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クチコミに関わる個人と業界を分析し、戦略の方向性を見出す クチコミの全体を捉えた施策の考案(第2回)

“Yes”が何%“No”が何%という一部の定量データを分析しただけでは、良い施策を考えることはできません。

前回の“クチコミの市場分析”では受発信者の集団定量データを分析しましたが、他にもやるべきことがあります。具体的に個人定性データに落とし込み、分析する必要がありますし、視野をもっと広くして業界のデータを分析してみる必要もあります。こういった分析を通じて初めて、良い施策が明らかになってくるのです。

今回はクチコミフレームワークにおける“クチコミの受発信者分析”と“クチコミの5つのプレイヤー分析”を行い、戦略の方向性を明らかにする方法について考えていきます。

wom-framework-2第1回:“クチコミフレームワーク”と“クチコミの市場分析”の概要はこちらから

集団→個人の分析で受発信者像をより具体的にする

wom-personalフレームワークにおける“クチコミの市場分析”では集団レベルの分析をしましたが、“クチコミの受発信者分析”では、できるだけ細かくミクロな視点で個人像を分析することになります。

具体的なクチコミ発信者(受信者)像というのをイメージし、その発信者が誰に、何を、どのようにクチコミをするのかということを考えていきます。そうすることで、マクロの視点からでは見えなかったクチコミ施策をイメージしやすくなります。

分析の基本は、前回紹介した“クチコミの市場分析”と同様に“Target”“Text”“Context”に基づいて個人レベルで分析します。それぞれの分析項目例は下記の通りです。

Target

受発信者の関係、年齢、性別、居住地、職業、勤務先、役職、年収、家族構成、趣味嗜好、価値観など

Text

クチコミの対象商品、クチコミの内容詳細、クチコミの内容は体験・実感型か、共有・共感型か、新しいもの探し型かなど

Context

クチコミの手段は対面か電話かメールか、声のトーン、表情、反応、シズルなど

この中で“Target”と“Context”は比較的イメージがしやすいのですが“Text”は“クチコミの内容は○○型”と何となくわかりにくいものになっているので、下図で具体的に見ていきます。

wom-patternクチコミで広まった商品はこのようにいくつかのパターンに分かれます。クチコミの内容をより具体的に理解するためにも、分析しているクチコミがどの型に属するのか考えることが重要です。

また、上図のパターンは、自社がこれからどのパターンで勝負するのかという場面でも役立っていきます(ちなみに当社ドゥ・ハウスが得意とするのは“体験・実感型”と“共有・共感型”のクチコミです)。

とは言ったものの、色々と分析項目を紹介しましたが、最も大事なのはクチコミ受発信者の動きを細かく具体的にイメージすることです。

上記の分析項目以外にも、受発信者は何を話題にしたいと思っているのか、クチコミをする際に重視するポイントは、情報はどこで集めるのか、クチコミをするまでにどの程度の期間を要するのか、いつ・どこでクチコミをするのか、どの程度代替話題と比べるのか、といったことを考えるようにしましょう。

5つのプレイヤー分析でクチコミの起こりやすさを明らかに

市場分析(集団レベル)で傾向を捉えつつ、受発信者分析(個人レベル)で個人像を語れるくらいまで考えた後、クチコミに関わる5つのプレイヤーを分析します。

wom-5forces“5つのプレイヤー”と聞いて、さらに上図を見てみるとある有名なフレームワークが思いつく方も多いかと思います。この“クチコミの5つのプレイヤー分析”は“5つの力(5Forces)”のフレームワークをクチコミに応用したものです。

上図はクチコミ業界の魅力度(クチコミの起こりやすさ)を考察するための分析手法です。競争が激しい業界にいればクチコミが起こりにくくなり、その逆であれば起こりやすいことを表しています。

また、クチコミの起こりやすさを表すと同時に、先発商品の優位が持続しやすいか否か、代替話題にもチャンスがあるかといったヒントを与えてくれるため、各プレイヤーのクチコミ戦略策定にも役立ちます。

各5つのプレイヤーの特徴は下記になります。

業界の敵対関係

狭い範囲内でのクチコミ競争環境です。同程度の規模の企業が多数ひしめいている場合には、生活者のクチコミの候補がそれだけ多くなるため競争は激化します。また、業界内にバズを起こす異端者がいる場合も業界の敵対関係が大きくなります。

