【開催報告】月刊:よげんの書2022年1月号(前編)――増加蓄積の視点を持とう

ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。

「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。

今回は1/21に行われた「月刊:よげんの書1月号」の前半で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。

目次

公平な分配のためのアルゴリズムが求められる


2021年末から岸田内閣がスタートした。その中で、新しい資本主義として、成長と分配の好循環を目指すと表明された。

ケーキ分け問題を解決する「公平分配理論」

たくさんのフルーツがランダムに並んだケーキをどう公平に分けるのか。この時に使われるのが「公平分配理論」というアルゴリズム。妬みがない状態を作る方法の一つだ。「公平分配理論」は切り分ける人、選ぶ人を分けることによって、公平で妬みがない状態を作る。ケーキを切っていな人から選ぶ権利があるので、切り分ける人はなるべく公平をめざして切ろうとすることから。そんなアルゴリズムを利用し、公平な分配を目指そうとするサービスがある。

カーネギーメロン大学、ルームシェアの家賃を分配

3人でルームシェアをする場合、広さや設備が違う3部屋の家賃を誰がいくら負担するかを計算するサービス。米カーネギーメロン大の研究グループが開発したアルゴリズムが実用化されている。それぞれが妥当と考える部屋ごとの負担額をアプリに入力すると、最適な部屋割りと各々の負担額の結果が示される。自分の価値観を元に値段を入力することができ、公平な家賃の分配を実現できるようになる。

科学技術振興機構(JST)、家庭内の家事を公平に分配

共働き夫婦の増加と、コロナ禍によるテレワーク機会の増加によって、夫婦間の家事の分担をめぐる不満が増えてきた。JSTは「公平分配理論」を使用したアルゴリズムで、家事を公平に分担するアプリ開発を進めている。
生活者に向けてサービスを考える時に「公平な分配」という視点も今後必要になってくるかもしれない。

分配で一番不満がでるのは公平感の部分。日本の企業の人事評価は情実人事が多いと言われている。そうすると、不公平感が出てしまう。アルゴリズムでやると、不公平感がなくなるイメージ。納得する人はいるだろう。

給与の分析やビッグデータが出てくると、どのくらいの人が、どれくらい給与をもらっているかのデータベースを作ることができるようになる。そうしたら、公平なアルゴリズムもできそう。

マックフライポテトでサプライチェーンの課題が身近に迫る

マックフライポテトM・Lサイズの販売を一時休止

気候変動と、コロナ禍によってもたらされた混乱の一つ。世界的なコンテナ不足でカナダの港に大量の荷物が滞留していることに加え、同国での水害、記録的な寒波による積雪、船便の航路上での悪天候などが重なり、日本への船便の到着が遅れて一時ポテトの販売が休止となった。マクドナルドが注目されたが、実は他の会社でも同じようにフライドポテトの販売休止していた。


フライドポテトはほぼ輸入に頼っていたのが休止の原因になった。今後、リーズナブルに食べていたものの値段が変化する可能性もある。

牛丼チェーン3社、値上げ実施

サプライチェーンの課題、もう一つ。牛肉価格の高騰の影響を受け、牛丼チェーン3社が相次いで値上げを実施。新型コロナウイルス禍で生産地の人手不足が強まったほか、経済再開が早い米国や中国で需要が急拡大したのが理由。飲食業で使う食材は輸入依存が高く、円安の進行も逆風となっている。材料費の高騰により、消費者の方にも影響が出始めている状態だ。グローバルな資本主義経済のサプライチェーン課題の一つである。

グローバルサプライチェーンはリスクだらけだった。サプライチェーンの問題もあり、安全保障の問題もある。一つの問題(水害など)で崩れてしまう、止まってしまう危険性をはらんでいる。自然災害はいたるところで起きているので、輸入が止まってしまうことは今後もまた起こりうる事態ではある。

強靭なサプライチェーンをどう作るか。今は海外への依存が多すぎる。食料自給率をあげて、国内でどう調達をするかを考えるべきなのかもしれない。意識して、できる所から始めなければならない

再エネのサプライチェーンの課題は企業が自ら解決する


2021年3月11日、日本自動車工業会の定例記者会見で、豊田会長は「このままでは日本でクルマが作れなくなる」と発言した。背景として、グローバル企業は脱炭酸を求められている。日本の工場では再生可能エネルギーで工場を稼働できず、車も作れなくなるという問題意識からの発言。

脱炭素時代、再エネの確保は企業の存在を左右する

グローバル企業は自力で再生エネを確保できるように急いでおり、amazonを筆頭に増えている。既存の発電所から買うのでなく、投資をして自社での新設が条件だ。脱炭素時代のグローバル競争はサプライチェーンを先に押さえた者が優位に立つようになるだろう。国や市場がサプライチェーンを整えるのを待っていたのでは、進まないこともある。SDGsへの配慮や増加するESG投資などもあるので、対応しないと、物が作れなくなったり、批判される可能性もある。

再生可能エネルギーの方がコストが安い。amazonは脱炭素に向かうという気持ちもありつつ、自分たちで作ったほうが安い、という読みもあるかもしれない。BMWも自社の大きな風力発電がある。電気を確保できないのは死活問題になる。

RE100のモチベーションはエネルギーコストを下げるために、再生可能エネルギーを使うこと。日本ではまだ生産のコストが高いが、グループやアライアンスで作ればもっと手軽になるかもしれない。

