【開催報告】月刊:よげんの書2021年8月号(後編)――できない理由を探すのをやめよう

ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。

「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。

今回は8/20に行われた「月刊:よげんの書8月号」の後半で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。

目次

デマ情報が停滞を助長する

数万件のデマは、僅か数十アカウントの投稿から

ワクチンが不妊につながるというツイッター上への投稿が1月から7カ月間で約11万件あった。その半数の5万件超がわずか29アカウントの投稿が発端だった。つまり、29人の投稿を拡散する人たちがいるだけで、少数の意見が広がってしまうメカニズムがある。それがSNSの威力だ。国立精神・神経医療研究センター等が実施したワクチン接種に関する大規模調査では、接種したい人は35.9%、様子を見てから接種したい人は52.8%、接種したくない人は11.3%だった。デマが広がることによって、ワクチン接種のスピードを遅らせることにもつながる。

誤情報を広げる中心的な人は利益を上げている

米英が拠点のNGO「デジタルヘイト対抗センター(CCDH)」の調査によると、インターネット交流サイト(SNS)上で新型コロナウイルスワクチンに反対し誤情報を広げる中心的なインフルエンサー12人は少なくとも計3600万ドル(約40億円)の収益を上げているという。その中で雇用も生み、産業の体を成してきた。こうした現象が、根強い米国内のワクチン忌避を支えている。さらに巨大IT企業にも広告収入などで11億ドル(約1200億円)の経済価値をもたらしたと計算されている。デマ発信し、それが注目されると、発信した人は儲かる仕組みになっている。良い情報でも悪い情報でも、アクセスが増えると広告収入ができるようになる。構造的な問題がある。

少し前にナシーム・ニコラス・タレブの「反脆弱性」という本があった。それでは、秘密にするように頼めば頼むほど、広まるという話があった。
禁書ほど人々は欲するようになり、歴史に残るようになる。デマと目的は違うが、噂話は早く広がるように感じる。

哲学者のマルクス・ガブリエルは「偽物は一番資本主義的らしい商品だ」といった。元手は安いが、売れるのである。資本主義経済を象徴するのが偽物とは悲しい。真実を求めていきたい。

日本のエネルギー政策が迷走する

電源構成の課題は多い

30年度の電源構成に関する新目標が出た。元々作成していたものはあったのだが、各国からの脱炭素の要求があり、それに合わせて政府が更新したもの。再生可能エネルギーが2割から約4割へ、火力が5.6割から4割に増加した。(原子力は約2割で変わらず)風力は洋上が主力になっている欧州と違い、陸上重心に設置予定で数が多くない。陸上に設置するのは、調査の遅れからである。洋上に設置するのには海洋の調査をしなくてはならず、5年はかかる。なので、今から調査したのでは間に合わないとのこと。

政府・与党内の意見集約が難航した

迷走しているのは、経産省と環境省の意見が一致しなかったため。経産省は「電源バランス」を重視している。再生可能エネルギーは稼働率が変動することがあり、そのためのコストがかかる上、置き場所の確保が難しいので反対している。一方で、環境省は経産省が「コストがかからない」と言っている原発に関して総コストを明示すべきと主張。対立している。

仮想発電所の可能性

ドイツ全土の新しい発電ネットワークでVPPというものがある。色んなところで電気が作られて、困った時には貯めたものを使う。ドイツではかなり広がっており、日本でも始まっている。このネットワークができれば、エネルギーインターネットができて、スマートに稼働できるようになるかもしれない。太陽光パネルが設置できない、制御できないなどの問題は解決できそう。

仮想発電所は電力会社だけではなく、パナソニックやNTT、DMMなどのIT企業含む、異業種の参入もあり得る。プレイヤーが増えれば、省庁間の意見争いに加わることなく、推進する力になるかもしれない。

仮想発電所というのは、エネルギーのインターネットである。ネットワークになっていくのがスマートな感じがする。

副業人材への期待が拡大する

副業を容認し、なおかつ副業人材を受け入れる企業が増えている

パーソル総合研究所の調査によると、2018年と比べると、副業を全面容認する企業が増えた。また、同様に、副業人材を活用したいという企業も約半数となった。副業を容認しつつ、副業で働く人を受け入れている企業が増えているということだ。インフルエンサーもプロジェクトに入ってもらう、という話に似ているが、大企業は副業人材を受け入れる目的が新規事業、新たな知識確保のためなど、明確になっている。プロジェクトフォースなど、自社の垣根を越えて、プロジェクト単位で素早く事業を回していくことが起こっていくだろう。人材の紹介/マーケットプレイスはますます拡大しそう。

ライオンの例が有名。既存事業ではない、全くの新規事業に副業人材を受け入れていれて、異業種の副業人材と伴走して進めていく仕組みを作っている。大手がするのがすごい。新しい風を取り入れていると思う。

ライオンはスゴイ。自社の副業もかなり早くから容認していた。副業している人の方が視点が広いのではないか、という考え方もあったのでは。ライオンの人事部では副業の斡旋までしている。人材を有用に活用していくと、硬直化した労働体制も変わってきそう。