先発商品の脅威

クチコミ業界内の競合に影響を与える商品です。“5つの力(5Forces)”のフレームワークでは“新規参入の脅威”として表現されるのですが、この分析では“先発商品の脅威”として表現します。なぜなら、クチコミ業界においては特に先発優位性が働きやすく、後発優位が働きにくいからです。

例えば、“パズル&ドラゴンズ”は主にクチコミによって広まったスマホゲームですが、その後、類似のパズルゲームが出てもなかなか生活者の間で話題にはなりませんでした。このように先発商品が参入した業界では、いったんクチコミが起こると、他の競合が参入してもクチコミが起こらない傾向にあります。

代替話題の脅威

生活者の関心を引く、業界内の商品以外の話題を表します。ある商品の話題が生活者の関心を引きやすいニュースなどの代替話題にもっていかれている場合は、商品のクチコミが起こりにくくなります。

クチコミ媒体の交渉力

クチコミ媒体(広告会社やPR会社など)が強い交渉力を持つ場合、クチコミは起こりにくくなります。この媒体が強い交渉力を持つのは、媒体先が生活者の情報受発信力に大きく影響するときなどです。このようなときは自社は高い価格を受け入れざるを得ません。ただし、他社の媒体を使わず、自社の商品自体をクチコミ媒体として利用する場合はこの交渉力はかなり小さくなります。

生活者の情報受発信力

生活者の情報受発信力が低いと、クチコミは起こりにくくります。生活者が当該業界の商品の話題に飽きている場合や、特定の生活者しか興味を持たないクチコミ施策が実施されている場合はこの情報受発信力は低くなります。

このようにクチコミが起こる、あるいは起こらない要因を5つに分解すれば、「どういう構造であればクチコミが起こりやすいのか」ということが分析・判断できます。

各プレイヤーを分析し、戦略の方向性を決定する

ここからは“5つのプレイヤー分析”を具体的にどのように行うかを見ていきます。

各プレイヤーの欄になんとなく思いついたことを記入するだけでは、「クチコミを起こすのは難しいね」といった結論になってしまいます。

これについて考えるにはいくつかのステップがあり、基本的にはそれに沿って分析していきます。

wom-5forces-stepステップ1 -クチコミ市場のデータ収集-

このステップで大事なのは、まずクチコミ市場の定義を明確にしてから、5つのプレイヤーのデータ収集を行うことです。市場の範囲があいまいだと、結果がざっくりとしたものになってしまいます。

例えば、“ネット上のクチコミ”ではブログやSNSなどがあり、SNSだけでも多くの種類があります。また、“Facebook上のクチコミ”なら、海外のFacebookを分析するのか国内のFacebookを分析するのかによっても異なります。

クチコミ市場をどう定義するかによって収集するデータの種類が変わり、同時に各5つのプレイヤーの姿も変わってくるのでここは慎重に行うようにしましょう。

クチコミ市場を明確にした後は、各5つのプレイヤーに関するデータを収集します。

例えば、クチコミ市場の性別年代の構成が変化しているのであれば、変化の比率はどれくらいなのか、クチコミのツールでは何がどれくらい伸びているのか、といった定量情報を生活者の欄に記入します。

ステップ2 -各プレイヤーのレベルと構造の把握-

それぞれのプレイヤーがクチコミ市場にどの程度の影響を与えているのかを3段階ないし5段階で評価します。

そして、影響度を記入した後は、そのクチコミ業界の構造を把握します。具体的には、どの脅威がクチコミを起こしにくくしているのか、それを踏まえて一方で生活者の情報受発信力はどの程度なのかといったことを分析します。

ステップ3 -クチコミ施策の戦略立案-

業界の構造を把握した後は、クチコミ施策の方向性を考えていきます。脅威の大きなプレイヤーを弱めるにはどうすればいいのか、生活者の情報受発信力を高めるにはどうすればいいのか、といったことを考えます。

なおここでは具体的な施策は考案せず、あくまでも施策の方向性を明らかにしていきます。

 

以上が今回の“クチコミフレームワーク”の中の“クチコミの受発信者分析”と“クチコミの5つのプレイヤー分析”のご紹介です。

次回はフレームワーク内の“クチコミ設計のプロセス分析”をご紹介します。これまでの分析で戦略の方向性を明らかにしていきましたが、これを“Target”“Text”“Context”を用いて具体的なクチコミ施策に落とし込んでいきます。

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