ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。
「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。
今回は7/21に行われた「月刊:よげんの書7月号」で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。
五公五民の世界がやってくる
国民負担率の推移が五公五民に近づいている
五公五民とは、江戸時代の租税徴収の割合の語。収穫の半分を年貢として納め、残りの半分を農民のものとすること。一説では、これを超えると農民が耐えられなくなり、一揆が起こるといわれている。つまり、一揆が起こる一歩手前の状態ということだ。
国民負担率の推移をみると、2022年度の税収は昨年度を6%も上回り過去最高になった。収入の半分は国民負担として、税金や社会保証費などで徴収されている。ここ十年ぐらいで国民負担率はグーッと上がってきている。五公五民、もしくは、それをさらに超えることになるかもしれない。
国の税収は過去最高を更新。成長しないのに税収が増える理由
2022年度の国の一般会計の税収は前年を6%上回り、約71兆1373億円と過去最高を更新。給料が6%上がる人は少ないが、税収は上がってしまうのだ。コロナの不況の時ですら税収は増えたのだ。経済成長が1%、2%の中、成長しないのに税収は増える理由は、単純に国民の負担率が上がっているからだ。インフレになると、商品が値上がりする分消費税も増え、結果的に税収の額も増えるのだ。消費者は大変だと憂う一方で、喜んでいる人もいるのかもしれないと感じる状況だ。
ステルス増税の時代が来る
財務省の実態などを記載した、経済学者である森永卓郎さんの「ザイム真理教」では、税金だけではなく、社会保険がどんどん上がっていくだろうと予想している。全体的に上げると問題になるが、インボイス制度によって元々弱い立場である個人事業主から消費税を取り、高齢者の介護保険値上げなど、弱いところから税をあげている。消費税などの増税で均一に上げない分、隠れたところで増税しているのだ。全体的に見て、2026年までに国民負担率が6割を超えそうだ。
社会保険費の負担増は仕方がないと考える人は53%だったという結果もある。一方で、法人税は上げすぎると他の国に移転されてしまうという危機感から、下げる傾向にある。それがコロナ禍で是正され始めているが、一方でステルス増税のようにこっそり上げられている状態になっている。
税金や社会保険に対する知識がない人が多い。特に、ビジネスマンは給料から天引きされているので、払っている認識が少ない人が多いのも問題だ。仕組みを理解して、おかしいと思うことにたいして声を上げるようにならないとよくはならない。
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