ザ・マーケター
このコンテンツはドゥ・ハウスが2004年12月から2005年10月までマーケターにインタビューし、HTMLメールで配信していたものです。一部、本文中の商品情報やご協力いただいた方々の情報については現在と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
2005.03.22
マーケタープロフィール

vol.04[03]

 製品の力で押す

新技術の取り込みが優先しがちなアプリケーション・ソフトにあって幅広いユーザーに長く愛されているのはどうしてなのか。今回のお話は、そのことに触れてくれています。

Pick Up!

ホームページ・ビルダー

「簡単」は譲らない

喜山:「簡単」は譲らないということでいえば、加藤さんがそれを実現できた手ごたえを一番、感じた企画はありますか?

加藤:買う側から見てメッセージが伝わりやすい機能を搭載した2000年のV6(バージョン6)かなと思います。しかも大きな機能を複数、ですね。1つだけですとやっぱり不安もありまして。

喜山:不安、ですか? こういうソフトの開発は、ユーザーが使おうが使うまいが、機能自体を誇るケースも多いと思うのですが。

加藤:ユーザーの層が広いという製品の性質を考えると、人によって使う機能がかなり異なってくるわけで、そのいろいろなケースに応えたいと思うと、1つだけにしぼるのは勇気がいりますよね。V6では「簡単」という観点から大きく3点ありました。

1つは、「掲示板」を作れるようにしました。その頃から掲示板サービスが流行りだして、多くの方が自分のホームページでも開設したいと望むようになりました。ですが、ビルダーはあくまでもHTML作成ソフトであってCGIのようにサーバーとやりとりするプログラムは作れません。そこで、他社の無料掲示板サービスと連携して、開設をビルダーで簡単に行えるようにしたことで実現したんです。とても喜ばれましたね。2つ目は「どこでも配置モード」です。ホームページ作成ソフトは、HTMLの制約の関係から、たとえば文字は左上から右に入力して、それをセンタリングや右寄せにして、といったワープロのような操作をします。これが非常にレイアウトの自由度が低くてとっつきにくくて初心者の方に評判が悪いので、これをなんとかしたいと思い、パワーポイントのようなフリーレイアウトモードを取り入れたんです。あともう1つ、これが一番大きかったかもしれません。初心者の方の多くが、ファイルをサーバーに転送するときにつまずいてしまう。問い合わせが多いので原因を調べてみると、大部分が単純なサーバー名の入力ミスだったんです。これを少しでもサポートしたいと思って思いついたのが、大手のプロバイダーさんからサーバー情報をいただいてプリセットしておく「プロバイダー簡単転送」でした。サポート窓口への問い合わせも減って、効果がありました。

喜山:加藤さん、この中でも「簡単」の手応えを感じたのはどの機能ですか?

加藤:どれもそう言えるのですが、やはり「プロバイダー簡単転送」かなという気がします。しかも、この機能にせよ「掲示板機能」にせよ、ビルダー単体だけではだめで、プロバイダーさんのご協力があったからこそ実現できました。機能連携で大々的に他社にご協力を仰いだのはこのV6が初めてでした。自分たちの世界だけでなく「外を向く」という点でもワンステップ上がった時だったのではと思っています。

製品の力

加藤氏

喜山:ホームページ・ビルダーは、現在までに9つのバージョンがありますが、製品に区分をつけるとすれば、どこになりますか? 時代区分のようなものです。

加藤:う~ん、やっぱりV6ですかね。95年から99年のV5までは、HTMLまわりの技術の基礎ができました。V6以降はデジタルカメラやデジタルビデオといったハードも元気になってきた関係でコンテンツ志向が強くなってきました。その結果、V6のビデオ編集のように流行に応えたものになっています。V8では、ブロードバンドと携帯電話をテーマにしましたしね。

喜山:今回のバージョン9もその延長に位置するわけですね。

加藤:いえ、トレンドは見つつもちょっと違うといえますね。今回はコンテンツのほうにはいかないで、Webデザインという原点に戻ることにしたんです。実は以前から言われ続けてきたことがありまして、何かというと、ビルダーで作ったページって皆センスが似ているよね、というんです。センスがもうひとつ、ということです。趣味のページならいいとしても、だんだん商店主さんが自分のお店のページを立ち上げるようになってきまして、やはりスマートなページにしたいという気持ちはよくわかるんです。そこで、プロ風のデザインをビルダーで実現する、ということでキーワードの1つが「スタイリッシュ」です。この図のビフォー、アフターのような変化を出せるようにしたんです。冴えないデザインが格好よくなる、というような。プロ風にしたんです。