エネルギーの物価も高くなっていて、危機感が高まっている。自前でつくれて、費用が抑えられるのであればチャレンジするべき。

永く持つほど価値が高まるモノが増えていく

テスラは購入した後に、アップデートや機能の追加で価値を高める

テスラはソフトウエアの更新によって、ハードウエアである車の価値を買った後から増やしていこうという考え方を持っている。ソフトウェアを更新できることにより、安全支援機能や自動運転機能を常時、最新の状態にできるようになっている。テスラの車は持てば持つほど便利になっていくということだ。購入した時にシートヒーターの機能自体は車に搭載されているが、別途サブスクリプションを払わないと、機能を利用できない仕組みになっている、など。お金を払えば経験価値が高まるのは確か。テスラは面白いモノづくりをしていると感じる。車の価値が最も高いのは新品の時で、段々価値がなくなっていくという「減価償却型」の経済から、アップデートして価値を増す「増価蓄積型」の経済への変化が見られる。

ホンマハウス、住宅版テスラを目指す

ホンマグループはソニー出身者が米国に設立したスマートホームメーカーである。米西海岸で売り出した「ホンマハウス」はインターネットとつながる住宅設備機器の機能をソフトウエアで更新し、サービス内容を進化させ続ける家だ。家も減価償却型の大きな買い物であるが、セキュリティや冷暖房、照明の昨日などをアップデートできることにより、価値を高めていくことができる家になっているという。アメリカなどは新築よりも、中古の物件が数多く存在している。本間毅社長は「アップデート型の住宅は中古市場に出たときも価格形成で有利になり、住宅市場に好循環を生む」と読む。アップデート型の住宅増加蓄積型の良い例だ。

車はオプションをたくさん選ぶことができるものの一つだ。だが、車のモデルごとにオプションの仕様が異なっていたりするので、メーカーや販売店は在庫の管理も大変そうだ。テスラの様に、機能をあらかじめ搭載しておき、同じ車を作ってしまった方が在庫のコストが少なくなりそうだ。作り分ける必要も、数を揃える必要もない。オプションも手元のスマートフォンでできるようになる。経済合理性がある。

大きい買い物は購入するときや選ぶ時に緊張するものだ。だが、後からじっくりと検討して追加できると分れば、気持ちも少し楽になりそう。

メタバース環境への準備が着々と進む


以前もメタバースも話題も取り上げたが、環境が整いつつある。進んでいる、という事例。
https://www.dohouse.co.jp/kikulab/?p=15277#index_id10

今年のCESの話題の中心は、モビリティ、ロボット、メタバース

CES:米国テクノロジー見本市が2022年1月4日~7日に開催された。今年話題だったのは、ソニーも参入したEVなどのモビリティ、ロボット、メタバースだった。

ホログラムでヘッドセットを使わずにメタバースの世界に

現状、メタバースの世界に入るには仮想現実ヘッドセットが必要だが、ホログラム技術を使えば不要となる。ホログラムにはメタバース事業への参入や利用の障壁を下げるとの期待もかかる。ホログラムの利用は、映画「スター・ウォーズ」のロボット「R2-D2」がレイア姫の像を光で再現するようなものだ。SFさながらの疑似技術が注目を集めている。ゲームやビジネス会議で、

最初はゲームでの利用が中心になる可能性が高いが、ビジネスの会議でも利用を検討されるようになるだろう。メタバースのヘッドセットがないだけで、少し障壁がさがるのではないかと思われる。

ハプティクスで手触りや衝撃を再現する

ハプティクスは微細な超音波や磁場などを活用することで、様々なデバイスを通じ、手触りから体に受ける衝撃まで幅広い触覚をメタバース空間や遠隔で体験できる技術だ。スマートフォンで画面をタッチすると、震えたり、音が出たりして「触った」と感じられるものが代表的だ。ハプティクスを活用することにより、多様で現実に近い触覚表現が可能になり、コンテンツの世界に入り込む没入感も高まる。ゲームのほか、医療やECなどへの応用についてCESでは発表がされていた。楽しものの他、便利な物、使えるものが増えていく可能性がある。

細かなジョブに対応する周辺機器も続々登場

ペブルフィール:シフトール(パナソニック)

手のひらサイズの冷熱装置。同装置を付けた専用シャツを着ると、首元が熱くなったり冷たくなったりし、仮想空間での体験を現実により近づけられる。

ミュートーク:シフトール(パナソニック)

口に装着すると音漏れを少なくできるマイク。メタバース内で会話を楽しんだり、会社の自席などでテレビ会議をしたりする際に、自分の声が外に響くことを防ぐ。

『WIRED』というメディアの初代編集長ケヴィン・ケリーは著書の中で、「メタバースではアバターで交流する。人種や性別が表にでないため、偏見を乗り越えるために活用できるのではないか」と言っている。技術先行ではなく、メタバースを使うビジョンを語って欲しい。

2022年1月の提言:増加蓄積の視点を持とう

減価→使い捨ての消費を止めるために持ち続けるほどに価値があがる商品・サービスを考えよう。増価蓄積が進めば、公平な分配にもつなぐことができるはず

次回の「よげんの書」は2月18日(金)の開催です。ぜひお申し込みください

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この記事を書いた人

ドゥ・ハウス 広報部 マネジャ
聞く技術研究所 所員。

新橋で働く30代OL。DINKS。夫婦で在宅することが増えたので、いかに家を快適にするかを考え中。

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