ザ・マーケター
このコンテンツはドゥ・ハウスが2004年12月から2005年10月までマーケターにインタビューし、HTMLメールで配信していたものです。一部、本文中の商品情報やご協力いただいた方々の情報については現在と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
2005.07.05
マーケタープロフィール

vol.08[01]

 R&Dに傾注して商品力強化

7月は、エバラ食品工業のマーケター、本田さんに「黄金の味」の成長プロセスをお聞きします。マーケティングを時間軸でみれば、開発マーケティングと販売マーケティングに分けられますが、今回は、主に販売マーケティングの視点です。

Pick Up!

黄金の味

いつの間にか新製品ラッシュになっていった

喜山:新商品にあらずんば商品にあらず、という事態を改善したいという想いが「The Marketer」にはあります。

本田:いつからそうなっちゃたんだろうね。流通は、年に2回、2月と8月に棚変えをします。2月は春夏用、8月は秋冬用ですね。その時、流通によっては新商品の導入費用が発生するんです。流通は、導入費を入れたいということもあって、新商品を要求する。彼らには商品育成という観点は少ないですから、POSの数値がよくないと見えれば、「次はないの?」と言ってくるわけです。勢い、年に2回、新商品を投入するというサイクルが出来ていっちゃうんですよね。消費者のニーズというより流通のニーズかもしれませんね。

喜山:確かに新商品に反応してしまう性が消費者にはありますが、一方で愛着を持ち始めた商品との別れもいっぱい経験するようになったわけですね。

本田:ぼくが入社したのは、1976年ですが、その時って、「焼肉のたれ」という1ブランドで、アイテムは「朝鮮風(後に醤油味)」、「辛口」、「生姜焼き」と今はもうありませんが、「味噌味」の4種類しか無かったんですよ。容量、価格も170g、150円だけでしたから。

喜山:覚えやすいですね。今は何カテゴリー持ってらっしゃるのですか?

本田:そう、シンプルだった。それが今は、「肉まわり調味料」、「鍋まわり調味料」、「野菜まわり調味料」、「その他」の4カテゴリーあります。

たとえば、「鍋まわり調味料」の「すき焼のたれ」を全国発売したときは、20品目くらいの製品をドゥ・ハウスのDOさんに半年間、使ってもらって、その結果、選んだものです。当時、エバラではみんな「ハンバーグのたれ」が作るのも難しかったし、味もいいので一番評価が高くでるだろうと予測してたんです。ところが、意外にもエリア販売品であった「すき焼のたれ」の評価がよかった。「すき焼のたれ」は、原材料も割合、単純だし、評価されるとは思っていなかったんだけど、DOさんたちが言うには、色んな使い方があるというんですね。すき焼き以外にも煮物とか。それが定性データから分かって、「すき焼のたれ」を候補に上げて定量調査をかけて全国発売を判断したんです。

喜山:製品の評価段階に半年もかけたんですか。

本田:まぁ、季節をまたいで20品目見る必要がありましたからね。それだけ当時は時間もかけられたんです。

マーケターの敵は固定観念

本田氏

本田:だからね、マーケターの敵は固定観念じゃないかと思うんですね。自分たちで価値がないと決めつけたり、売れるわけないと決めつけて、販売チャンスを逃していることが一杯あるんじゃないかと思って。

「すき焼のたれ」もそうでしたけど、13、4年前、「浅漬けの素」もそうだったんです。これはもともと全国の営業マンから、地方で売れているものの情報を挙げてもらったんです。そこに、秋田のあるメーカーさんが出しているものでこれの元祖に当るようなものがありました。それを参考に、「浅漬けの素」を出したときに、業界では、「エバラさんもおかしなもの出しますね」と言われました。社内でもそうでした。エバラが野菜系のモノ出しても、そんな焼肉くさいと思われてしまって誰も買わないよ、イメージが合わないよ、と。マーケティング部門はいけると思っていても現場は意外と保守的ですからね。ロングセラーの商品というのは意外に最初からみんながそう思っていたものではないような気がしますね。

喜山:逆にみんなが認めた鳴り物入りの商品がロングセラーにはならない、ということもありますか?

本田:ありますよ。どこも出していない、という新しさで自信を持ってやっても、差別化しすぎて受け容れられないということもありますから。許される範囲内の差別化というのがあるみたいで、そのバランスは難しいです。

R&Dの強化へ

本田氏

本田:やっぱりこういう状況が続くと自転車操業的にならざるをえないから、それはなんとかしなければならない。しっかりした新商品のアイデアは研究開発のストックがたくさんないと出てこないんです。だから、やっぱり研究部門をしっかりしようという方向性を取り始めました。エバラは販売力、販促力もしっかりしているんですが、それで初速いけても商品力がしっかりしていないと伸びない。それこそロングセラーにならないんですね。

喜山:改めてR&Dに着目しているということですか?

本田:そうです。エバラだけじゃなく業界全体ですが、初年度である数値を出すけど、2年目で落ちて、3年目も落ちて4年目で終売というケースが多いんです。それは本当に労力、資金力も無駄になっています。だから商品力をしっかりさせようと。研究開発が要になるはずです。

喜山:現状の流れを変える契機になるといいですね。



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