月刊:よげんの書アーカイブ~【2020年11月号】前編―――ゼブラになって考えよう

よげんの書は、生活の変化や経済・環境の変化など、社会課題を背景に少し先の生活を考えるマーケティングコンテンツです。企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のナラティブをみなさんと共有するために定期的にセミナーを開催し、毎月10のよげんを発表しています。

本ブログでは、2020年11月に発表した10のよげんの中の5つをセミナーでお話した内容のサマリとともにお届けします。

目次

2020年11月号のよげん:前編

社会に貢献するゼブラ企業が注目を集める

201101.社会に貢献するゼブラ企業が注目を集める

今、市場では成長と社会課題の解決の両立を目指す「ゼブラ企業」が存在感を高めています。ゼブラ企業は既存産業を破壊してでも急成長を追う「ユニコーン」への反発から生まれました。例えば、途上国の産業支援やごみの再利用、若者の支援などに取り組むスタートアップ企業に注目が集まっています。

それらの企業が取り組む社会課題に対しては、ESG投資の観点で資金が集まりやすくなっています。株式市場では二酸化炭素(CO2)の排出量の増減が時価総額に影響するようになってきています。日本企業は排出量の削減で見劣りし、マネーが素通りしかねない状況も、具体的な評価として見えはじめました。

加えて、成長と社会貢献の両立を目指すゼブラ企業は高い志と技術を持った人材が集まりやすくなります。株式市場においても、採用市場においても、ゼブラ企業には注目が集まっていくと考えられます。

生活者の心身の健康をデジタル薬が支える

201102.生活者の心身の健康をデジタル薬が支える

長期化するコロナ禍によって、心身のストレスを訴える人が増えています。具体的な数字として、緊急事態宣言があけてニューノーマルな生活環境がはじまった2020年7月から、日本において自殺者数が昨年を上回るようになってきました。こうした生活者の心のケアと、体のケアにおいてもその効用が期待されているのが「デジタル薬」です。

改正医薬品医療機器法が2020年9月に施行となり、オンライン服薬指導やAIを活用した医療機器の承認制度が導入されました。これを受けて、8月には国内初めてのニコチン依存症のための「デジタル薬」が薬事承認を受けることになりました。従来の錠剤や注射という薬が、アプリやVRといったデジタル薬に代用される可能性が生まれました。デジタル薬には、開発コストの低下や、副作用の小ささ、データによる分析のしやすさが期待されています。

コロナ禍によってひっ迫する医師や薬剤師でなくても、生活者の心身を癒せる方法の開発がはじまっています。

鬼滅の刃がファミリーを街に解き放つ

201103.鬼滅の刃がファミリーを街に解き放つ

2020年9月のよげんの書では、8月に公開された「映画ドラえもん のび太の新恐竜」の公開後土日2日間の動員数が、昨年公開のドラえもん映画「月面探査記」と比較して、59%だった結果を引用し、「ファミリー層はまだ自粛が続いている」という話しをしました。

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その状況が、10月16日の「鬼滅の刃 無限列車編」の公開により、一変しました。同じく公開後土日2日間の動員数は251万人。ドラえもんと比較して、7.5倍の人を動員しました。首都圏7か所の映画館の滞在者を、KDDIのGPSを使って測定した「Location Analyzer」の分析では、映画公開の16日以降、すべての映画館で滞在者数が急増していました。また、年代別の分析では、子どもと一緒に観ているケースが多いであろう40代の滞在者数が全映画館で平均2倍に増加していました。

すべての娯楽コンテンツにおいて今年最大、また日本映画史においても恐らく過去最大のヒットを記録するであろう「鬼滅の刃」は、COVID-19以降自粛傾向が続いていた、ファミリー層を街に解き放つ役割も担ってくれたのではないでしょうか。

サブスクモデルの生き残り戦略が求められる

201104.サブスクモデルの生き残り戦略が求められる

COVID-19による巣ごもり需要の後押しもあり、サブスクスプションサービスの市場は大きく成長と多様化をしています。ICT総研のレポートによると、2020年は12,490憶円、2023年は14,370憶円の市場になると予測がされています。一方で、参入する企業の増加により競争も激化していて、撤退・休止を決めるサービスも増えています。初期費用の安さでサービスに飛びついた消費者が飽きてしまい解約する「サブスク疲れ」という言葉も現れ、日本サブスクリプションビジネス振興会によると、国内で参入した企業の3割は1年以内に撤退していると言われています。

そうした市場の中で生き残るために、サブスクサービスの大手がとる戦略のひとつが「複合化」です。有名なサービスでは、Amazonが無料宅配と動画配信をセットにした「Amazonプライム」を長く提供しています。2020年10月にはAppleが別々に契約していたサブスクリプションサービスのワンセット提供する「Apple One」をスタートさせました。

もうひとつの生き残り戦略は、Netflixがはじめた「寝た子に声を掛ける」顧客とのエンゲージメントを重視した戦略です。Netflixは2020年5月から、はしばらくサービスを利用していないユーザーに利用の継続を確認するコミュニケーションをはじめました。顧客とつながり続けるサブスクサービスであるがゆえに、利便性を高めるとともに、誠意が伝わる真摯な対応が生き残るための秘訣になるのかもしれません。

食糧(計画)が心理的ワクチンになる

201105.食糧(計画)が心理的ワクチンになる

2020年10月に発表された今年のノーベル平和賞は「世界食糧計画(WFP)」が受賞しました。紛争地域などで食糧支援を行う活動に加え、COVID-19のパンデミックに直面して、その取り組みをいっそう強化する印象的な能力が称えられました。受賞の際のコメントでは「私たちが医療用ワクチンを接種できる日が来るまで、食物は混乱に対する最良のワクチンだ」と評価されています。

WFPの受賞により、食品ロスの機運はさらに高まると予想されますが、日本における食品廃棄量は643万トンであり、毎日10tトラックで1700台分が捨てられている状況です。日本の人口1人当たりの食品ロス量は年間約51Kg。日本では、家計における食費は消費支出の中で4分の1を占めています。食品ロス量の内訳は、家庭からは291万トン。事業系からは352万トンであり、生活の場面でも、製造の場面でも、食品ロスや食糧計画への対応がより一層強く求められる可能性があります。

2020年11月号のよげんから考える提言

201111.ゼブラになって考えよう

利益と社会貢献が両立でき、医師でなくても生活者の心身を癒すことができ、医療用ワクチンがなくても心理的ワクチンを提供することもできる。自社・自分の枠にとらわれずに、2つ3つと違う色を入れることで今よりよい社会創りに貢献できるマーケティングを考える「ゼブラの視点」が求められているのではないでしょうか。

 

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この記事を書いた人

株式会社ドゥ・ハウス 執行役員 聞く技術研究所 マネジャ

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