BMRの再イメージ(次の製品開発へ)

■VOCが生んだ次の新製品開発

「1才」に関しては、我ながらうまくいきまして、軌道修正はしていないんです。ただ、競合がいないということで喜んでいたんですが、VOCで1アイテムでは足りない。要は甘い・甘い・塩で、もう1つ塩をくれよという世界なんですよ。これだけでは飽きちゃうよと。なので、サッポロポテトで作ってくれとか、おさつスナックで作ってくれとか、ポテトチップスで作ってくれとか、具体的な提案がお客様からあります。

既に関東以外では「1才からのサッポロポテト」というのが発売になっています。1月から関東も発売になりますので、1月には全国発売が完了します。

これはもともとサッポロポテトというロングセラー・ブランドがあって、野菜を使った安心、安全。特にえびせんはカルシウムということで、子どもはカルシウムで背が高くなって欲しい。子どもに1番に欲しい栄養素はカルシウムだと聞いていますが、今度、1才になってくると好き嫌いが出てくる頃で、野菜は絶対何かが嫌いになっているんですよ。なので、野菜が何種類も入っているサッポロポテトはうれしいわという話になって、サッポロポテトというのを発売しました。

これは開発段階でポテトベースにいろいろな野菜を入れ、食べやすいようにしていたんですが、最後にほうれん草の練り込み量を上げ、ほうれん草風味をアップさせました。その理由というのが、野菜臭さを感じたいというのがおかあさんの中にあったことです。うちの子野菜が嫌いだからと。野菜6種類あるとだいたいどれか1つは嫌いに当たるんですよ。うちの子にんじん嫌いとか、ほうれん草嫌いとか。そうすると、ちょっとでも野菜が入ったものをあげたい。小さい子どもは、総量的にはそんなに食わないので、とにかく野菜をあげたいということで、おやつでも必死なんですよね。

そういう意味では野菜というのが効き出してきて、「1才からのサッポロポテト」のプライマリーベネフィットは、野菜入りというところなんです。もちろん子どもの確認は取っていますけれども、もう少し野菜を食べている感じが欲しいと。親が与えているときの納得度が欲しいんですね。もちろんその背景には、スナックに野菜がどこまで入っているの?という疑問はあると思うんですけど、生の野菜を食べさせるならそういうことは絶対言わない話です。

野菜感を上げたら、おかあさんは納得してくれて、子どもにあげたら子どもが普通に食べたのでということで、「1才からのサッポロポテト」もえびせん並みに売れています。ちょうど売上げ的には、限りなく倍に近い形です。市場がもう1つ、甘・甘・しょっぱい・しょっぱいのしょっぱいが1つ空いていたわけですよ。

この前うれしいお便りで、「1才からのかっぱえびせん」から、うちの子そろそろ、えびせんになりましたというのがありました。今3才くらいだと思うんですけど、もともとはまずスナックの競合がない「1才からのかっぱえびせん」で、これを食べてブランドを支持していただくと、次はえびせんブランドに入っていって、ずっと付き合ってもらえる。イメージ的には、ファーストスナックだったんですね。一番最初に食べてもらえるファーストスナックという開発コンセプトがありました。一番最初に食べてもらえば、その後ずっと付き合ってもらえるだろうみたいな。当時はえびせんカンパニーという母体で、えびせんのブランド戦略という中で、えびせんをどうするかということでスタートしていました。

えびせんも成熟期に入り、エクステンションをどうするかという話がありましたが、その中でえびせんが取った選択は、エイジ戦略という戦略です。小さい子どもからお年寄りまで、もともとはオールターゲットでみんなが食べていたんだけど、スペックを合わせてあげたらもっと食べてくれるはずだと。そのときに小さい子どもからお年寄りまで網羅できるパワーを持っている商品はえびせんブランドが圧倒的だという仮説が入っていったので、「1才」はそういう意味で導入の役割を果たしている。

