ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。
「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。
今回は7/21に行われた「月刊:よげんの書7月号」で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。
30年を経て、移民の貢献度が明らかになる
5月11日、移民制限措置のタイトル42が失効
米国ではトランプ政権時代の移民制限措置の「タイトル42」が5月11日に失効した。メキシコとカナダの国境で、避難を求める人々を含む移民の入国を拒否する条項の失効を受けて、国境に移民が押し寄せることが懸念されていました。しかし、実際にはそうした現象は起きておらず、むしろ減少傾向であるという。
移民なしの成長率は大幅に低下
ずっと成長を続けているアメリカの1995年から2022年にかけての成長率のGDPは年平均2.4%。労働力人口が平均0.92%増している。経済成長とは働き手と1人当たり生産性の伸びの掛け算だ。もしも移民不在で計算した場合、労働人口の増加は0.27%増にとどまることとなり、生産性の伸びが同じでも成長率は1.6%台に下がる。
移民と移民2世が労働力を支える
アメリカの労働人口は1995年の1億3200万人から2022年の1億6400万人へ24%増えた。増えたうちの7割を移民とその子供が占める。移民を計算から抜くと、アメリカの労働人口は990万人増と7.5%の伸びにとどまった計算だ。15%以上、移民が押し上げてくれているという計算になる。
出生率が下がる先々をみれば移民排除は経済成長の危機にもつながる。先進各国は出生率の低下が問題となっている。
アメリカも30年かけて成長しており、30年かけてドライブをかけている。
アメリカは元々移民の国だ。移民に対して肯定的な人と、否定的な人がいる。保守的な人は移民に対してネガティブになりがち。それは、自分たちの仕事を奪われるのではないか、国からの支援が減ってしまうのではないかという心配をするからだ。だが、実施には移民が入ってくることによるコンフリクトが起こりつつも、成長している。アメリカは差別がありつつ、平等にしていこうと力強く理想を掲げている。日本は今まで波風を立てないようにしていたが、今後はその方向に行く必要があるかもしれない。
移民二世の映画やドラマが増えている。移民二世は親世代とは違う文化や気持ちを持っており、それがコンフリクトを経て、新しいイノベーションを起こしている人たちの考え方なのだろうと思う。
そこに行きつくまでには長い年月が必要。日本も移民に対して寛容になるには100年ほどかかるかもしれない。スタートが遅いのかもしれない。
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