7/21に行われた「月刊:よげんの書7月号」で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。
農業インダストリーの時代が本格化する
個人経営の農家が減る一方で企業経営が拡大している
農業インダストリーとは、農業産業のこと。海外では企業が経営している大規模農業も多いが、日本では個人経営の農家が多い傾向にあった。そのため、個人を保護する施策が多くあったが、それが緩和され、企業が参入できる状態になっている。農林水産省の統計によると、2017年以降、個人経営の農家が減る一方で企業経営の農業が拡大しており、2017年は2.5万社だったのが、2022年には3.2万社に増えた。個人農家は高齢化や、跡継ぎ不足などで減少傾向にあり、2017年は122.3万戸だったのが、2022年には93.5万戸になった。
企業の農産物販売額は伸びている
農林水産省の統計によると、企業の農産物販売額は全体の4割まで伸びている。5000万円以上稼ぐ企業も3割近くなっており、産業としてもだいぶ育ってきた。こうした中、個人農家も後継ぎの問題などを解決するために企業に事業を委ねる選択肢もあることを考慮すると、将来的にこの割合はさらに増える可能性がある。
多様な業種が農業に参入している
農畜産、食品関連企業、サービス業、建設業なども農業に参入しているのが興味深い。イオンも農業法人を作っている。ただ、企業の視点で農業を行うと、生産性を上げる、効率を上げることが前提になり、そうなると売れるものしか作らない、農地などの資源から搾り取っていく危険性がある、アメリカでは農地を荒らしたり、地下水を吸い上げつくしてしまうことがすでに起こっている。資源、自然との調和をどうとるのか、あらかじめ考えていけるようになれば日本での企業の農業がさらに広がるだろう。
農林水産業の労働生産性は主要国に見劣りしている
OECDの統計によると、日本は米国やドイツなどと比べて、農林水産業の労働生産性が劣っていることが分かった。これは機械化、自動化が遅れていることも要因だろう。これが企業が農業に参入することで改善されるかもしれない。海外ではAIが果物の成熟具合を判定し、機械が収穫する農場もある。機械なので、一日中、いつでも最適な果物を収穫できるようになっているのだ。企業ならばこのような機械を導入しやくなるかもしれない。そうすれば、農業の生産性もあがっていき、人手不足も補うことができ、最終的には食料不足も解決できるかもしれない。
大企業やメーカーはぜひやってほしい。農業の収益だけでなく、会社のブランディングや商品づくりにとっても良い影響があると感じる。素材を背負ったメーカーであるカルビー(ジャガイモ)、カゴメ(トマト)、大塚(大豆)など、イメージも向上でき、よいアピールができる気がする。日本の農業も盛り上がる気だろう。
農業に対する視点を持っているかどうかが重要。カゴメ、カルビーは農業に対する視点をしっかり持っている。とても大事なことだ。
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