九州では、味わいえびせんというシニア向けのものもやっています。シニアえびせんと書くと買ってくれないので。でもこれは苦戦中です。もともとは、一生付き合っていただけるブランド作りというのがえびせんのエイジ戦略のワードで、1才で入って、シニア、シルバーに向けていって、もしかしたら最後介護食かもしれないと思っています。流動食のえびせんということだってあると思っているんですね。そういう意味では、エイジ戦略の流れで1才はきっちりと機能を果たしてくれています。

ただ、お客様はブランド論では見てくれない。1才ターゲットというカテゴリーのお客様がいらっしゃって、この人達に、1品では足りないからもっと出してよというニーズがあったので、サッポロポテトというのを出した。ただ、今はなんとなくスナックカンパニーになり、えびせんのブランドだけではなく、スナックトータルのブランドを見るような世界になっているので、今はスナックカンパニーにエイジ戦略として、サッポロでも何でも都合のいいブランドを使って、1才から入っていって、シニアに抜けていくという構造を考えています。

BMRの再イメージ(T)

■対応しないVOCもある

実は60代でも買われている方がいらっしゃって、あとは、すごい肥満で悩まれている子どものおかあさんとかも買っているんです。カロリーは低いし、油は使っていないし、カルシウムたっぷりだし、塩分少ないし、ということで。それで、買いにくいから「1才からの」を取ってくれという声も実はあるんですよ。1才ではない人達が食べている。そういう人たちはメッセージが伝わって買われているわけなので、そういう意味ではVOCと言いながら、変える気はないんですよね。そのくらい、「1才からの」は、ドンピシャにはまっているところがあります。でも、「1才からの」は、なぜか商標登録されているんです。「1才から」で商標登録しているメーカーさんがいるので、うちはそこからレンタルしているんです。

BMRの再イメージ(O)

■お出かけのときにピッと切ってカバンの中に入れる

「1才」は今回4連でつなげたもので売っているじゃないですか。元々、普通のえびせんの4連タイプというのがありまして、普通のえびせんが小袋で4個ついている感じですが、面白いことに、3~5才が一番ついてきているんですよ。構造的には、30グラムある普通の小袋でも多いと思う人が4連を買っていく。どういう受容の仕方をするかというと、お出かけのときにピッと切ってカバンの中に入れるんです。このサイズなのでかさばらないんですよ。基本的には家庭内在庫と、携帯性というところでベネフィットのある商品です。

「1才」も同じような使用の仕方をしています。例えば1個取って公園に持っていくとか、お出かけのときに、車の中や電車の中で、ぐずったらあげるとかいう食べ方。当然おやつとかもありますけどね。

昨年から1年間、1才の子どもを365日追いかけるという日記調査をやりました。昨年8月から1年間6人やりましたが、その中に1人、これを持って公園に行って、行くたびに1袋消費するという人がいて、すごいヘビーユーザーだなと思っていたら、半分くらい公園の鯉にあげているみたいでした。彼にとっては自分のおやつと鯉と一緒に食べるというのがブームだったんでしょうけどね。

■在庫として持っている

かなり在庫として持ってくれているみたいですね。子どものことなので、いつぐずるかわからないし、いつどこで食べるかわからないから、とにかくストックを持ってもらって。ストックを持つということは、切れれば買ってくれるということなので、結構定期購入してくれているみたいなんですよ。通常のスナックというのはいろいろなバリエーションの中でぐるぐる廻すんですが、「1才」のほうは、発売後に聞いても、ボーロ、ビスケット、しょっぱいもの、ボーロ、ビスケット、しょっぱいものという感じです。つまり、甘、甘、しょっぱいのこのリズムの中でというのが発売当初の話です。

BMRの再イメージ(A)

■パッケージは変えていない

トップに手抜きだと言われるんですけど、パッケージを一度も変えていないんですね。トップからは、ちょっと成功すると手を抜いてと、嫌みのように言われていますが、変えなくていい理由というのは、お客さんが変わっていくから。古くならない限りはリニューアル効果がないと思っています。まあ、言い訳だと言われていますが。

■後で気づかせる

実は伝わらないのでみんなに言っているんですけど、パッケージ、よく見ていただくと表面にタオルの写真を取り込んでいます。1才くらいの子どもってタオルのぬいぐるみを持っているじゃないですか。ああいう世界観で作りたくて、タオルを塗り込んだんですね。ところが、誰にも気付いてもらえなくて。

