- 事実新聞とは
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生活者の購買現場をじっくりと観察、店頭で起きていることを「事実」データとしてクイックにお届けし、メーカーをはじめとする企業のマーケティング活動をサポートする情報誌です。当ブログでは誌面のコーナーごとに抜粋して紹介します。新聞紙面は以下より閲覧・ダウンロードができます。
ドゥ・ハウスのフィールドマーケターである主婦の「DOさん」の山岸さん(仮名・45歳)がある日のご自身の買い物行動について、『行動』と『つぶやき』にわけてデータを作成した。
店名・店舗名 | イトーヨーカドー グランツリー武蔵小杉店 |
家族構成 | 夫(48) 長女(19) 次女(16) |
日付 | 2015年1月23日(金) |
店に入った時間 | 17時00分 |
店から出た時間 | 17時45分 |
同伴者 | なし |
買い物手段(歩き、車、自転車等) | 車 |
天気・気温 | 晴れ・10℃ |
目次
今日の買い物主婦
今朝次女のお弁当を作ろうとしたら、肉類やお弁当に使えそうな食材が全くなく困ったことを思い出した。冷蔵庫にチルドルームと冷凍庫を見て、ストック食材が何もないことを確認した。
今週はゆっくり買い物に行く時間もなかったから、冷蔵庫の中がスカスカだ。今晩のご飯のメニューは全く思い浮かばないけど、とりあえず、週末に食べられそうな食材とお弁当に使えそうな食材を調達に行こう。武蔵小杉のグランツリーでお目当てのシフォンケーキを買って、ウィンドウショッピングがてら帰りにスーパーへ寄ろう。
色とりどりの野菜・果物が家族を思い起こさせる
1.店頭の果物が積まれた島を後ろに回ると、冷蔵棚に並んだカットパイナップルと、カットフルーツが目に止まった。普段見慣れない筒型のカップに入ったミックスフルーツの所へ近寄り、どんなフルーツが入っているのかを見定めて、カゴに1つ入れた。
フルーツパーラーのショーケースみたいでおいしそう。カップに入った食べきりパックのフルーツはリボン風の緑の帯シールが付いて、3、4種類のフルーツ盛りでデザート感たっぷり。ダンスの稽古で帰りが遅い長女に買っておいてあげよう。
2.果物の棚の奥に、サラダバーのような色とりどりのカット野菜が冷蔵棚2棚分に並んでいた。左から右へとどんな野菜があるのかをゆっくり見る。
赤、白、黄色、緑に紫、とカラフルな野菜がいっぱいで見ているだけでワクワクしてくる。普段わざわざは買いにくい紫キャベツとかマッシュルームは彩りを添えたい時に使えそうだけど、正直カット野菜は栄養分が抜けてそうで、割高感も気になる。忙しい時や娘のお留守番用に、今度買ってみよう。
3.カット野菜コーナーの一角にプチトマトがサラダバー状に並んでいる。赤、オレンジ、緑、ブラック、アイコの5種類を順に見た後、空容器とトングを手にして、トマトを詰めた。
プチトマトって品種によって味も色も違っていて、見ても食べても楽しい。酸味の少ない味が好きなアイコ、見た目の珍しい緑のトマトを中心に買ってみよう。お料理のアクセントやお弁当の隙間にも使えるな。
商品名に安心感を持って迷わずカゴに入れる
4.外側の棚に抜けるように直進方向に進むと、棚に玉子が並んでいた。『こだわり新鮮たまご』を特に値段も見ずに、カゴに入れた。そういえば、今朝お弁当に卵焼きを焼いたら、玉子が1個しかなかったっけ。玉子は朝食にもお弁当にも使うから必需品。品質も、「こだわり」「新鮮」の言葉に、何となく安心。
肉と魚は「解凍」の表示を気にして見る
5.店内奥へと進むと、冷蔵棚に肉が見えた。足元近くの下段に並んだ豚バラ肉。パック表面には、「キムチ鍋用」と書かれたシールが貼られていた。価格ラベルに「解凍」と書かれているのを確認し、500gと300gパックを見比べて、300gの方をカゴに入れた。
「キムチ鍋用」と書かれたシールを見て、肉の分厚さや用途が想像できて、野菜炒めから煮物、お弁当にも色々使えるなとピンと来た。一度解凍した肉は冷凍すると不味くなるとテレビで聞いてから、いつも肉や魚は「解凍」表示は気にして見るようにしている。1、2度で使い切れる量にしたいから、300gでいいかな。
対面式のカウンターや威勢のいい呼び声にテンションが高まる
6.目の前にお肉屋さんのような対面で買えるカウンターが見えた。視線の先に「ハンバーグ用」と書かれた2種類の合挽肉が見え、ひき肉を注文した。
