BMR
このコンテンツはドゥ・ハウスが2007年に「10年商品をつくるBMR」を出版した際、連動企画として作成されたものです。一部、本文中の商品情報やご協力いただいた方々の情報については現在と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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【コンテンツ】 1.BMRとは   2.本の紹介(第1章 BMR各要素/第2章 要素間の関係/第3章 消費者の声を聞く/第4章 開発秘話)   3.付録 製品開発の切り口   4.本の成り立ち

製品コンセプトを具現化する

□原材料
■油不使用・無添加・天然カルシウム

うちは結構、定性調査とかお客様調査を徹底的にやる会社なんですが、1~2才の子どもを持つおかあさんを集めてきて、パッケージを見せたり、商品名を見せたり、コンセプトを見せたりとか、えびせんでどこがだめなんだ、みたいなところを徹底的に掘り込んでいきました。

最初は無添加にしようとか、油不使用にしようとか、やっていたんですけど、かっぱえびせんは、塩分を1/2にして、薄味にして、しかも普通は上に塩をかけるんですが、「1才」は上掛けを一切なくしたんですね。上掛けというのは、要は製品に、最後油をかけて、塩をかけることで、そのことによって、口に入れたときに、トップの味わいというのをつくります。でもこれをやると何が起きるかというと、手が汚れるんです。なので、「1才」の場合には、えびの甘み、あと、砂糖でうまみは出していますけど、上掛けをやめました。普通のえびせんは、薄味とはいえ、表面に塩と油がついていまして、だからこそ、「やめられないとまらない」なんですが、「1才」は更に薄味にしなければならない。

あとはえびの仕込量を増やして、カルシウムたっぷりにしたり結構こだわっています。当時の1、2才のボーロとかビスケットを見るとカルシウムたっぷりというものは多いんですが、裏面を見ると卵殻カルシウムとかカルシウム添加と書いてあることが多かったんです。これは作り手のこだわりで、全然お客さんは関係ないんですけど、添加するのはよそう、天然のえびのカルシウムだけで食わせようというのが「1才」です。

添加カルシウムと天然カルシウムがどう違うかというと、イメージの問題で、あまり機能は変わらないんですけど、えびせんはもともとえびを使っているので、カルシウムがそれなりに入っているんですよ。そのえびを大量に仕込めば、塩とか油を使わない分の旨味は補完できるし、更にはカルシウムもたっぷりにできます。たっぷりというのは、何ミリグラム以上入らないとたっぷりと謳ってはいけないという、国の強調表示の基準があるので、それをクリアするようなことをしています。天然カルシウムのこだわりとか、油不使用、無添加とか、いろいろなこだわりもしています。

□ネーミング(A)
■お母さんたちの全否定-エンジェルえびせん

実はワード開発のときに、「1才からの」になるまでのストーリーがありました。最初はエンジェルだったんですよ。エンジェルえびせんから始まって、ベビーは1才と違うぞとか、キッズはまだまだ上だぞとかいう話があって、エンジェルとかいろいろな言葉を立てていたんですけど、おかあさま方の調査で、全否定でして。言わないよねと。1才からのとパッと言われるとわかりやすいと。それで、「1才からの」にして調査をしていきました。

彼女達の中にいろいろ経験値があるので、1才向けと言えば、それは無添加でしょうとか、薄味でしょうとか、この裏に想起する世界があるんですよ。子ども向け、しかも1才向けを作るんだということが伝わると、無添加、薄味とか、いろいろなことが全部伝わってくるので、事前調査からは、これだけでほぼこちらが想定しているベネフィットが伝わるだろうというところがありました。

伝わらないカルシウムたっぷりというところと、薄味という言い方はあえてしなかったんですが、ブランド的に言えば薄味としているので、塩分2分の1カット、いわゆるプライマリーベネフィットの、2つだけを書いたんですね。実際発売後にお客様の受容調査をしましたが、きちっとここから伝わっているというところで、問題なかったですね。

□パッケージ
■「えび」を残す

デザインとかも実はいろいろ悩んでいて、えびがかわいくないとかというのがあるんですよ。普通のえびせんは、当然このえびをブランドのマークとして使っていて、墨文字とこの赤い色とえびの絵というのは3点セットで、パッケージのブランド資産になっているんですね。ですから、1才でも、残すべき資産は残さなければいけなくて、悩んで悩んで墨ロゴを取ったんですよ。というのはいろいろなエクステンションを入れていたんですが、どこまでもベビーにならないので、頑張って取ったんですね。

えびの絵は残さざるを得なくて残したんですが、でも、えびがかわいくないというのは言われるんですよ。横ではアンパンマンビスケットとかを売っているわけですから。ここが悩みどころで、取っちゃえという声もあったんですが、最終的には残した理由として、ブランドとして認識してもらわないとベネフィットが伝わらないというのが1つと、親がえびせんを抱えて食べているときに、子どもにもこれを抱えて食べてもらいたいというのが1つ。

そうすると、あまりデザインがガラッと変わったりすると、子どもはえびせんちょうだいと、親の食べているものが欲しいのに、意味がない。そういう食べさせ方をしたかった。やっぱりファンレターで来ましたね。私はえびせん、うちの子は1才のかっぱえびせんで、2人で食べています、みたいな。よっしゃ、という感じです。

製品(P)


■幼児向けスナック

幼児向けスナックというカテゴリーはないので、幼児向けスナックという新市場を築いたと、小さい声で言っているんですけどね。



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■監修者プロフィール: 山中正彦 株式会社KSP-SP 代表取締役社長。法政大学キャリアデザイン学部教授。慶應義塾大学工学部管理工学科修士課程終了。上智大学外国語学部比較文化学科修士課程終了。国際ビジネス専攻(1983年)。マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン/スクール留学(1983-1984年)。味の素株式会社中央研究所管理部システム室入社(1972年)。味の素株式会社食品開発部専任部長(1993-1999年)。株式会社味の素コミュニケーションズ(1999年)。2003年3月、株式会社KSP-SP代表取締役社長就任。2005年4月、法政大学キャリアデザイン学部教授就任。http://www.ksp-sp.com/


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