【開催報告】月刊:よげんの書2021年8月号(前編)――子どもや孫の時代の生活を考えて行動しよう

ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。

「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。

今回は8/20に行われた「月刊:よげんの書8月号」の前半で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。

目次

スポーツをきっかけに不平等と倫理が見直される

2021年東京五輪は過去最高にジェンダー平等で、ダイバーシティな大会だった

女性選手の比率はほぼ半分の48.8%となり、過去最高で男女がほぼ同数となった。1964年の東京オリンピックの女性の参加割合は13.2%だったことに比べると、大きな変化である。参加国数も前回リオ大会と同数で過去最高だった。初採用となった「スケートボード」や「サーフィン」も多いに盛り上がった。それらの競技では10代のメダリストが次々と誕生し、若者の活躍も心に残った。

倫理に欠ける言動をしてきた人が次々とキャンセルされた

過去も含めて、いじめや人権差別、パワハラなど、倫理に欠ける言動をしてきた人が明らかになり、非難を浴びた。法律では罰せられない問題であっても、倫理的に許されない、許したくない言動がソーシャルメディアの世論によってキャンセルされた。開催直前に関わらず、人員の変更がされるなど印象的だった。世界では「MeToo」や「OscarsSoWhite」(アカデミー賞の白人びいきのムーブメント)のようなキャンセルカルチャー、消費アクティビズムが活発である。オリンピックを機に日本でもよい流れとしてはじまりつつあるのでは。不平等が解消されて、倫理が考え直されるきっかけのイベントになりそう。

日本では倫理に欠ける言動をした昭和のおやじ同士がかばう構図があり、なし崩しになっていた。だが、女性蔑視発言で森氏が辞任するなどした以降、対応するようになってきた。清濁併せのむ感覚が通用しなくなってきている。悪いことは悪いと言うようになる。だが、それで人間性までキャンセルしてしまうようになってはいけない。罪を憎んで人を憎まずで、やったことは悪いが、その全人格を否定してはいけない。それも倫理。

クチコミの力にお金と期待が集まる

7月15日、Facebookは10億ドルを投じてクリエイターを支援することを発表

マーク・ザッカーバーグは、自身の投稿で「何百万人のクリエーターが生計を立てるための最高のプラットフォームを構築したい」と述べた。フェイスブックやインスタグラムで素晴らしいコンテンツに対して報酬を支払うプラットフォームを2022年までに作ると宣言した。ネット上で活躍するインフルエンサー、エヴァンジェリストがマーケティングにより使える力になってきているとの認識が戦略の背景だろう。彼らの動きはここ最近また一層加速しているが、さらにドライブをかけるものをフェイスブックが行っている。ネット上で活躍するインフルエンサーが生み出す巨大な経済効果は「クリエーターエコノミー」と呼ばれ、注目が増している。

花王は日本の商品を購入して消費者に転売する中国の個人事業主(バイヤー)と協業

SNSで個人事業主(バイヤー)に高級化粧品を宣伝してもらい、越境ECで販売してもらう取り組みを花王は行っている。中国の化粧品EC市場は影響力のある個人の「クチコミ」を通じた取引が急拡大している。中国の化粧品EC市場は約4兆8000億円。その3分の1は、影響力のあるブロガーなど「インフルエンサー」やバイヤー経由で購入される。口コミの力で買われていくネットワークの象徴的な事例。

ワークマンは自社のアンバサダーを4割増員

以前からアンバサダーはいて、取り組みを行ってきた。好調なのでさらに進めるとのこと。ワークマンの商品を愛用し自発的に情報発信するユーチューバーやブロガーらをネットワークし、彼らを通じた顧客開拓を強化する。加えて、「公式アンバサダー」の意見を取り入れたプライベートブランド商品の品ぞろえを5年以内に現在の2倍の100品目程度まで増やす予定。今までアンバサダーやインフルエンサーは「情報を広げてくれる人」だった。それを、情報発信してもらうだけではなく、企業が情報を彼らから貰い、商品開発まで一緒に行うという取り組み。広げるだけではなく、商品開発のための口コミの力が期待されている。

部門横断して、何かを一緒に取り組む時はタスクフォースとなる。会社という単位を乗り越えて、プロジェクト単位で何かを進める時はプロジェクトフォースを作ることになる。企業と個人結びつきながら、新しいものを作っていく動きは益々出てくるだろう。そうすると、個人の才能をどう活かすか課題になりそう。

2020年代生まれの子どもと気候変動との闘いが激化する

大雨3回、猛暑は400日

孫は祖父母が遭遇しないような暑い日と大雨を何度経験するのか? ということを 国立環境研究所がシミュレーションし、発表した。60年生まれの人が80歳まで生き、60歳の時(2020年)に孫が生まれたと仮定した場合、孫世代が80歳(2100年)になるまでに、祖父母世代が遭遇しなかったような大雨を3回、猛暑を400日体験するという結果が出た。過酷な環境の中で生活しなければならないというシミュレーションだった。温暖化が進むと、高温の日が増えることに加え、大気中に含まれる水蒸気量が増えるため、日本では大雨の頻度が増加するとされる。産業革命前と比べて今世紀末に4.8度上昇すると、東南アジアや中央アフリカ、南米大陸の北西部などでは祖父母世代が経験しないような大雨を孫世代は5回以上経験すると予想された。アフリカ北部や南米の熱帯域では、孫世代は異常な暑さを計1000日以上経験する見込みだという。

