ザ・マーケター
このコンテンツはドゥ・ハウスが2004年12月から2005年10月までマーケターにインタビューし、HTMLメールで配信していたものです。一部、本文中の商品情報やご協力いただいた方々の情報については現在と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
2005.05.10
マーケタープロフィール

vol.06[01]

 ブランドすら消費される時代

今回から「植物物語」の開発マーケター、丸山さんにお話を伺います。「植物物語」は、1992年に誕生し、今年で13年目を迎えるロングセラーブランドです。この商品は、どんな物語を持っているのか、丸山さんの言葉に耳を傾けてみましょう。

Pick Up!

植物物語

ブランドすら消費される

丸山:正直言うとね、今の時代はブランドすら消費されてる時代じゃないかと思ってるんですよ。

喜山:ブランドが消費される、というのはどういうことですか?

丸山:我々のような消費財メーカーの場合は、商品は消費されるわけですがブランドは消費されずにお客様の心に刻まれます。ブランドを大事にしなければならないという構図のなかで、ブランド・マーケティングは非常に重要視されていると思うんですけど、今や情報消費時代ですから。ブランドすら消費されているんじゃないかと思うんですね。

今の人々は、何でも消費するから、新しいもののほうが単純で分りやすくて飛びつきやすいと思うんです。新製品・新ブランドの方が、アドバンテージ持ってるわけですよ。でもそれさえ消費されていくわけですから、メーカーとしてはそれを繰り返していくと、どんどん体力を消耗してくるわけで、決してそれが長続きするとは思えないです。もちろん、われわれとしてはロングセラーのブランドを作りたいですし、今あるものをどうやってもう一回、大きくするかということをやっているわけですが、その「もう一回」ということの難しさを日々、感じているわけです。

それが、今の植物物語ブランドが抱えている課題です。

喜山:しかし、「植物物語」は10年以上を生きた長寿のブランドですね。

丸山:「今さら、植物物語?」という風に言われることもあるわけです。

喜山:それは消費者からですか?

丸山:どちらかといえば、流通からの方が多いですかね。ブランドすら消費されているというのは、消費者より流通に特に言えることかもしれません。オーバー・プロダクト、オーバー・ブランドの時代ですから、その結果流通はその日その日を乗り切るために、価格戦略に走る傾向が続き、ブランドすら消費されるという悪循環の中にいるのかもしれませんね。そんな中で、再び「植物物語」を提案しても、ちょっと違うんじゃないの、と言われがちになるんだと思います。

喜山:一消費者としてみると、ロングセラー商品としてはじめに思いつくもののひとつだと感じるのですが。

丸山:おかげさまで、お客さまのイメージはとてもよいんですよ。認知も高いんです。ただ、商品を売る現場では、評価が違うんですね。

「パーソナル」が現状の方程式

丸山氏

丸山:たとえば、シャンプー市場というのは、ここ10~20年、「パーソナル」向けで動いてきているわけです。「ラックス」や「アジエンス」に代表されるブランドは、若い女性にターゲットを設定しています。そのパーソナル対応が、現状シャンプーカテゴリーの方程式になっているんです。

その中で、「植物物語」はパーソナル向け仕様ではないですからね。こういったところも、風当たりが強い部分になります。

実は、我々は”パーソナル”に対しては、これからは違ってくるんではないかという仮説を持っています。これからもOLを中心とした若い女性がこのマーケットをが引っ張っていくのかと言えばそうじゃないと思っています。流通に対しても、これからは違いますよ、と提案していきますが、それでも、現状の方程式が「若いOL=パーソナル」となっているところに違う軸で話していくのはやっぱりちょっとしんどいところはありますね。

喜山:現状、流通の現場が、「パーソナル」というテーマで売場を展開しているので、「植物物語」を提案しにくいということですね。

丸山:社内にも新ブランド待望論があるわけですよ。手っ取り早く流通を説得できますからね。新商品は、ひとまず単価の下落を防げたり、流通にも新しさを訴えることができますから。トイレタリーは閉塞感があるマーケットですので、救世主を求めたくなります。

その中で、植物物語を提案すると、「昔の名前で出ています」みたいな感じで「あ、なんだ」っていう反応が返ってくることもあるんです。

ただ、我々は必ず「パーソナル」ではない価値が出てくると考えています。それが新しいスタンダードになるにはまだ5年くらいタイムラグはあると思いますが、地道な提案を続けていきます。

環境という方程式に乗ってきた

丸山氏

喜山:いきなり核心の課題を教えていただきました。それでも、13年選手というのはある不動の地位を持ったという側面もあるのではないかと思えるのですが。

丸山:それはその通りです。92年に発売されて97年までは成長を続けてきまして、一つのものさしを世の中に提示できたと思っています。当時、なんていうのかな、合成原料というのか、素材に対しての安全性がかなり言われた時でした。そういう追い風もあって、「環境」「安全」という方程式に則ってやってきたんですね。植物原料を活用する商品の先駆けになったブランドだと思います。

現在、成熟期にあって、次のステップを踏むべき時に来ています。業界としては、植物素材を使うということは当り前になってきていますから。

喜山:成熟期から次の成長をどうやって生み出すかどうか、ということですね。

丸山:植物素材に着目してその領域では、第一人者としてやってきたわけです。当社ではもっと古くから続いているブランドはたくさんありますが、ここ20年間くらいで見ると、10年間続いたブランドというのは、「植物物語」くらいしかないわけです。世の中を見ても、この数10年はブランドが育ちにくい土壌だったかもしれませんね。ですからその観点で見ると、「いいブランドだよね」と言える面はたくさんあると思います。ただ、ここにきて成熟期から次の成長を狙っていく場合、社内的には高い目標を要求されますから、目標と現実のギャップをどうするかという難しさはやっぱりありますね。



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