ザ・マーケター
このコンテンツはドゥ・ハウスが2004年12月から2005年10月までマーケターにインタビューし、HTMLメールで配信していたものです。一部、本文中の商品情報やご協力いただいた方々の情報については現在と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
2005.01.18
マーケタープロフィール

vol.02[02]

 鷹の眼、蟻の眼

では、いよいよBMRのT(ターゲット)、O(オケージョン)、W(ウォンツ)、B(ベネフィット)、A(属性)、P(製品)の諸要素とその関係を紐解いていただきましょう。

Pick Up!

Basic Marketing Relations

TWからスタートする

喜山:BMRの製品と消費者についての6つの要素が分りました。これらを元に、製品開発はどのように進めていけばいいでしょうか。

山中:市場のなかで自社の製品をどの範囲で狙っていくかを考えていくわけです。それを考えるのが、製品領域という概念です。

製品領域は、どういう欲求(W)を持った、どういう人(T)を対象にするのかという所から始めます。たとえば、「無印良品」なんかは小売の人が始めたということもあるんでしょうけど、シンプルなライフスタイルを求める人というように、Tに着目した作り方をしています。

どういう欲求(W)を持ったどういう人(T)を対象にするか、という(T-W)がスタートです。

そして、その(T-W)を満たすP、つまり製品分野は何かということを考えます。どの製品カテゴリーがそれに応えられるかということ。ここで大事なのは、サブカテゴリーという概念です。たとえば、酒というカテゴリーだけでは、(T-W)に応えるPは想定できなくて、ビールなのか発泡酒なのか焼酎なのかというサブカテゴリーの領域に入って初めて、具体化できるわけです。

喜山:それはニーズとウォンツの議論に似ていますね。

山中:そうです。Pの要素を考えると、(TW-P)となります。

どういう欲求(W)を持ったどういう人(T)を対象にするか。そして、それに応える製品分野(P)は何か、

ということですね。それから、具体化するということでは、オケージョン(O)の要素を次に押さえなくてはなりません。どんな時、場面でということです。まぁ食品なんかでは、「忙しくて夕飯を作る時間がないとき」とか、「朝食を取る時間はないけれど」とか、オケージョンの要素は外すことができません。

こうして、(TOW-P)という設計図を手にすることができます。

TOW、BAPを押える

山中氏

喜山:順番をしっかりさせると、スムーズに考えていくことができそうですね。

山中:そしてそれを満たす製品属性(A)を規定していきます。R&Dから新しい属性(A)が出来たということを起点に(P)を考えていく技術シーズ開発型の場合もありますが、ここでは、消費者を起点に、逆に属性(A)を規定する順番を辿ってみます。

属性(A)は、それが提供するベネフィット(B)につながるわけですが、ベネフィット(B)は、捉えにくい領域です。

ベネフィットは、それが満たす階層構造で考えいく必要があります。「栄養がある」というような「生理」のレベル、「美味しい」という「感覚」のレベル、それから、「愛着」というような「観念」価値のレベルです。

製品領域によって、どこまで満たすかを考える必要があります。

喜山:たしかにそうですね。たとえば、ハーゲンダッツを食べるシーンのデータを見ると、「自分へのご褒美」というのが決り文句で出てきます。あれも、高次のベネフィットですね。

山中:ぼくも調べてはないんだけど、CMを見ただけでいえば、高い関与を想定していますね。「大人の女性」が、「自分のラグジュアリー・タイムを持ちたい」という(TW-P)を想定しているように感じます。

喜山:ああ、そういえば、「子どもが寝た後に」というオケージョン(O)もよくセットになっている気がします。去年の夏などは、「子どもが寝た後に、ハーゲンダッツを食べながら『冬のソナタ』を観る」というオケージョン(O)が多く発生したはずですね(笑)。

山中:こんな風に、製品について、(P、A、B)を考えていきます。

開発マーケターはBMRを俯瞰する

山中氏

喜山:(T、O、W)という消費者の領域、(P、A、B)という商品の領域が、見えてきました。この中で、マーケターはどこにいるのでしょうか?

山中:「鷹の眼、蟻の眼」です。

喜山:縦横無尽ということですか?

山中:はい。マーケターは、BMRの全体図を俯瞰して、着目分類と着目水準が明確になっているか、製品領域がはっきりしているかを、常に認識している必要があります。この全体図を俯瞰することによって、明確になっている部分と、まだ不明確なまま残っている要素とを認識して進めることができます。

でも、それだけでは仕事は進まないんですね。

ターゲット(T)に、製品コンセプト(P、A、B)をどう伝えるかを具体化するには、広告代理店の人にまず正確に伝えなければなりません。また、製品コンセプト(P、A、B)が、消費者に受け容れられるかを調べるにはリサーチ会社の人に正確に伝える必要が出てきます。

製品属性(A)をしっかりさせるには、工場の人たちの協力が欠かせません。

俯瞰して全体図を把握するというだけでなく、個々具体的に、きちんと仕事を進めることが求められるわけです。具体的な場面に入り込まないとそういうのは見えてきませんから。

喜山:スーパーマンみたいですね。

山中:実際、マーケターは大変な仕事です。営業の現場かモノづくりをしている研究所・工場の現場から上がってくることが多いわけですが、それまでとはもう全く違う仕事の質と量ですから。

喜山:では、次にそういうマーケターの大変さに、BMRがどう応えるのはに移らせてください。

山中:はい。BMRをつくった動機もそこにありますからお話ししましょう。

喜山:あ、その前に、BMRでは、(P)が下で(T)が上になっているのはなぜでしょうか?

山中:縦軸は、マクロ-ミクロの軸です。上に行けば行くほど、マクロの視点になります。だから、ターゲット(T)の上に環境(E)がくるわけです。まぁそれに、メーカーというのは、往々にして製品ありきで考えてしまうところがありますから、消費者を上に置いて消費者起点で考えようと、意図したこともあります。

喜山:ああ、なるほど。




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