ザ・マーケター
このコンテンツはドゥ・ハウスが2004年12月から2005年10月までマーケターにインタビューし、HTMLメールで配信していたものです。一部、本文中の商品情報やご協力いただいた方々の情報については現在と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
2005.02.08
マーケタープロフィール

vol.03[01]

 マーケティングとの出会い

今回からは、チャレンジャーのポジションからの商品づくりでロングセラー化に成功した、ヤマサ醤油株式会社のマーケター、藤村さんのお話を伺います。マーケティングとの出会いを絡めた商品開発の現場の話に耳を傾けましょう。

Pick Up!

昆布ぽん酢

昆布ぽん酢ができるまで

喜山:藤村さん、今日は、昆布ぽん酢のこともさることながら、開発マーケターの話もお聞きできたらと思っています。というのも、今は短命を余儀なくされている商品があまたあります。商品が短命であるということは、それを開発するマーケターも短命を余儀なくされるということですから、開発マーケター像が作りにくくなっていると感じます。そこに輪郭を与えられたらと思って。

藤村:まぁたまたまという面もあると思ってますよ。それに、今までのやり方では今後はうまく行かない気がしているので、どうすればいいと言えない面もあります。

喜山:どうすればいい、ということではなく、藤村さんがどうしてきたか、ということで充分なのです。マーケターとしてのプロセスそのものが大切だと思っています。

藤村:わかりました。昆布ぽん酢ができるまでの背景で言うと、まず最初にお話しなければならないのは、ヤマサってヤマサ醤油っていう社名の通り、「醤油」が中心の会社であることですね。醤油の台所(キッチン)ユースをみると、それが「濃縮つゆ」に代替されてきた。昔は醤油を使っていたのが、それが濃縮つゆで済ませるようになってきたわけですね。それで濃縮つゆは大事だということで、96年の春に「昆布つゆ」を出しました。おかげさまで今ではヤマサの看板商品の1つになっています。

それと同時にもうひとつ、醤油のテーブルユースはどうかというと、これはね「味つけぽん酢」なんです。たとえば、冷奴とか焼秋刀魚とか、おひたしとか餃子とか、いままで醤油を卓上でかけてたものを、「味つけぽん酢」が侵食してきたたわけです。

そこで、醤油メーカーとして、「味つけぽん酢」の開発を重要視したのです。

山中さんとの出会い

藤村氏

藤村:昆布ぽん酢に入る前に、わたしはBMRの山中さんを「心の師匠」と勝手に思ってるのですけどね。山中さんにはマーケティングって何なのかということを教わりました。わたしはずっと営業をやってきて、90年、30才の時に商品開発に配属されたんだけど、92年には課長が転属でいなくなってしまって、実質的な仕事はわたしがやらなきゃならなくなった。ところが、わたしはマーケティングをやってきたわけではないし、社内でもマーケティングといえば、ブレストをするくらいでしたから、何なのか分らなかったんですね。

そこであわててセミナーに通いだしました。ぼくのマーケター人生が変ったのは、山中さんのセミナーに出会ったことです。因子分析でパーセプション・マップを作ってきちんと商品のポジショニングを決めて、そこに新商品を入れるんだよ、ということを教わったんです。もう目からうろこですよね。それまでブレストくらいしかやったことなかったわけですから。

その山中さんのセミナーの中で「マーケティングとは何か」という問いにね、二つ覚えていることがあります。

ひとつは、「マーケティングというのは、marketing と綴る通り、market に『ing』が付いているから、市場に働きかける活動のこと全てを言うんだ」ということ。そしてもうひとつ覚えているのは、「運時命数」っていう古代中国の人の言葉。人は、運がよかったとか、あの商品が売れたのはタイミングがよかったとか言うけれど、違うんだよ、その裏にはロジック(=数)が働いている。それが言葉の意味なんだけど、その「数」を解き明かすのがマーケティングなんだ、とね。それまでは、アメリカ・マーケティング協会が出して何年か一遍変る奴あるじゃないですか、あれをマーケティングだと思ってきたんだけど、ああそうじゃないんだなと思ったんです。

当時、山中さんは味の素の方でしたけど、全く違う企業の者の素朴な質問にも丁寧に答えてくれました。予算も無かったから調査するサンプル数にも迷うわけなんだけど、因子分析にはいくつサンプル数をとればいいですかね? とかね。普通は最低300サンプルって言うじゃないですか。でも山中さんは日本人で主婦だったら30名で十分だよと教えてくれました。それなら限られた予算で出来ると、とてもうれしくなった覚えがあります。

喜山:やっぱり、「運時命数」ってことは、藤村さんだって、単にたまたま当ったというだけではないわけですよね(笑)。

梅澤式GI、食MAP、そしてKSP

藤村氏

藤村:その他に、わたしが感謝しているのは、梅澤さんのグループ・インタビューですね。主婦の本音を引き出す。因子分析とか定量的な分析は、今あるもの、今あるニーズ・製品については分るんだけど、調査に必要なワードとか、ないものについては分らないですよね。製品の前のことが引き出せるのはすごいなと。それにわたしは基本のCPバランス理論も知らずにいましたからね。

そこで、ドゥ・ハウスさんに「Y-DOさん」という約20名のヤマサ専用のDOさん・ネットを作ってもらって、自分たちでたくさんのグループ・インタビューをやりました。

三つ目は、NTTデータLISMの斉藤さんの食MAPですね。メニュー調査ってそれまでもあったんですよ。でもそれは2週間の日記調査しかなくて。既存のデータだと、知りたい時期からずれていて本当のところがわからない。でも食MAPは、365日の1日5食のメニューが分る、というのね。だから、これはすごい、とね。

そして、四つ目が山中さんが今やっているKSP-SPのPOSデータになるかな。ドゥ・ハウスさんから全てのカテゴリーが見られるいいPOSサービスがあるというので紹介してもらって。見たら社長が山中さんてあるでしょう。メールアドレスを見て、メールしたんですよ(笑)。10数年前のセミナーありがとうございましたって。その時、山中さんに何で開発を離れたんですか?って聞いたら、日本のマーケティングはSP領域が未開拓なんだよとおっしゃって。私もそう思います。SPのPDSCサイクルって言ったって、きちんと回せているところはほとんどないんじゃないかな。

その点からも、KSP-SPのPOSを使って初めてSPの領域に科学のメスが入ることは画期的なことじゃないかと思います。




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