杉花粉の飛散が30年後に半減する【月刊よげんの書2023年6月:よげん6】

ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。

「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。

今回は6/23に行われた「月刊:よげんの書6月号」で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。

目次

杉花粉の飛散が30年後に半減する

花粉症患者は増加傾向

「今年の花粉飛散量は“過去10年で最多”といわれるなか、日本経済への悪影響も懸念されていた。実際、試算の結果、今年1月~3月の個人消費は3800億円程度押し下げられた可能性がある」(「第一生命経済研究所」首席エコノミストの永濱利廣氏より)

岸田総理も大きな問題になっていると発言し、盛り上がっている。

後手の半世紀

そもそも、どうしてスギ花粉が日本では多いのだろうか。日本では木材需要が高まった戦後復興期を経て1960年前後にスギやヒノキを大量に植えた。加工しやすさから建築用材として重宝され、成長も早いスギの需要を見込んだのだ。その後、輸入木材が安くなると調達しやすくなり、伐採する見通しだったスギが樹齢50年以上になっても使われない状況が生じた。スギ丸太の価格も2022年時点でピークだった1980年の5分の2ほどに落ち込み、収益性の低さからも伐採が進まなくなった。林野庁の調査によると17年時点で樹齢50年以上のスギは全体の半数超を占める。森林を伐採するには所有者の承諾が必要になるのだが、所有者全体の半数ほどは個人が占める。低価格での伐採・売却に後ろ向きな人も多いことも一因だ。スギは樹齢が高いほどたくさん花粉を出すので、それだけたくさんの花粉がとび、花粉症の人の人が増えるという流れになっている。つまり、政策からスタートしているのだ。

花粉症対策のポイントは、発生源の対策と、飛散対策だ

発生源対策を見ると、30年後に花粉発生量を半減とある。一つの判断を修正するのには、長い時間が必要となるという教訓が見える。今議論されている原発の再稼働にも同じようなことがいえるだろう。

今の経済活動が進むと、気候変動がさらに進んで、気温が高くなれば、花粉の飛ぶ量も増えるかもしれない。出歩かなくなるという経済への損失の他、花粉の飛散量は事故との相関もあるというデータもある。薬などを飲むことによって眠気や集中力の低下によって引き起こされるのだろう。

スギを伐採して活用する案として、プラスチックの代わりになる紙やストローなどへの活用も検討されているらしい。うまく活用すれば、脱炭素にも繋がり、気候変動も抑えられてダブルの効果になるのではないだろうか。

スギは売れないから伐採しません。ではなく、その時に活用方法を考えられたらよかった。先のことをイメージするのが大事。

「月刊よげんの書2023年6月号」の動画アーカイブはこちらから。ぜひお申し込みください。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

シェアしていただけるとうれしいです

この記事を書いた人

ドゥ・ハウス 広報部 マネジャ
聞く技術研究所 所員。

DINKS。夫婦で在宅することが増えたので、いかに家を快適にするかを考え中。

目次
閉じる