ザ・マーケター
このコンテンツはドゥ・ハウスが2004年12月から2005年10月までマーケターにインタビューし、HTMLメールで配信していたものです。一部、本文中の商品情報やご協力いただいた方々の情報については現在と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
2005.07.13
マーケタープロフィール

vol.08[02]

 オケージョンに着目して商品開発

「黄金の味」開発の背景には何があったのか。製品開発の着目点は何なのか。どのような販売戦略を採ったのか。今回は、「黄金の味」の初期の形を話していただきました。

Pick Up!

黄金の味

関西のオケージョンに合わせる

喜山:「黄金の味」の開発経緯を教えてください。

本田:最初に話したように、エバラにあったのは「焼肉のたれ」という1ブランドでした。これは関東では評判がよかったんですが、実は関西ではそうではなかったんです。関東では、豚肉を「焼肉のたれ」に漬け込んで、それをフライパンで焼いて食べるんです。でも関西ではそうじゃない。関西はまず、牛肉文化で、「肉」と言ったときに「豚肉」と言うと嫌な顔するんですね。しかも食べ方も漬け込んで焼くのではなくて、牛肉を素焼きにして、それをたれに漬けて食べるのが主流なんです。そういう食べ方だと、「焼肉のたれ」は味がきつくてあまり合わないんですね。「焼肉のたれ」は、関東、東北、北海道、九州、関西という順番で10年かけて売ってきたんです。

喜山:それは戦略としてですか?

本田:そうです。その最後の牙城が関西でした。そこであまり評判がよくないということで、ぼくは大阪の営業所に配属されていたんですが、大阪で売れる商品がほしいと本社にオーダーを出したんです。

喜山:関西のメニューというオケージョンに着目したんですね。

本田:それから同時に社内の要請もあったのです。今後、焼肉の食卓は増えるだろうし、食べる量も増えるだろう。高級化も進むだろうと。その両方に対応しようと。それで「黄金の味」を1978年に発売しました。

「高級なたれ」として属性規定

本田氏

本田:もともと食品業界ではローカルブランドが強いんです。ナショナル・ブランドというのは実はそう数はない。だから、エバラがナショナル・ブランドになるには、関西で売れる商品がほしかったわけです。西を押さえれば全国を押さえられるというジンクスがあるくらいですから。そこで、「黄金の味」は、西のたれに共通した「甘みととろみ」を重視してつくっています。

喜山:たしかに甘いですよね。味の属性も関西仕様だったんですね。

本田:それだけでなく容量、価格も210g、300円としたんです。当時主流は170g、150円でしたから、これまでの倍の設定でした。問屋さんからは最初、「味はいいけど、いくらなんでも高いんじゃない?」と言われました。

喜山:それは原価からの積み上げですか?

本田:いや、そうではないです。「高級」路線で行きたいという判断からそうしました。

喜山:結果はどうだったんですか?

本田:関西ではね、そんなに抵抗がなかったんです。というのも、関西のたれはもともと高めのものが多かったんですね。ローカル商品では200円台、300円台もありましたから。

喜山:価格も関西仕様だったんですね。「黄金の味」というネーミングはどこから来たんでしょう?

本田:これは当時ね、NHKの大河ドラマで「黄金の日々」というのをやっていました。それをうちの会長が好きで、それを参考につけたものです。

喜山:なんと(笑)。

CM、試食販売、関連販売

本田氏

本田:それから、うちの常套手段なんですけど、CMを打って、試食販売をマネキンを使ってという販促をしつこくやりました。当時、焼肉用の調味料の棚は、170gのものに合わせていますからそんなに高くないんですね。「黄金の味」は210gで嵩も高くなる。でも棚には入らないから、最初は最上段に置いてもらいました。最上段というのはあまり売れない場所なんですけど、そこからスタートしました。それからジャンブルカゴといって、公園のくずかごみたいなものに、「黄金の味」を入れて精肉の近くの通路に置いてもらうようにしました。そうして関連販売するようにしたんです。

結果、競合他社の追随を排除することができました。

喜山:排除、というのは、出しても付け入る隙がないということですか?

本田:そうですね。1970年代初め、各調味料メーカーが一度は「たれ」の市場に参入してきました。でもどこも片手間でやっているというのかな。そういう状況でしたから、やっぱり専業でやっている者にはかなわないですよね。CMや試食販売などをしつこいくらいできるのは専業でやっているうちの強みでした。

ただ、モランボンさんの「ジャン」はよくやりましたよね、今も残っていますし。あれは、パウチ、要冷蔵で出して、精肉売り場で展開と、商品・売り場を変えてきたんです。敵ながら天晴れと思っています。



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