ザ・マーケター
このコンテンツはドゥ・ハウスが2004年12月から2005年10月までマーケターにインタビューし、HTMLメールで配信していたものです。一部、本文中の商品情報やご協力いただいた方々の情報については現在と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
2005.02.01
マーケタープロフィール

vol.02[04]

 きっちりやった商品は10年は持つ

BMRの全体像に肉薄する試みも今回が終点になります。聞き足りないことはまだまだたくさんありますが、おぼろげながらその輪郭を把握するところまでは歩を進めておきたいところです。どうぞご覧ください。

Pick Up!

Basic Marketing Relations

マーケティング力から始める

山中:実は、BMRの前に見ておいたほうがいい概念モデルがあります。それは、マーケティング力です。マーケティング力は次の式で表されます。

 マーケティング力

 =(1.領域定義力)×(2.コンセプト開発力)×(3.ブランド設定力)

 ×(4.物理特性実現力)×(5.パッケージング力)×(6.価格設定力)

 ×(7.チャネル選択力)×(8.コミュニケーション力)

 ×(9.SP企画力) ×(10.チャネル交渉力)×(11.配荷促進力)

 ×(12.SP実施力)

12の変数があるんですが、もともとは例のマッカーシーの4Pの概念に基づいています。1961年に出された古典的な概念モデルで、もう4Pは古いと言われますが、生き残っているのには理由があるんですね。やっぱり押えるべきことを押えている、という。

 マーケティング力

 =(製品力:Product)×(価格力:Price)

 ×(プロモーション力:Promotion)

 ×(流通支配力:Place)

この4Pを元にすれば、先に示したマーケティング力が、もっと具体化したものだということが分ると思います。

商品は、売上を上げ成長していかなければなりませんから、それが何の要素からできているかを知っていると、BMRにすんなり入っていくことができます。

Wの強さを測る

山中氏

喜山:現在のマーケティングが実施すべき項目が多岐に渡るということでもありますね。売上や成長ということでいえば、現在の商品はある意味で短命を余儀なくされています。必ずしもこれは喜ばしい事態とは思えないのですが、いかがでしょうか。

山中:きっちりやった商品は10年は持つんです。きっちりやるということは、商品自体が受け容れられる価値があるという意味です。そのためにも、このマーケティング力とBMRは踏まえるべき事柄です。

やっぱり製品として市場で生き残っていくには、マーケット・サイズも考えていく必要があるわけです。たとえば、「子どもを喜ばしたい」というウォンツを想定しているとすると、それだけでなく、「大人も楽しめる」というウォンツも加えよう、とかですね。

それに、誰が(T)、どんな頻度で(O)という(T×O)の大きさも推定していかなければなりません。(T×O)のサイズが大きければ、市場が大きくなる可能性がある。いやそうではなく、(T×O)のサイズは小さいかもしれないけれど、(W)が強いからいける、とかそういう議論をするわけです。

ハーレーダビットソンに乗る(T)のサイズは大きくなくても、乗る人の(W)はとても強いから市場で生き残るわけですよね。

マーケターはプロアクティブたれ

山中氏

喜山:創刊でお聞きした「ハートランド」もそうですが、現在では、ロングセラーの商品を引き継ぐということが出てきた時代でもあります。そういう意味では、初代開発マーケターからの商品の引き受け方という課題も現在ではあるように思えます。

山中:商品はひとたび市場に出てしまえば、他社は追随してきますから、よりコンセプトをシャープに、より差別化を図らなければ、陳腐化を免れえません。

ですから、世代交代でなくても、何年かすればリニューアルをする必要が出てくるのです。このときは、何を継承するか何を変えればよいのかについて、新製品を作るのと同じくらいの慎重さで臨まなければ商品を台無しにしかねません。

伝統を踏まえるという意味では、京都の老舗と同じかもしれません。リフレッシュの範囲は細部について、細心の注意を払う必要があるんです。ブランドを維持するための本質は何かという点をしっかり識別するのです。

喜山:引き継ぐということも、新製品開発と同じリスクとやりがいを持つということですね。さきほどの、「きっちりやった商品は10年は持つんです」という発言は、多くのマーケターを勇気づけるものだと思いますが、開発マーケターにメッセージをお願いします。

山中:新製品開発には、経営環境に対する先行的な姿勢が必要です。受身に対するのではなく、市場機会を発見して取り組むプロアクティブ(先行的)な姿勢です。プロアクティブ(proactive)たれ、ということです。

もう少し言うと、「運時命数」という言葉があってね。

喜山:あ、なんと読むのですか?

山中:「うんときめいすう」ね。中国の文中子という人の言葉なんだけど。物事がうまくいかないと、「運」が悪かったとか言いますね。あと、タイミング(時)がよくなかったんだとか。誰かに命じられたからとか。そうではなく、「運」や「時」は、(数)により決められると言うんですね。「数」とは因果関係のことで陰陽で表と裏がある。マーケターは、内省的にこの「裏」をも読むことができるようになれば、「運」や「時」を呼び込むことができるというのです。

この世界の現象を読んで運や時を決めること。運や時のせいにするのではなくてね。プロアクティブ(先行的)ということです。

喜山:励みになります。長時間ありがとうございました。




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