ザ・マーケター
このコンテンツはドゥ・ハウスが2004年12月から2005年10月までマーケターにインタビューし、HTMLメールで配信していたものです。一部、本文中の商品情報やご協力いただいた方々の情報については現在と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
2004.12.28
マーケタープロフィール

vol.01[04]

 場のエネルギーをコミュニケーションに転化する

顧客はハートランドに何を求めているのか。 ネイバーフッド・バーHEARTLANDの副店長を務めた井本さんが現場で感じとったことをリアルに話してくれました。

Pick Up!

ハートランドビール

お客様のウォンツは、自分の時間を持てる場がほしい

喜山:お客様は何を求めて来ていると感じられますか?

井本:自分の時間だと思います。自宅でもない仕事場でもない、自分のためになる時間がほしくてこの空間を求めて来ている気がします。お客様を見ていると、友達と話しているかと思えば、しばらく経つと音楽を聞いていたりして、いるのですよね、そこに。ああ、みんなここにいるのが好きなのだなと思うのです。

お店の制服を着て立っていると、誰もキリンの人間だとは思わないから、とても親密に話しかけてくれるのです。そんな時、ハートランドは、物語がいっぱいあるから、話が弾むんですよね。ここは昔、毛利庭園だったんですよ、そこに昔ビアホールがあって・・・ということだったり。

喜山:お客様はどんな方々ですか?

井本:金曜には海外の方が半数を越えますが、平日はそれこそ近所に勤めているビジネスマン・OLの方が中心です。それとやっぱりクリエーターっぽい、とんがった人たちが来ている気がします。なんというか、私の年代から山田の年代まで、落ち着いた感じの方が多いです。

公募で副店長に

井本氏

喜山:そういえば井本さんは副店長に公募でなられたのですよね。

井本:そうなんです。それまで本社の営業部でバドワイザーやハイネケンを担当していて、それがきっかけで2002年のFIFAワールドカップの時は全国をまわって楽しい仕事をさせてもらっていました。

応募書類を見たときに、25才から35才までとあったんですよ。私はその上の方でぎりぎりだなあと思ったんです。「女性限定」とあったので、ここで行くべきだな、と思ってだめもとで応募したんです。横断的に組織で大きなものを作り上げていく、ムーブメントを起こしていくという興奮をもう一度体験したくなったんです。

でも、実は応募したときは、ハートランドがそんな背景を背負ったものだとは思わなかったんですよ(苦笑)。

山田:冒頭に話したように、ここ近年、飲食の世界は女性中心の時代になったのですが、それでも実際に女性に顔を向けたお店づくりにはなっていないところがやはり多かった。今度の店では女性のお客様が当然半分くらいいるだろう、と思っていたこともあり、「女性限定」としたのですが、差別だって社内からも結構、反発ありました。だから井本は、嫉妬の対象ですよ(苦笑)。

井本:「もともと」の話で言うと、HEARTLANDでのビールの冷やし方もそうなんです。ビールって昔は、もともと冷蔵庫で冷やしていたわけじゃないよね、って、それでお店では、氷水で冷やしています。だから、取り出すとき、ザっとすごくシズル感のある音が出るんですよ。

場のエネルギーをコミュニケーションに転化するブランドづくり

山田氏、井本氏

喜山:お店に来る客層は、80年代と変っていますか?

山田:昔楽しんでいただいた方にも時々来店いただいていますが、ほとんどのお客様は変わっているはずです。ただし、お店の形態が変わって、見てくれは変わっていても、ここにはハートランドの精神性というか、文脈が太い幹になって流れていると思います。それが強いので、お客様が求めてきているものは変わらないのではないかと思います。結果として「価値を共有できる仲間」が広がっているのかなと思います。

今後も課題はあります。場のエネルギーをコミュニケーションに転化するブランドづくりを本当の意味で成功させることです。

ネイバーフッド・バーHEARTLANDという「点」の情報を「線」にし「面」を作っていって、長く成立し続けるブランドを育成するという大きな課題を達成するために、お客様という協力者に一緒になって育てていただくことが必要と思います。

ハートランドを、世の中にある飲食店様のうち、100のうち、90の店が採用していただくことはあり得ないし、そうな必要もないと思っています。ハートランドに共感したお店に確実にお取り扱いいただき、価値を広げていければうれしいです。よくwin-winの関係っていいますけど、happy-happyの関係にしたいのです。

ハートランドを担当する前は、ブランド育成には、商品を押し付けるのではなく、真中に商品を置いて、そこにお客様が集まることが大切だと、口では言って来たのですが、本当の意味でそのことを実感したのは、ハートランドを担当してからだと思います。

私は、一番搾りの担当もしているのですが、例えて言えば、一番搾りはメジャーレーベル、ハートランドはインディーズレーベルです。規模の大小はありますが、キリンにとってはどちらも大切で、ブランドを育成するという観点では、どちらも同じようなエネルギーを使います。ハートランドを担当したおかげで、立ち戻れる原点を持った気がしています。

井本:ハートランドって言葉は、日本ぽくない、でも外国ではないっていう不思議感があるんですよね。

山田:そう、ほっとする言葉です。でも、その名前と違って、正直、ハートランドは、社内外のファンが多い「伝説」であるだけに、失敗できないというプレッシャーがありました。

あいつが終らせたと、後世に名を残しますからね(苦笑)。正直、びびってました。でも、ハートランド教というくらいな人が社内外には大勢いるので、そういう人と人との出会いが大切だなと痛感しています。

思いつきは誰でもしますが、それが実現されて初めてアイデアになります。アイデアとして実現するために、多くの協力者が必要なわけです。今回で言うと、HEARTLANDの運営を実現してくれた松井専務を始めとする(株)フォーシーズのスタッフ、コンセプトを形にしてくれた設計の小坂氏、施工の方、映像器材のシステムを組んでくれた方、ハートランドのことをいろいろ教えてくれた先輩の方々、アーティスト、DJ、ミュージシャン達・・・。それがまた、ハートランドらしさに繋がっています。

今後は、この膨大なソフトを「正しく」伝える役目を井本が担います。

喜山:え?

井本:私、4日前で副店長職を辞して、いま、マーケティング部の商品担当で、ハートランドのブランドマネージャーになったのです。私はまだハートランド教の駆け出しですが、がんばります(笑)。




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