日本人の幸福感が一筋縄ではいかないことがわかる

幸福度ランキングと、ネガティブ感情の差

OECDの幸福度ランキングで日本は20位だが、「ネガティブ感情度」は低いことが分かった。本川裕(ほんかわゆたか)氏による分析によると、日本人はさほど幸福感は感じていないが、ネガティブな感情が低い。つまり、普段の機嫌はよいのに幸福ではないということだ。ネガティブ感情度を男女で比べると、女性の方がネガティブな国が多い。だが、日本だけが逆転している。日本のジェンダーギャップは120位で男尊女卑の状態であるともいえ、女性の環境が良くないと語られるが……。男性の方がネガティブ感情高い。幸福度も一貫して女性の方が高い。男性の方が強い立場にいることが多いのに、幸せを感じていない。ジェンダーギャップと女性の幸せは相関がないのかもしれない。また、世界的には高齢者がネガティブなことが多いが、日本では例外。高齢者の方がネガティブ感情度が低い。学歴とネガティブ感情の相関図に関しても、日本は海外と異なる。他の国では低学歴の方がネガティブ感情が高いが、日本は高学歴の人の方が僅かにネガティブであった。

最近公開された「インザハイツ」と「ブラックウィドウ」という映画では、女性が現状に満足せず、飛び出していく話だった。男性は女性をサポートし、フォローする物語だった。今は女性が変えようと飛び出していく時代なのかもしれない。世界では不満もあり、なんとかしなくては、という意識が高いのかもしれないが、日本ではこれからなのかも。

リスキリング革命が始まる

2025年の雇用の増減予測がでる。大きく構造が変わる

2020年のワールドエコノミックフォーラム(世界経済フォーラム)の資料で、デジタル化に伴う2025年までの雇用の増減予測がでた。デジタル化によって構造が大きく変わるのではないかと言われている。減る職種としては、事務員、秘書、会計士、工場労働者。増える職種として、データアナリスト、AI技術者、デジタルマーケティング専門職など。他にもケアエコノミーと言われる医療や介護も増えると言われている。しかし、この構造変化にまだ人々が付いていけていない。

リスキリング先進国の政策の特徴

雇用の変化に人々を対応してもらうためにリスキリングが求められており、政策の主眼に置いている国もある。リスキリングとは、スキルの再構成、学びなおしのこと。未来の仕事に対する教育を意識している。大手のコンサルと連携したり、スタートアップと若年層の教育を連携するなど、必要な未来の仕事への訓練を探っている。世界のCEOがリスキリングに求める効果として、DXやイノベーションの促進も高く出ている。今持っているスキルだけで長く働くことはできない、という現れ。先月のトピックスにあったフレキシキュリティに通じる。学びなおしは今後も大きなテーマになっていくだろう。

学びなおしが盛んな国は生産性も高い

日本は労働生産性は高くないと言われている。学びなおしの制度をしっかりと作ることによって、生産性を向上できる可能性がある。また、職業訓練への公的支出が多い国は所得格差が小さいと言われている。日本はどんどん格差が大きくなってきているので、学びなおしによって、格差が縮まるかもしれない。日本低迷の打破のきっかけの一つになる可能性がある。

日本の企業が取り組んでいる学びなおし

日本の企業は社員の能力開発にお金をかけていないと言われている。GDPの1~2%かけている先進国が多い中、日本はわずか0.1%。その背景として、メンバーシップ型の雇用により、会社に入ってしまえば、黙っていても給料が上がっていくことがあった。その為、新しいスキルを身に着ける必要性が低くなり、お金もかけなくなっていった。それがドンドン変わっていくだろう。リスキリングに取り組む企業としてキヤノン、日立製作所、サントリーホールディングス、三井住友フィナンシャルグループなどがある。大きく学びなおしに投資することにより、自社人材の生産性を改善しようとしている

最近エドテック(教育(Education)× テクノロジー(Technology)を組み合わせた造語)の領域も活発になっていると聞いている。学びなおしの仕方もフレキシブルになっている。スマホを使っての勉強などもある。それを活用して、会社が採点結果を見れたり、誰がどこまで進んでいるかを把握できたりもするようになる。政府もエドテックに支援を届けてもらえると嬉しい。

日本もGDPの1~2%を企業の教育に投資するようになれば、5兆円~10兆円のマーケットが出来上がるようになる。そう思うと、かなり大きなマーケットになる可能性がある。

2021年8月の提言:できない理由を探すのをやめよう

有益であるとわかっていても未知のものや未経験のことへの抵抗感から出来ない理由を探してしまう現状維持バイアスから抜け出す努力をしよう

次回の「よげんの書」は9月24日(金)の開催となります。ぜひお申し込みください

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この記事を書いた人

ドゥ・ハウス 広報部 マネジャ
聞く技術研究所 所員。

新橋で働く30代OL。DINKS。夫婦で在宅することが増えたので、いかに家を快適にするかを考え中。

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