加藤:そしてもう1つ、やはり正しいWebデザインを考えるという観点で同じですが、バリアフリーなWebづくりができるようにしました。さらに、中国語、韓国語をはじめとする各国語をサポートしました。バリアフリーはユニバーサルという言い方もすることから、もう1つのキーワード「ユニバーサル」になりました。この図のビフォー、アフターのような変化を出せるようにしたんです。冴えないデザインが格好よくなる、というような。プロ風にしたんです。

喜山:私はあのぅ、実はユーザーとは言えないユーザーで、ビルダーで作っている人が身近にいたので、そのなんとなく「見てビルダーで作ったとわかるデザイン」は分るような気がします(笑)。でも、個性的だからこそ愛着がある、ということも言えますよね。それはそれで大事な要素というか。

加藤:そうですね。ビルダーらしさこそがビルダーの良いところで、すでに何百万人というユーザーがいるソフトの作り手としてはそこもよく理解しています。だから大々的なイメージチェンジは行いません。あくまでも今までのビルダーの上に、現状のページをもっとかっこよくしたいなあ、プロっぽいページにしたいなあ、という人のための機能をさりげなく追加するようにして。それでも、年配の方のことを考えると、そもそもキャッチフレーズに横文字を使うことにも勇気がいりました。そして案の定、「スタイリッシュっていうカタカナ言葉は分りにくい」とお叱りも受けましたね。色んな顧客層に対応している難しさですね。でもこうしてすぐ反応があるのもうれしいことですね。

喜山:では、加藤さんが一番、好きな、愛着ある機能は何ですか?

加藤:難しいな。全部と言いたいぐらいですが、ウェブアートデザイナーでしょうか。ビルダーとは別に起動する画像編集ツールなのですが、ロゴやボタンなどが簡単に作れてビルダー本体にすぐ貼り付けられるんですね。どうもこのお手軽さが、エンジニアやデザイナーの方にはビルダー本体以上に受けがいい、とも聞いたことがありますねぇ。でもひとつひとつの機能というより、ビルダーの、かゆい所に手が届くようにできているところが好きなんですよね。だからこれまで製品の力で押してくることができました。

喜山:愛着で思い出しますが、「りんくみるだ~」とか。ああいうのも日本語で表記してますね。

加藤:「りんくみるだ~」は初期の機能名で、今はもうないんですよ(笑)。

喜山:あ、ごめんなさい(苦笑)。ユーザーではないことがバレてしまいます。

加藤:でも、思えばこんな親しみやすいネーミングもしていたんですよね。この機能名は、楽しみながら作ることが上手だった開発チームのしわざですが、庶民的というか、親しみやすさを目指したというか、機能名はできるだけ横文字にせず日本のお客様に合わせるようにしてきました。そうやってビルダーは育ってきたんですよね。それがビルダーらしさにつながっていると思います。開発部門としては異色なカルチャーとも言われています。

喜山:ああ、やっぱり、うまくいってきた、ということには、作ってきた皆さん自身も愛着を感じているという要素は大きいんですね。

成熟期ビルダーは、新顧客の取り込みが課題

加藤氏

喜山:製品のライフサイクルでいえば、ビルダーはどこに位置しますか?

加藤:そうですね、機能的には成熟期だと思いますが、顧客数はまだまだ拡大の余地が十分あります。これから広がる層も見えています。

喜山:これからも新しい機能を加えていくわけですか?

加藤:よく、「もうこれほど機能があれば、もうこれ以上新しい機能はないんじゃないの?」言われますが、まったくそんなことはなくて、ご要望をいただいているのにできていないこと、トレンドの技術、いろいろあります。トレンドといえばブログは興味深いですね。自前のホームページとは補完関係になると思います。「自分の顔」はビルダーで作り、日記コンテンツはそこからリンクさせたブログで、という関係ですね。すでにそういう使い方をしているビルダーユーザーがたくさんいます。いずれにせよ、それをどうやって取り込んでいくのがユーザーにうれしいのかを考えていきます。

喜山:それは楽しみです。




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