ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。
「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。
今回は10/28に行われた「月刊:よげんの書10月号」で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。
「食」と「農」に変化の兆しが見えてくる
円安やロシアの影響による変化
円安により、様々な資材費が上がっている。特に肥料の高騰が顕著。肥料の多くは輸入に頼っているので、円安に影響を受け、またロシアは肥料の輸出国なので、全体的に供給不足になっている。農林水産省 みどりの食料システム戦略で、下水汚泥を肥料に使おうとする取り組みがある。つまり、輸入に依存しない、未利用資源である下水汚泥の活用だ。輸入価格の高騰、円安という背景から利用が進む見通しで、これは循環社会を作る上で大事なことだ。より利用が進めば、よい循環社会が生まれるはず。現在、農業利用は10%程度。
米から麦や大豆への転作が進む
ウクライナ危機を受けて国産作物の需要が高まるなか、今年の食料用の米の予想収穫量が発表され、当初の見通し以上に麦や大豆への転換が進んだことが分かった。まだ国内の作物のほうが高い傾向があるが、価格競争できるような状態に近づいてきた。農林水産省は、今年の食料用の米の予想収穫量が去年よりおよそ30万トン少ない670万3000トンの見通しだと発表。7月時点の予想の675万トンをさらに下回る結果。牛や豚鶏などの餌(えさ)になる飼料用の米のほか、食料用の麦や大豆などへの作付け転換は当初4万3000ヘクタールの見通しだったが、実際には5万2000ヘクタールまで進んだ。農林水産省は、ウクライナ危機で国産作物の需要が増加したのに応じて農家が転作に踏み切った結果とみている。日本の農家がお米一辺倒ではなくなってくれば、農業が多様化し、食料自給率が上がるかもしれない。
カーボンファーミングが普及する
畑を耕すことにより、二酸化炭素がたくさん出てしまっている。その二酸化炭素を地中に戻すことによって、よい環境を作る取り組みがカーボンファーミング。土をかき乱さない、多様性を高めるなどの動きのほか、バイオ炭を埋めていき、炭素で微生物が生活できるようにする流れもある。
アクアポニックスが注目される
アクアポニックスは水耕栽培と、魚の養殖を組み合わせるやり方。土地が必要ではあるが、循環をとりれた栽培方法である。
野菜の栽培
農薬、化学肥料、除草剤を使わない。土づくり、水やり、除草が不要、連作障害なし
魚の養殖
抗生物質、成長ホルモンを使わない。水換え不要(水が浄化される)
アクアポニックスのシステムは、植物の水耕栽培装置と、魚の飼育装置の2つに分かれる。魚の飼育装置は、基本的に淡水魚用の閉鎖循環式陸上養殖システムだ。飼育槽、ろ過槽(物理ろ過と生物ろ過)、水流ポンプ、エアポンプで構成される。これらを配管で植物の水耕栽培装置につなぎ、魚の飼育水を循環させることで、植物を栽培する。
食と農の課題をコンテンツで解決する動きが出てくる
クリエイターが自分たちで作るコンテンツで解決できないか、というやり方。「炊飯道」というドラマがあり、そのプレスリリース内ではこのような記載があった。
日本の食には農業従事者の後継者不足や、地産地消の停滞によるフードマイレージ上昇問題、フードロス問題などの問題が山積している。現在、失われつつある羽釜による炊飯を追求する若者のドラマを制作することで、一食一食を大切に食べる意識の大切さや共感を生み、諸問題の解決の足掛かりにしたいと本作品が企画・制作された。株式会社SPOONは社会課題をアイデアで解決するプランニング会社を標榜し、企画立案・映像制作・演出業務をサービスとして提供して参りました。新たな課題解決企画事業の対象として着目したのが農業の後継者不足、地産地消、フードロスなどに代表される「日本の食の諸問題」でした。
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