量り売りのお肉ってパック売りのお肉よりも、より新鮮でおいしそうに見えるし、何より注文して買うことにテンションが上がる。ハンバーグ用の粗挽き肉があるから、今日はハンバーグにしよう。夫も先週食べたいと言っていたし。粘りの出る普通のひき肉と、粗挽きをミックスして買おう。
7.威勢のいい大きな呼び声に誘われるように、店内奥の鮮魚売り場の皿に乗ったブリが目に止まった。木の札に勢い良く書かれた「今が旬」「ブリ」の文字にも注目したが、それ以上は近づかなかった。
活気のある魚屋さんというムードが満点で、魚を買いたい気持ちになった。脂の乗ったツヤツヤしたブリの切り身は、新鮮さ抜群で「買わなきゃ損」って感じ。だけど、ブリって照り焼きくらいしか思いつかないし、娘達からは歓迎されないメニューだったりするのよね。今日はハンバーグ用の肉も買ったから、また今度にしよう。
おしゃれな試食コーナーでレシピを紹介され、自分も作ってみたくなる
8.「5 Star Recipe」と書かれた赤いカウンターと赤い帽子をかぶった調理スタッフが目についた。角のテーブルにあった『つるしベーコン』の試食を1つ食べてみた後、紹介された5つの調理例の実物とレシピをゆっくりと見た。その後、『つるしベーコン』をカゴに入れた。
赤がテーマカラーのキッチンスタジオ風な一角は、見ているだけでも楽しくなってくる。1つの商品で5つものレシピを紹介してくれるから、ただの試食コーナーよりも「作ってみよう!」と、興味がわく。ポトフやベーグルのレシピは、今まで思いつきそうでやっていなかった組み合わせだ。
「顔が見える食品。」シリーズの信頼は高い
9.目についた「顔が見える野菜。」のモヤシをサッと手に取り、カゴに入れた。モヤシは安くてなんでも使えるので、常備野菜として買っておきたい野菜の1つ。いつも買っている「顔が見える食品。」シリーズだから、特に何も迷うこともなく手が伸びちゃう。
陳列やPOPでワイン専門店のような雰囲気づくり
10.本棚のような木目調の重厚な棚に陳列されたワインと、その右端に設置されたクリアケースに入ったカラーのPOPが気になり、しばらく眺めていた。
深い木彫の棚に並んだワインは、専門店のような雰囲気が漂っていて、全部魅力的なワインに見える。「牡蠣に合う」「平目の刺し身」といった料理名とその写真とが目立っていて選びやすい。1本買って帰りたいなと思ったが、日頃の家飲みには、ちょっともったいないかな。
11.反対面の冷蔵棚に並んだワインも目に入り近づいた。白いキャップ部分にゴールドのキラっとした首掛けPOPがついたワインが目立っており、更に近づきPOPの内容を見た。プライスカードも見て、他のワインの棚に目を移した。
真っ黒のボトルに白いラベルと白いキャップがフランスっぽくてお洒落でおいしそう。しかも、金のラベルには「ゴールドラベル受賞ワイン」と書いているから、どんな味なのかすごく気になる。1598円はワインの値段としては決して高くないけど、週に2、3本は開けるわが家としては、ちょっと勇気がいる値段なのよね。
安っぽさを感じさせないPB商品は魅力的
12.ブルゴーニュワインの下の段を見ると、赤いキャップで白いラベルのついた、スッキリとした印象のワインが並んでいた。プライスカードと、その右横についた商品特徴カードを見て、赤ワインをカゴに入れた。
「セブン&アイ」と商品紹介には小さく書かれているけど、ボトルにロゴが付いているわけじゃないし、全く安っぽさも感じないボトルデザインで798円は嬉しい。
イトーヨーカドーの買い物より
山岸さんは、冷蔵庫に食材が全くないことを思い出し、お目当てのケーキとウィンドウショッピングのついでにグランツリーのスーパーに訪れた。まず色とりどりの野菜や果物に興味を惹かれており、見た目の良さで購入を決めているものもあった。もちろん野菜や玉子といった生鮮食品は品質にもこだわっており、商品名やブランドで品質を判断し、購入を決めているものもあった。
対面式のカウンターのある肉・魚の商品にはどちらも新鮮という印象を挙げており、人が売り場に常駐することで、生鮮食品への信頼度が高まっているのかもしれない。カラフルな色合いや、高品質を印象付ける表記・ブランド、人が常駐する活気ある売場づくりといった、生活者の信頼に応える工夫がイトーヨーカドーの持ち味といえる。
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