ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。
「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。
今回は5/26に行われた「月刊:よげんの書5月号」で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。
ポストコロナの日本にナイトタイムエコノミーが求められる
東京の夜の明るさが戻らない
いよいよポストコロナがスタートした。しかし、NASAの衛星画像をもとに、アメリカのコロラド鉱山大学が加工したデータによると、日本では2022年の光量は新型コロナウイルス禍前より1割少ない。パリやロンドンなどは2022年時点で2019年と比べても明るく、既に復活している。日本では新宿、渋谷、六本木など、繁華街の明るさが戻っていない。コロナの影響にとどまらず、仕事の延長のつきあいが多かった日本の飲食文化のもろさも浮かぶ。繁華街の需要を支えてきたオフィスワーカーも在宅勤務で減っている。
夜間経済の伸びしろは大きい
仕事の付き合いは戻りきらないところが多いのではないか。それならば、家族連れや訪日外国人など多様な人が楽しめる街への作り替えなど、新たな需要の開拓が課題になる。観光庁の2018年のアンケート調査によると、訪日旅行時に「ナイトタイムコンテンツ」を体験した人の割合は海外より低い。ナイトショーの体験割合は日本は13%にとどまり、海外の半分ほどだ。同庁は「ナイトタイムは訪日外国人にとって消費を促すポテンシャルが高く、拡充の余地がある」とみている。
世界的成功事例:Vivid Sydney
「Vivid Sydney」とは毎年シドニーで開催される都市型イベントで、3週間ほどの会期中には、18時から翌朝まで都市全体がライトアップやイベントにより彩られる。世界からの来場者の消費に加え、スポンサー企業からの協賛金も多く、企業にとって、最先端のテクノロジーを駆使したインスタレーションを世界中にPRする場であり、国際的なコネクションを育む場でもある。2022年の成果として、来場者数は258万人、総収益は1.19億ドルにもなった。総宿泊数も3週間で56.7万泊あり、大きなインパクトのあるイベントである。来場者だけでなく、スポンサー企業の協賛金も収益につながっている。気持ちが高揚する時間に世界の最先端のテクノロジーのインスタレーションの場所としてPRされている。ビジネスカンファレンスもたくさん開催され、国際的なコネクションも作れる場所になっている。つまり、夜のイベントやカルチャーだけでなくビジネスも開催されている。日本だとこのようなイベントはあまりないので、ポストコロナはここにチャレンジしてもいいかもしれない。
日本ではナイトタイムエコノミーは社用族(会社の経費で飲食している人)が支えていた。それがコロナでいなくなってしまったのだ。旅行者に限ると、日本に来ている間は時間フルタイムに楽しみたいと考えるのであれば、夜に何もすることがないのであれば機会損失になる、せっかく来たんだから滞在している間は昼も夜も楽しみたいと思うだろう。そんな人に健全なナイトタイムエコノミーを考えて、作るのも大事だ。
不健全なナイトタイムエコノミーだとみんなで楽しむものにはなりにくいので、意識を変える必要がある。
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