ブランドって、気付いたときに、そうだっていうんでブランドイメージが高まると思っています。パジェロって原野っていう意味じゃないですか。ノマドは遊牧民という意味で、当然そこまで言葉を言語で知らない人が多いんですけど、あるとき英語とかちょこっとしたところで言語を知ると、パジェロを持っている人って、ああそうだよな、この車とか、そういう世界観って後で気付くことがあります。

ブランドって、最初に気付くテクニックと、後で気付かせるテクニックがあって、後で気付かせるブランドのテクニックで、わざわざタオルの写真を撮ったんですけど、誰も気付いてくれなくて、時々人に言っています。4連形をつなげていくのは、うちの会社はまだ不慣れで、つや消しにすると問題があり、これしかできなかったんです。ちなみにこれは、子どものいたずら書き調です。伝わらないことが多いので、時々言っています。

BMRの再イメージ(D)

■ドラッグ攻略中

コンビニではテストはしていますが、基本的には売らないことにしています。スーパーとドラッグですね。出がけにコンビニに寄るというニーズもあるんですが、本当にレアケースでして、車で出かけるときにふと気付いて買うくらいです。実際にコンビニに置いても、テストでやったんですけど、週販が維持できないですね。なので、スーパーとドラッグですね。カルビーとしては、ドラッグの攻略というのはなかなかできなかったところなので、各地域、販売カンパニーは、結構「1才」を武器に、どんどん攻略してくれているところです。

ドラッグストアの購入シーンとしては、オムツ離れが2才過ぎになりますが、それまでは、少なくともおむつはドラッグでまとめ買いするじゃないですか。ドラッグでまとめ買いするときに、ついでに安いお菓子を買っていくという構造だと思うんですね。ついで買いの安いお菓子というのは、100円とか90円とか、ドラッグはすごく安く売っているんですけど。いわゆるスナックしか置いていなくて、「1才」をピッとつり下げておくと、特売ではなくて、定番なんですよ。

でも、購入としては、おかあさんはおしめを買って、そのついでにこれを買う。お尻拭きのウェットティッシュみたいなのを買うじゃないですか。今どきあんなのをスーパーで買う人なんていませんから。ということで、ドラッグはきちっとターゲットと合っています。

BMRの再イメージ(PLC)

■お客様はすごく入れ替わる
プロダクトライフサイクルは、成熟期かな。出荷的には右上がりに伸びているんですよ。今、徐々に作れなくなってどうするんだみたいな話になっているんですけど。ただ、店頭率が伸びているので、売上げだけを見ていくならまだ成長期です。ただこれは、個店ごとにお客様が増えているという構造ではなくて、面が増えているという構造だと思います。そういう意味では成長期です。

ただ、実際店頭のほうは、ちょっとこの商品は違うなと思うのは、お客様がものすごく入れ替わることです。認知から始まって導入、成長、成熟と、そういう構造ではなくて、1年ごとに変わっていく。ヘビーで買うときは半年間くらいなので、実はどんどん新しくなっていくという構造の中では、あまりライフサイクルは当てはまらないのではないかと思うんですね。

売上げが落ちたり上がったりするならば、市場背景というか、世の中の時代的なニーズが変わると、変わると思います。例えば今、ベビーはすごく大事に育てられているんですよ。核家族化が進んでいて、おじいちゃんおばあちゃんの経験者がいないので、アトピタという公園デビュー用のベビー用日焼け止めクリームがめちゃくちゃ売れる時代なんですね。これは20年前にはあり得なかった世界で、もっと乱暴に育てていた。今すごく大事に育てていて、この次また乱暴な時代がくると、たぶん売れなくなる。

もっともっと大事に育てて、極端に大事に育てている時代が来てもまた売れなくなるかもしれないですよね。今の時代背景の価値構造が続く中では、たぶん安定的に横ばい。でも、これを成熟と呼ぶのかと言うとどうなんでしょう。


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