気候変動は世界の平和を壊す

気候変動は生命の危機にも繋がるが、平和も脅かす存在になる。「わが国の安全保障と防衛を、気候変動がこれまで以上に脅かしている」 オースティン米国防長官はこう宣言し、地球の温暖化を「天敵」にすえて対応することにした。干ばつや水害、海面の上昇により、住めなくなったり、作物が作れなくなった南半球の国々から大量の移民や難民が世界にあふれ、緊張が高まる可能性がある。ぜい弱な国家の破たん、テロ組織や過激派の拡散、食糧難や資源の奪い合いの過熱がする恐れもある。それによって、インド太平洋の大国間対立がさらに激しくなる危機的なシナリオがある。国だけではなく、世界の問題になる。

温暖化については30年前、NASAがアメリカ上院の公聴会で最初に話をした。その時期に気候変動に対して危機感は高まったが、「科学的根拠がない」と論争が始まってしまった。それにより「気候変動はない」「天気は変わるものだ」と思い込んでしまい、デマを信じることにより30年間何もしない期間があった。それが今尾を引いている。これからは意識をもって行く必要がある。

緑の視点を持つ生活者が増える

緑の視点とは、環境に配慮した視点のこと。

ユニクロは環境負荷の低い素材や製法を用いた子供服を8月末から発売

再生繊維のフリースは2020年に男性向けで商品化していた。21年からは対象を広げて子供服のほか女性向けにも広げる。また加工時の水使用量を最大99%減らしたジーンズも子供服で初めて用意する。サステナビリティーに関心が高い親子に訴求しブランドへの支持を広げる。親が環境に配慮した視点の教育を子供に行う取り組みの一つとしても活用できるのではないか。

油まみれの合成繊維を使わず、天然素材でスポーツウェアを作る

アパレル業界は環境破壊に大きく関与していると言われている業界の一つ。スポーツウェアは科学素材を多く使っていることがある。米国オールバーズは環境に配慮したものづくりで若者を中心に支持を集め、いま最も注目を集めるブランドの一つ。靴や衣類にニュージーランド産の羊毛やサトウキビなどの天然素材を使用し、生産にかかる二酸化炭素排出量を商品タグに明記している。ブランドづくりの中で環境にも配慮している。日本人向けのウェブサイトでは「石油まじりの汗」「なぜ、スポーツウェアは油まみれなの」などど、中々強い主張のタイトルをつけて、NOを突き付けている。

ブランドにはこのようなナラティブ大事。物語をどう見せて、語るのか。物語の中に共感する要素を盛り込めるのか。ユニクロの場合もそうだが、商品だけ見せられてもわからない。だが、物語があれば、裏側にはこんなストーリーがある、ということを訴求できる。その思いに共感してバイコットする動きが大きくなりそう。

カッコいいの概念が変わってくるかもしれない。表面的にみえるデザインもカッコいいが、それだけではなくなりそう。

小売・売場のクロスオーバーが進む

セブン・イレブン、店内でダイソーを本格展開

セブン・イレブンのダイソー商品の取り扱いは2020年から実験的に始めており、同じエリアの他のお店と比べて、実験店では雑貨の売り上げが1割弱増加した。年内にも首都圏を中心に200店規模まで拡大するとのこと。(セブン&アイ・ホールディングス 2021年第1四半期決算説明資料からの引用。)全然別のお店の商品を売るというクロスオーバーが大きく進む取り組みの例。背景として、新型コロナウイルス禍で高まった1店舗で買い物を済ませたいという消費者側のニーズがある。店舗側も、PBによる品ぞろえの充実など自前での展開を重視してきたが、消費行動が変化するスピードがコロナ禍で加速する中で対応に限界もあった。自社だけではない商品を取り扱い、活性化する取り組みである。

業界の垣根を越えた売場作りが進む

家具と電化製品が多かった。革新的なのは、取扱製品の半分を家具、雑貨としたヤマダ電機の新店舗。売り場のクロスオーバーが始まっている。

ここでは商品扱っていないけれど、売っていたら便利に思ってもらえるのではないか、新しい商品を売ってみようなどという発想をして、小売へメーカーから提案する動きもありそう。どこでクロスオーバーできそうか考えるのも今後でてきそう。

オフラインのプラットフォーマーである店舗が、オンラインのプラットフォーマーと同じような流れの中でビジネスを始めている。プラットフォーマーは自社の商品も扱うが、拡大していくにつれて、客の課題解決やニーズに合わせて他社のものも取り扱いをしていくようになる。プラットフォーマー上でビジネスをしていく仲間を引き入れていくこと動きがありそう。ただ、統一した文脈、ストーリーがないとダメ。今回であれば家電と生活雑貨などの「ライフスタイル」仲間を集めている。これまでオンラインで行っていたものが、オフラインで行っていくようになりそう。

2021年8月の提言:子どもや孫の時代の生活を考えて行動しよう

未来を見据えて行動する生活者と企業が増えています。自分の子どもや孫たちは、どんな環境で、どんな生活をしていて欲しいのか、未来に継承する行動を考えましょう

次回の「よげんの書」は9月24日(金)の開催となります。ぜひお申し込みください

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この記事を書いた人

ドゥ・ハウス 広報部 マネジャ
聞く技術研究所 所員。

新橋で働く30代OL。DINKS。夫婦で在宅することが増えたので、いかに家を快適にするかを考え中。

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